2025年10月29日号掲載記事より
「アジア・オセアニア石鹸洗剤工業会会議」10年ぶり日本開催
アジア・オセアニア石鹸洗剤工業会会議(AOSDAC 2025)は、持続可能な未来に向けた国際協力の強化を目指し、日本石鹸洗剤工業会(JSDA)の主催で10月17日、東京會舘にて開催された。この会議には、日本を含むアジア・オセアニア等、12の国(地域)から160名が参加した。
会議では、JSDA会長の竹森征之氏(ライオン社長)が「日々の習慣が創る持続可能な未来:革新と挑戦の第一歩」をテーマに基調講演を行ったほか、各国の石鹸洗剤業界の現状や重点的な取り組みなどが共有され、参加者間の友好を深める場となった。
開会のあいさつに立った長谷部佳宏JSDA副会長(花王社長)は、この会議のテーマを「持続可能な世界に向けたイノベーションと挑戦」であると紹介。業界が気候変動や資源循環の必要性、消費者意識の変化など、かつてない課題に直面している現状を指摘した。その上で、力強い成長を続けるASEAN地域が今後の産業と社会のあり方を形づくる上でより大きな役割を果たすとし、今こそ参加各国が力を合わせ、知恵と経験を共有し、持続可能な社会を実現するための新しい道をともに築くべきであると強調した。
基調講演を行った竹森会長は、テーマに基づき、特に重要な「水」と「プラスチック」の課題に焦点を当てた。「水」に関しては、洗濯工程における水使用量とエネルギー消費の削減に着目した技術革新を紹介。「プラスチック」については、詰め替え製品の普及と容器設計の工夫により、使用済み容器の再利用と資源循環の仕組みが確実に進展していることを伝えた。
さらに竹森会長は、節水型の洗剤を選び水を大切にすることや、リフィルを使いプラスチックを減らすといった行動が、自然と続けられる習慣として広がる必要性を強調した上で、「企業や業界団体が連携し、国や地域を越えて協働することで、その力はさらに大きくなる」と述べ、アジア・オセアニア各国がAOSDACを通じて経験と知見を共有し、共に持続可能な未来を築くことの重要性を力強く訴えた。
JACDS、来年の「ドラッグストアショー」は7月31日~8月2日開催
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は10月17日、東京事務所で「第5回JACDS記者会」を開催。塚本厚志会長(マツキヨココカラ&カンパニー)、亀ケ谷博之副会長(カメガヤ)、関口周吉副会長(龍生堂本店)、森信副会長(ドラッグストアモリ)らが出席し、最近の活動状況について報告した。
それによると、8月8~10日の3日間、東京ビッグサイトで「第25回JAPANドラッグストアショー」を開催し、来場者は約10万人に達する盛況となった。実行委員長はエバグリーン廣甚社長の米原まき氏が務めた。次回は2026年7月31日~8月2日の3日間、同会場で開催する予定。ホールは1・2・3・7・8を使用し、前回よりも規模を拡大する。実行委員長は光社長の尾池勇紀氏が務める。
さらに、令和4年度の調剤報酬改定で新設された「300店舗以上グループ薬局区分」について、JACDSは見直しを強く求める声明を発表した。同区分は全国で300店舗以上を展開する薬局グループの調剤基本料を従来より低く設定するもので、公平性に疑問が指摘されている。さらに該当薬局グループの損益率が大幅に低下していることが厚労省の調査で明らかとなり、経営への影響が深刻化している。JACDSは、こうした状況を踏まえ、区分制度の廃止と公正な見直しを求めている。
プラネット、あらた、PALTAC、商品マスタを一元管理する新会社共同設立
プラネットは10月20日、あらた、PALTACとともに、化粧品・日用品など一般消費財分野の商品マスタを一元管理する新会社「㈱プロダクト・レジストリ・サービス」(以下、PRS)の共同設立に合意したと発表した。これに伴い同日、都内ホテルで緊急会見を開き、設立の背景や事業内容、今後の方針を説明した。PRSでは製・配・販における商品情報の共同利用を通じて、サプライチェーン全体の効率化と業界の発展に貢献する方針を明らかにした。
それによると、今回設立するPRSはサプライチェーン全体で商品マスタ管理を一元管理し、商流・物流の両面から業務効率化を図ることが目的。化粧品・日用品流通では、商品情報が企業ごとに分散し、各社それぞれ手作業での登録やJANコード運用の不統一などにより非効率が課題となっていた。これらの課題を解決しなければ将来的に現在と同等のサービスを維持できず、生活者が必要な商品を買えなくなる可能性がある。こうした状況を踏まえ、経済産業省の「商品情報連携標準に関する検討会」などでは、商品情報の標準化や同省が主導する来年4月本格稼働予定の“業界横断レジストリー”を通じた「商品情報プラットフォーム構想」が進められている。3社はこれに参加し、“産業横断レジストリー”との連携を前提に、商品情報の一元管理と流通の生産性向上を目的としてPRS設立に合意した。
PRSの事業展開は短期・中長期の2段階で進められる。短期的には今後2年間を目途に、メーカーの商品情報登録率を86%以上に高め、すべての卸店への情報連携を開始する。さらに経産省の方針に沿って小売業への商品情報連携を定着させ、製・配・販3方向の顧客満足度・UX(ユーザーエクスペリエンス)向上を図る。
中長期的には、商品情報登録率100%の達成や、卸店の生産性向上に向けた商品マスタ項目の統一・標準化、小売業務のワンストップ化を実現する商品カテゴリーの拡大を推進する。またEコマースや倉庫内作業ロボット、フィジカルインターネット対応など効率化に資する業務領域への展開も視野に入れる。
こうした取り組みにより、PRSの売上高と登録メーカー数は初年度1億1000万円・900社、3年目2億4000万円・1200社、5年目2億5000万円・1500社を見込む。
花王、ビーズ型新香りづけ剤「ハミングフレア アロマビーズ」発表
花王は10月16日、都内で「花王ファブリックケア新製品発表会」を開催し、ビーズ型の洗濯用香りづけ剤「ハミングフレア アロマビーズ」を11月1日に発売すると発表した。この新製品で「お洗濯がたのしくなる情緒価値」を提案し、生活者のニーズに応え、市場の活性化を目指す。
岩田毅ファブリックケア事業部長の説明によると、近年、共働き世帯の増加や天候不順などを背景に、家事における「洗濯」の好意度は大幅に低下している実態がある。消費者からは「家事や自分の時間が大事だから手間をかけたくない」「あれこれ考えたくない」といった、洗濯に対するネガティブな意識が顕在化している。
そこで花王は、「衣類をもっと気持ちよく、毎日をもっとポジティブに」という新たな目標のもと、洗濯の悩みを解決する「機能価値」の提案から、毎日が前向きな気持ちになる家事へ導く「生活価値」の提案へ軸足を移す。特に、利用者の間で「洗たく物がよい香りだと、ふだん面倒と感じる作業が楽しみになる」という声が寄せられている点に着目。こうしたニーズに応えるのが、新製品「ハミングフレア アロマビーズ」である。
同製品は、いつもの洗濯に加えるだけで上質で華やかな香りを長続きさせる。特に、顆粒に小さな“すき間”をつくる特殊加工「フレグランスポケット製法」(特許出願中)により製造されており、冷たい水にもすばやく溶け、洗濯後の溶け残りを防ぐ技術を確立した。さらに、洗たく中の色あせを防ぐ「衣類長持ち設計」を採用しており、お気に入りの衣類を長く楽しむことができる。香りは「フローラルスウィート&ローズの香り」「フラワーハーモニー&ライトムスクの香り」の2香調を用意した。
イオンリテール、「グラムビューティーク」最新モデルを披露
イオンリテールは10月10日、ヘルス&ビューティケアの売り場環境を刷新した「グラムビューティーク」の最新モデルをフラッグシップ店の1つである「イオンスタイル大日」(大阪府守口市)に導入し、報道関係者に披露した。(写真)
グラムビューティークとは、「毎日の美と健康づくりをサポートする」をコンセプトに、化粧品、医薬品、健康食品、介護用品、ペット用品、日用品などを取り揃えた同社のヘルス&ビューティケア売り場の名称のことで、今回イオンスタイル大日内の約1800㎡の売り場にその最新モデルが導入された。
最新モデルのコンセプトは「あなたのキレイを発見しよう~Discover your beauty~」。「見て、触って、試せる」をテーマに、①フェイスケア②メイク③カウンセリング化粧品・理美容家電④ボディケア・メンズコスメ⑤ペット用品⑥ビューティケア⑦調剤薬局⑧ファーマシー――の8つのゾーンで構成されたリアル店舗ならではの「体験の楽しさ」を提供する売り場に一新された。
同社執行役員H&BC本部・工藤真紀本部長は、「現在の生活者の買い物体験は、リアルの売り場からオンラインへと移行しつつある。当社は、これまでリアルな売り場を持つことを強みとしてきたが、グラムビューティークの最新モデルを導入することで、リアルのヘルス&ビューティケア売り場の活性化を図るとともに、当社の課題である若年層の取り込みも進めていきたい」と語っている。
同社では今後、GMSにおける新たなヘルス&ビューティケア売り場の創造に向けて検証を進め、2028~2030年をメドに同様の売り場を全国に30店舗展開する計画となっている。
2025年10月29日号 記事一覧
特別企画
- ナチュラルサイエンス 「なるほど!肌とからだチャレンジ展」を開催
会合・発表会
- 日石工組東日本支部、第4回研修会開催 「クリーニング業界の活性化」
- 全療工、講演会・会員懇談会開催 AIとの向き合い方について聴講
経営・施策
- ファイントゥデイHD、11月5日予定の新規上場延期
- ローソン、“災害支援コンビニ”設置 災害時は地域住民支援拠点に
- マンダム、一部商品の価格改定を実施
- ユニ・チャーム、渋谷区公共施設で生理用品ディスペンサー導入実証実験
- ライオン、「汗中の微量成分分析技術」を開発するPITTANへ出資
- True Data、情報セキュリティマネジメントシステム国際規格認証取得
製品・サービス
- サンスター、「健康道場『すらなS』」先行体験会開催 「HMPA」を配合
- ファンケル、「シールドチャージクリーム」発売 乾燥ダメージを断ち切る
- 牛乳石鹸共進社、正和堂書店と赤箱デザインブックカバー&栞を無料配布
- P&Gジャパン、「パンテーンEXPシリーズ」発売 高純度パンテノール配合
- P&Gジャパン、「ウィスパー」新改良 安心の超吸収力と横モレ防止
- P&Gジャパン、「アリエール ジェルボール プロ/同プロパワー」改良
- エステー、消臭力PAから限定品発売 「トゥインクルスノー」の香り
- ユニ・チャーム、ライフリーうす型軽快パンツOrganicコットンタッチ発売
- ユニ・チャーム、「ライフリー下着の感覚Premium極上のはき心地」発売
- ユニ・チャーム、「ソフィセンターインコンパクト1/2」HANA限定品発売
- ユニ・チャーム、「ムーニーおしりふき水分たっぷり厚手」発売
- クラシエ、「ディアボーテHIMAWARI」ムーミンコラボ限定品発売
- クラシエ、「ココンシュペール」からドライシャンプー発売
- クラシエ、「旅の宿 ミルクの香り」限定発売 米菓「雪の宿」とコラボ
宣伝販促
- サンスター、「おやすみ前のスペシャルケアキャンペーン」実施中
- エステー、「ニャンとも清潔トイレ らくっとシンプル」当たるキャンペ実施
人事・組織
- クラシエ、10月21日付人事異動を発表
- 花王、10月11日付人事異動を発表
決算
- イオン、2026年2月期上期は営業利益が過去最高に
- ツルハHD、26年2月期2Q決算は販管費コントロールで営業利益計画超え
- 薬王堂HD、26年2月期中間期は増収増益 売上高計画未達も粗利改善
調査・統計
- 経済産業省 25年1~7月度洗浄剤統計 合成洗剤堅調、洗濯用2ケタ伸び
- 東家同 25年9月度市況概況価格調査 各社7月以降の値上げ価格を維持
- KSP-POS 2025年9月 カテゴリー別ランキング
イベント・展示会
- 「薬と健康の週間」イベントを大阪・クリスタ長堀で開催
訃報・葬儀
- 【追悼】 佐野清氏 オーラルケアの真の価値を追求し続けて
時評・コラム
- 時評 万博が示した日用品・化粧品業界の使命
- 転新欄万 数合わせ・国民不在感増長の総理指名劇
特集 【卸流通・秋】
- 全家協・協力会 「25製・配・合同フォーラム」開催
- 麻友三愛会 第51回総会・講演会開催 「自主独立地域人密着卸」として
- コスト高騰・DX・業界再編の波を越える戦略とは 卸売流通の最前線探る
- 全卸連・森友会長インタビュー 新たな挑戦で卸売業の可能性示していく
- PALTAC 既存事業の収益改善、新たな価値創造に挑戦
- あらた・東風谷社長インタビュー 持続的成長と企業価値向上を目指す
- 中央物産・提坂社長インタビュー 「高付加価値卸売業」を目指して
- プラネット・坂田社長インタビュー 流通を「つなぎ、ととのえ、ひらく」
- ハリマ共和物産 中部小牧物流センター内覧会開催 省エネ・省人化推進
- こもりコーポレーション・小森社長インタビュー 厳しい市場環境に挑む
- 東流社 「生活者起点」で東日本の生活を支える
- 東京堂・中嶋社長インタビュー 「伊藤忠リーテイルリンクとの融合」強化
- 冨田屋商店・池田社長インタビュー モットーは「たゆたえども沈まず」
- サプリコ・平井社長インタビュー 全国64社の連携力で地域卸の未来拓く
- ときわ商会・相澤専務インタビュー 物流・海外施策で次代を見据える
会合・発表会
経営・施策
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