2025年7月9日号掲載記事より
JACDS、第6回通常総会開催 2030年3.5万店・13兆円産業目指す
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は6月27日、都内のホテルで「第6回通常総会」を開催し、組織の方針に基づき、事業計画が満場一致で承認。その事業計画は、①健康生活拠点として、人々のWell-Beingに貢献する~2030年3.5万店13兆円産業を目指す~②セルフケア・セルフメディケーションを推進する③薬剤師、医薬品登録販売者の資質向上を目指す④業界全体でSDGsの取り組みを推進する⑤医薬業界団体との連携、地行行政との連携を強化する⑥政府等公的機関への政策提言を強化する――の6項目を基本テーマとし、それに対応する14項目を目標に掲げ、事業活動を力強く推進していく。
総会終了後には特別記者会見が開かれ、塚本厚志会長(マツキヨココカラ&カンパニー)、横山英明日本登録販売者協会(日登会)会長(JACDS副会長、コスモス薬品)ら協会幹部が出席した。
塚本会長(写真)は、新体制での1年を振り返り、厚生労働省の一般用医薬品販売制度に関する制度部会での同協会の意見表明が過度な規制の回避につながったことを強調。また、2030年に向けた業界ビジョンとして、3.5万店舗・13兆円産業を目指す方針を表明した。
横山日登会会長は、同日の日登会総会で全ての議案が可決されたことを報告。さらに、登録販売者の事例として、横山会長が社長を務めるコスモス薬品での登録販売者による適切な情報提供、場合によっては販売しない判断、医療機関への案内などの取り組みを紹介した。
その後記念講演会が行われ、ミライロの垣内俊哉社長が「バリアバリュー障害を価値に変える」をテーマに講演。自身の障害体験から始まり、日本のバリアフリーの歴史的背景と現状、そして今後のビジネスチャンスについて解説した。
トライアルHD、西友を完全子会社化 「流通情報革命」へ始動
トライアルホールディングスは7月2日、都内で記者会見を開き、前日7月1日付でスーパーマーケット大手「西友」の全株式を取得し、完全子会社化したと発表した。西友の新社長には、トライアルカンパニーの取締役会長を務めていた楢木野仁司氏が就任。「買い物は面白く、暮らしを豊かに」をコンセプトに、「Stand Together(ともに立ち向かう)」をスローガンに掲げ、既存店改革やリテールメディア展開など4つの軸で事業を展開する方針を示した。
会見で永田洋幸トライアルHD社長は、日本の小売業の売上高164兆円に対し、西友との統合を通じて「流通情報革命」を推進し、業界全体の40兆円規模とされる「ムダ・ムリ・ムラの解消」に貢献していくと語った。
西友の新体制は、永田氏が取締役会長、西友前社長の大久保恒夫氏が取締役副会長、そして楢木野氏が西友社長にそれぞれ就任する。
今後の戦略については、トライアルと西友は地域性や補完要素が多く、統合の意義が高いとした上で、既存店の強化、新規出店、収益性の向上、そしてリテールメディア展開という4つの軸で事業を進めるため、「トライアルと西友の商品の相互補完」「関東での『TRIAL GO』の立ち上げ」「生産性の高い『TRIAL GO』の拡大」「プロセスセンター(PC)やセントラルキッチン(CK)拠点の稼働率・生産性向上」、「リテールメディアの本格展開」――という新たに5つの発展課題を設定する。また、これまでトライアルが課題としていた都心部の小型店展開が西友との統合により新たな道筋が開け、「価値ある小型店を新市場に投入する戦略を大きな目玉とする」とも説明した。
JSA、通常総会開き800人超が出席 パネルディスカッションなど実施
一般社団法人日本スーパーマーケット協会(JSA)は6月27日、都内ホテルで2025年度通常総会「記念パネルディスカッション、記念パーティー」を開催、約800人超が出席し盛会となった。記念パネルディスカッションでは、岩崎高治会長(ライフコーポレーション社長)をはじめ同協会の役員らが登壇し、2024年度の取り組みを総括するとともに、商品情報の標準化や物流の効率化、人手不足対策、持続可能な食品流通の実現など、スーパーマーケット業界が直面する課題と今後の方向性について活発な議論が交わされた。
記念パネルディスカッションは江口法生専務理事がモデレーターを務め、パネリストとして岩崎会長、服部哲也副会長(サミット社長)、川野澄人副会長(ヤオコー社長)、大髙耕一路理事(ヨークベニマル社長)、原和彦理事(アクシアル リテイリング社長)が登壇。【2024年度の協会の取り組み総括と2025年度の主な取り組み項目】【業界の効率化に向けた取り組み(商品情報の標準化推進、製・配・販の連携による物流効率化、人手不足対策、デジタル化の進捗およびセキュリティ対策)】【持続可能な食品流通の実現に向けて】――の3つのテーマについて、率直な意見が交わされた。
最後に岩崎会長が業界の進むべき方向性について語り、現代の資本主義を「金融資本主義」と「公益資本主義」に分けて対比し、企業は株主利益のみを追求する存在ではなく、従業員、顧客、取引先、地域社会、さらには国家や地球全体に対して価値を提供する存在であるべきだと訴えた。「利益や株価の向上を否定するものではないが、『今だけ、金だけ、自分だけ』という発想にとどまるべきではない。むしろ、地域や業界、小売業全体の発展を見据えた持続可能な取り組みと連携こそが重要である」と締めくくった。
ファイントゥデイHD、2030年度連結売上収益2000億円目指す 中計発表
ファイントゥデイホールディングスは6月30日、2027年度を最終年度とする中期経営計画を策定したと発表した。
今回公表した中期経営計画では、美意識を中心に据えた3つのコアコンピタンスの継続強化を成長戦略の柱としている。具体的には、①Value Innovation:生活者の期待を超える“ときめき”を持続的に提供する仕組みの構築②Value Expansion:各国・地域の風土慣習を尊重し、現地生活者に即した多様な“ときめき”を届けるためのローカルファースト(現地主導の意思決定を可能とする積極的な権限移譲)の実現③Value Optimization:技術開発から生産、マーケティング、販売までの一連の機能(技・生・販)が一体となった最適なオペレーションの実現――の3点を掲げている。
こうした方針のもと、ブランド別および地域別の戦略、収益改善の方向性を明示し、持続的な成長と企業価値の向上を図る。
こうした取り組みにより、2027年度の財務目標は、連結売上収益約1320億円以上(年平均成長率約7%以上)、調整後連結営業利益約190億円以上(約10%以上)、調整後連結営業利益率約15%以上、調整後連結EBITDA約220億円以上(約9%以上)、調整後連結EBITDAマージン約17%以上、調整後連結当期純利益率約10%以上、Net Debt/調整後連結EBITDA2倍以下を目指す。
2028年度以降は、2027年度までに構築した事業基盤を活用し、新ブランドの開発や展開国・地域の拡大を加速させる方針であることに加え、多様なニーズに応える高付加価値製品の継続的な投入を通じて、さまざまな成長機会を捉えていく。こうした成長戦略のもと、2030年度には連結売上収益2000億円、連結EBITDA340億円の達成を数値目標として掲げ、アジアにおける「グローカル企業」のロールモデルを目指す。
PALTAC、あらた、物流協働取り組み 西関東エリアにおける共同配送開始
PALTACとあらたは、持続可能な流通インフラの「共創」を目指し、「非競争領域」における協働を推進することとし、その第1段として2025年7月より西関東エリアにおける共同配送(以下本取り組み)を開始したことを発表した。
近年、少子高齢化の進行に伴って労働人口が減少し、日本国内の物流業界ではトラックドライバーをはじめとする人手不足が顕在化し、このままでは2030年には国内の荷物の約3分の1が運べなくなるとも言われており、社会的な課題となっている。
この課題に対応するために、両社は業界全体で協力し、協調して取り組む必要があるという共通の認識に至り、この課題への対応策として非競争領域である配送において協働での取り組みを開始する。
取り組みのスキームは、両社の拠点及び納品先店舗の位置関係を踏まえ、出荷拠点の見直しや配送距離を最適化したルート設計により、共同配送を実現する。
本取り組みに期待される効果は、▽ドライバー不足への対応:トラック台数の削減による必要人員の減少▽環境負荷の軽減及び物流コストの最適化:積載効率の向上、走行距離の短縮、トラック台数の削減によるCO2排出量の削減及び物流コストの最適化▽店舗オペレーションの効率化:荷受回数の減少による店舗作業負担の軽減
2025年7月9日号 記事一覧
M&A・設立
- 大日本除虫菊、住友化学園芸を100%子会社化 「KINCHO園芸」に
会合・発表会
- 花王、「KANEBO」プレステージブランド新商品発表 「胎脂」に着想
経営・施策
- 旭化成HP、ライオンの調理関連品ブランド「リード」事業を取得
- ユニ・チャーム、サーキュラーエコノミーパートナーシップへ加盟
人事・組織
- カルタス、役員人事を発表
- 牛乳石鹸共進社、役員を選任
- ハリマ共和物産、役員を選任
- 大木ヘルスケアHD、役員人事を発表
- ユニ・チャーム、機構改革・人事異動を発表
決算
- サツドラHD、25年5月期決算は売上高&営業利益2期連続で過去最高
イベント・展示会
- コーセー、心斎橋PARCO特設会場で「KOSE BEAUTY EVENT」展開
訃報・葬儀
- PALTAC元社長・折目光司氏のお別れの会に多数の参列者が献花
特集 【オールトイレタリーズ】
- 【総論】24年日用品・化粧品市場は物価高下で微増も物足りなさ残る
- 衣料用洗剤 市場は横ばい、高付加価値洗剤の訴求が活性化の鍵に
- 洗濯仕上剤・衣料用漂白剤 家庭用は安定成長続く
- 台所用洗剤 製品の単価アップ等で食器用洗剤市場は拡大傾向
- 住居用洗剤 24年は高付加価値製品が市場拡大を牽引
- 洗顔・ボディ用身体洗浄剤 ボディソープは堅調 高付加価値と泡型が牽引
- 繊維製品防虫剤 「高単価香り付き」が伸長もダウントレンド変わらず
- 芳香消臭剤 24年は金額ベースで微増も数量は前年割れ
- 家庭用殺虫剤関連 2年連続で過去最高の市場規模を更新
- 家庭紙 市場規模は過去最高の4200億円台に
- ハンドソープ 市場は減少も「堅調」評価 コロナ禍収束、物価高が影響か
- ペット関連商品 ペットの“家族化”傾向がより鮮明、新提案が不可欠
- スキンケア化粧品 24年市場110.1%の2ケタ成長 高機能化粧品が牽引
- 制汗剤 24年市場は772億円規模に急伸
- 固形石鹸 各社の製品価格改定により市場規模は2年連続で拡大
- ヘアケア 24年市場は数量下げ止まり、金額は微増に
- ヘアカラーリング 白髪用はカラートリートメントと一時着色料が好調維持
- 保存・調理関連品 生活防衛意識が影響、家庭用ラップなどに変調の兆し
- オーラルケア 健康意識の高まりで活況に 「国民皆歯科検診」も追い風
- ウェットシェービング 製品価格値上げや高付加価値品で前年上回る
- カイロ・温熱ヘルスケア 残暑の影響受けるも商戦後半の伸長で市場拡大
- フェミニンケア 高付加価値品が市場牽引し拡大続く 24年1155億円に
- 子供用紙おむつ 縮小市場で進化、高機能化と「安心常備」で活路
- 大人用排泄ケア 24年は2285億円に拡大、全カテゴリーで成長基調
- 線香(薫香) 24年市場は300億円、前年と同水準を維持
- ローソク 24年市場は150億円、前年比96.8%で微減に
- 家庭用手袋 コロナ禍収束以降は市場のダウントレンドが続く
- コンドーム 24年度販売金額は5.2%増の405億円に
- 入浴剤 コロナ禍収束で縮小傾向 再活性化の鍵は「価値訴求」
- 電池 防災意識の高まりで市場拡大 24年は1140億円(4.0%増)に
- マスク 市場は特需一服も高水準維持 ニーズの変化にも注目
- OTC医薬品 24年市場は前年比1.9%増の7105億円に
経営・施策
上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。