2024年12月18日号掲載記事より
本紙が選ぶ2024年10大ニュース
2024年も年末に入り、間もなく、新しい年を迎える。今年はコロナ禍の影響から完全に抜け出した感があり、人流は昨年以上に活発化、訪日外国人はコロナ禍前を上回る勢いで推移している。だが、地球環境温暖化による異常気象、原材料の高止まり、物価高、物流2024年問題からくる人手不足など企業活動に影響を与える材料は山積しており、不透明感は依然として継続した。こうした中、日用品業界では多くのメーカーが高止まりする原材料価格を吸収するため値上げを継続、原材料価格が一時期よりも落ちついたこともあり、総体的にはメーカーの収益の改善が進んだ。しかし、商品単価が上昇したことで、特に食品を扱う小売業は客数減、販売数量の減少に悩まされるといった問題が鮮明になった。このような1年を出来事や話題から振り返り、本紙が選ぶ10大ニュースとしてまとめた。
①値上げ継続で業績好転、生活防衛意識の高まりは販売数量に影響
②物流2024年問題を背景に物流現場の人手不足深刻
③2024年も災害・異常気象が多発
④記録的な猛暑で季節品が好調
⑤小林製薬が紅麹関連製品を自主回収、社会問題化、業界内にも衝撃
⑥ツルハHDとウエルシアHDが経営統合へ、イオンが発表
⑦JACDSが活動開始25周年、新体制で始動
⑧全国化粧品日用品卸連合会が設立50周年
⑨環境負荷低減、効率化、省力化に向けた企業間連携が目立つ
⑩アイリスオーヤマ、王子ネピアから「Genki!」を取得、ベビーオムツ市場に参入
JACDSが会見、健康生活拠点となり、well-being社会の実現目指す
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は12月6日、都内で開かれた薬業4団体合同記者会見で、塚本厚志会長(マツキヨココカラ&カンパニー副社長)が今年1年の振り返りと2025年のドラッグストア(DgS)業界の展望等について言及した。
塚本会長(写真中央)は我が国を取り巻く環境に触れ、「社会課題の1つに高齢化への対応が挙げられる。人口減少の中、2040年には65歳以上の高齢者人口の割合が35%に達すると予測されるほど超高齢社会となる」と説明した上で、この中で「DgSはセルフケア・セルフメディケーションを推進する真の『健康生活拠点』となることで、この社会的課題の解決に取り組み、well-being社会の実現を目指していくべき」との見解を示した。
特にwell-being社会の考え方について、「よく“健康”がキーワードと捉えられているが、“美しく”や“生活をより豊かに”というテーマもある。これはDgSが活躍できる領域が広いことを意味する。H&BCのみならず日常の食の解決やクレンリネス、ハウスキーピングなどにも貢献していく」と言及。協会として、これがインフラとして地域に定着するよう活動を進めていく意向を示した。
さらには今年6月からの協会執行部の新体制移行にも触れた上で、最終的には「生活者から『身近にDgSがあって本当に良かった』と感じてもらうために環境整備を図り、会員・賛助会員企業の役に立てるよう取り組んでいく」と述べ、昨年以上に、法律・規制に対して生活者目線での意見具申や行政・関係団体との連携を強化するガバメントリレーション活動をより推進していく方向性を語った。
なお当日は、今後の事業計画も公表され、10項目に渡る施策に取り組んでいくほか、業界の一大イベント「第25回JAPANドラッグストアショー」は25年8月8~10日の3日間、東京ビッグサイトで行われる予定であることも示された。
コーセー、タイのピューリ社を子会社化 グローバル戦略を加速
コーセーは12月10日、タイを中心にホリスティックウェルネスブランド「パンピューリ」を展開するピューリ社の株式の取得について両者間で株式譲渡契約を締結したと発表、この件について同日、都内で開催した「コーセー グローバル戦略発表会」で詳細を説明した。
「パンピューリ」ブランドは2003年にVorravit氏によって創業され、古代アユタヤ王国から記憶されているハーブやエッセンシャルオイルを使用、タイの伝統的なウェルネスアプローチが現代にも息づく、タイを代表するラグジュアリーなホリスティックウェルネスブランドであり、2022年から2023年の売上げは約48億円。商品は高価格帯で、主にタイ国内での販売が中心で中国、欧州、日本などでも展開を開始している。
小林社長は、新中長期ビジョンに基づきグローバル市場戦略を地域最適化と地域に根づいたブランドの取得の両面から進めることを示し、今後、中華圏市場を引き続き重要視しつつも、次なる成長領域としてグローバルサウス市場を強化する考えを強調、今回のピューリ社の取得は、地域に根づいたブランド取得の第1弾であり、タイ市場に注目した理由は、おもてなし文化の共通性、美容大国としての歴史的背景、そしてバンコクは国際的な都市としてブランドのグローバル化にふさわしい点を挙げた。また、小林社長はピューリ社とコーセーの親和性について触れ、モノづくりへのこだわり、ブランドコンセプトの一貫性をトップがリードしている点などを挙げ、ウェルネス価値の提供という観点からピューリ社の取得の意義を伝えた。
アイスタイル「@cosmeベストコスメアワード2024」発表
アイスタイルは12月5日、都内で「@cosmeベストコスメアワード2024/2025上半期トレンド予測発表会」を開催。当日は2024総合大賞発表・授賞式と、2024ワンポイント解説、2025上半期トレンド予測発表などが行われた。(写真)
「@cosmeベストコスメアワード」は、昨年11月1日から今年10月31日の期間に@cosmeメンバーから寄せられたクチコミ投稿をベースに、生活者が支持する商品を表彰するもの。
2024年の総合大賞には、角層ケアまで処法できるクレンジングに進化した国産・中価格帯ブランド「アテニア」のクレンジングオイル「スキンクリアクレンズオイルアロマタイプ」が選出された。同社によれば、クレンジングオイルが総合大賞を受賞するのは初とのこと。
また受賞ポイントとしては、「中価格帯でありながらデパコス級の質の良さと香りがご自愛ニーズにヒット」「詰め替え作業の手間を軽減させる『エコパック』も好感度◎」などが挙げられていた。
発表会では遠藤宗社長が登壇し、直近での化粧品業界について独自の見解を提示。現在の市場の置かれた環境について、「全般的に自分にとって価値のある商品を選択するという傾向がよりシャープになってきた中、国内の化粧品市場は元気だったと捉えている。口コミやリテールでの現状を見てみると“ベースメイク”が市場をけん引していた印象を受ける。また“打倒、暑さ”というキーワードも口コミで見えてきた」と指摘した上で、特に化粧崩れや日焼けの対策、また美容効果の高いベースメイクに注目が集まっていることを示唆し、この傾向は来年も続くとの見解を示した。
なお、「@cosmeコスメアワード2024」総合TOP3は、2位・コスメコデルテ「ルースパウダー」、3位・rom&nd「ハンオールブロウカラ」であった。
フマキラー、25年3月期中間決算・売上高9.3%増の405億円
フマキラーは12月5日、「2025年3月期第2四半期決算説明会」をオンラインで開催。大下一明社長、加藤孝彦専務国内営業本部長、村元俊亮常務国際本部長兼国際企画部長、郷原和哉取締役管理本部長が出席し、当期概況と通期予想、今後の展開について説明を行った。
それによると当期連結決算業績は、売上高405億5000万円(前期比9.3%増)、営業利益16億2400万円(13.8%増)、経常利益15億6500万円(11.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益7億4200万円(17.3%減)であった
大下社長(写真)は当期を振り返り、「国内では値上げによる一定の増収効果はあったが、急激な為替変動や原材料価格の高止まりの影響が依然残り、競争激化での販促費増加もあって粗利が減少した。一方で東南アジア・欧州とも現地通貨ベース・円貨ベース共増収となった」と総括。
また今後の課題として、原材料価格高止まりへの対応や国内事業の強化を挙げ、前者では国内は引き続き原価や競争状態を踏まえつつ、25年年初で値上げを実施し、収益の回復に努めていき、後者では残暑等販売期間の長期化に対して、返品削減や販売強化の推進、インバウンド需要の拡大を見据えた営業展開をさらに進めていくなどの施策に取り組む意向を示した。
2024年12月18日号 記事一覧
会合・発表会
- サンスターと山梨県など、県民の口腔の健康づくり公開講座を開催
- NSファーファ・ジャパン、25年上期新商品発表会開催 海外展開を強化
経営・施策
- 貝印、「製品安全対策優良企業表彰」で審査委員会賞(優良賞)を受賞
- ユニリーバ・ジャパン 「UMILEプログラム」登録者数115万人突破
- ユニ・チャーム、「緑の募金」で林野庁から感謝状を受領 取引先22社と
- サンスター、ペットのトイレ空間に最適「QAIS-air-04A1J」を団体に寄付
製品・サービス
- ファンケル、自社初の小学生向けスキンケア商品「クリアアップ」を発表
- True DataのAI販促ソリューションをウエルシアHDが導入
- 日本製紙クレシア、スコッティファイン洗って使えるペーパータオルが受賞
- サンギ、「アパガード キッズ」が育児メディア選出アワード受賞
- 花王、「キュレル」から潤浸保湿ファンデ負担防止ベース発売
- ユニリーバ、毎年好評「ラックス サクラシリーズ」今年も販売
- バスクリン、「バスクリン花ゆらら」からミモザの香りを再発売
- ナリス化粧品、新「ネイチャーコンク」を来年の「ふきとりの日」に発売
- ナリス化粧品、新ボディケアブランド「メゾン ド カーム」立ち上げ
- スギ薬局、PBエイジングスキンケア「プリエクラ」から新感覚オイル発売
- イオン、「トップバリュ」初のベビーフード発売 18品目で展開
- サンロード、おうちマスク「極とりフィルター」新発売
- サンギ、美白歯みがき剤「アパガードセレナ」累計出荷本数100万本突破
宣伝販促
- I-ne、コーポレートサイトが第12回Webグランプリで受賞
- ユニ・チャーム、「GO WITH わんこプロジェクト」旅行キャンペーン実施
研究・開発
- 桃谷順天館、「ショウガ根抽出物」と「センブリエキス」の新知見を発見
調査・統計
- クラシエ、年末年始に向けて「家族旅行スタイル」調査結果発表
- 東家同 24年11月度市況概況価格調査 月間通して安定的に販売
- KSP-POS 2024年11月 カテゴリー別ランキング
イベント・展示会
- ハリマ共和物産、第116回ブツブツ会開き53名が参加して盛況に
- 大阪医療品卸商組合、「西日本医療品総合展示会」来年1月23~24日開催
- ダリヤ、「サロン ド プロ白髪川柳」2024年の年間グランプリ決定
時評・コラム
- 時評 平和産業の使命を忘れず越年へ
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