2024年11月20日号掲載記事より
ライオン、24年12月期3Q決算、収益構造改革効果で大幅な増益に
ライオンは11月11日、都内で記者懇談会を開き、久米裕康取締役兼上席執行役員、福田健吾取締役兼上席執行役員が出席して、2024年12月期第3四半期の業績、一般用消費財事業の収益構造改革に向けた取り組みなどについて説明した。
同期の連結業績は売上高3011億5900万円(前期比1.7%増、為替の影響を除く実質0.6%減、為替・事業譲渡の影響を除く実質0.5%増)、事業利益186億2300万円(47.8%増)、営業利益171億900万円(36.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益126億6400万円(43.1%増)で増収増益となった。売上高は年初公表に対して想定通り。事業利益は収益構造改革の効果もあり想定を上回った。
セグメント別では、一般用消費財事業は売上高1887億8500万円(3.9%減)・事業利益83億6000万円(171.3%増)となった。同事業の分野別の売上高増減率は、オーラルケア4.8%増、ビューティケア0.4%増、ファブリックケア12%減、リビングケア4.6%減、薬品1.9%減(事業譲渡・ブランド譲渡の影響を除く実質3.8%増)、その他8%減(同3.3%減)。また海外事業は売上高1233億1500万円(12.5%増、実質5.8%増)・事業利益72億5700万円(21.5%増)であった。
なお「Vision2030」2nd STAGE(25~27年)に向けた一般用消費財事業の収益構造改革については、「事業分野の峻別(重点分野の強化、非注力分野の整理)」「高付加価値化・値上げ(150億円規模)」「SKU削減(SKU数30%削減・約270SKU)」「競争費用の効率化(売上高競争費率マイナス2pt)」をKPI(27年・23年比)に設定。また、事業構造改革では「棚卸資産圧縮(在庫日数30%短縮)」「生産性向上(固定資産の活用・整理、生産拠点・品目の最適化)」「間接業務・コスト効率化(組織・機能集約、標準化、デジタル化)」をKPI(同)に設定している。
PALTAC、25年3月期2Q決算説明会を開く
PALTACは11月11日、報道関係者を対象にオンラインで「2025年3月期第2四半期決算説明会」を開き、吉田拓也社長、嶋田政治取締役専務執行役員経営企画本部長、村尾直人常務執行役員財務本部長が出席し、同期の業績、中期経営計画達成に向けた重点取り組み、業績予想などについて説明した。
冒頭、あいさつに立った吉田社長(写真中)は、売上高は若干の計画未達も営業利益は計画を上回ったことにふれ、「配送コストや人件費の上昇が今後も見込まれることから、売上拡大と新機能の開発等にしっかり取り組みたい」と言及。また中間流通業としての価値を更に発揮できるよう「中期経営計画並びに長期ビジョンの達成に向けて確実に歩みを進めたい」と述べた。
嶋田本部長の説明によると、同期の連結業績は売上高6004億2700万円(前期比2.9%増)、営業利益139億7700万円(1.5%増)、経常利益161億8000万円(3.6%増)、中間純利益118億9600万円(9.2%増)で、増収増益となった。
台風10号に伴う外出関連商材の不調やサプリメントを中心にした一部商材の買い控えの発生などから計画比では売上高は若干の未達となったが営業利益は計画を上回り、前期比では外出・インバウンド需要の増加や新規商材の取扱強化などが奏功し、売上高・営業利益ともに過去最高を更新した。
一方、売上総利益は、売上拡大や売買差益改善で増加も、食品物流受託開始に伴う初期費用や物価高騰の影響で前年同期比で8億5000万円増、2.0%増の441億8100万円、販管費は人財投資で増額となったが、改善取組みや固定費吸収効果により、302億300万円と前期比6億4100万円の増加、計画対比では約2億円の減少となった。
さらに中期経営計画達成に向けた重点取り組みとしては、「グローバルネットワークの構築」「物流の価値提供領域の拡大」「サステナビリティの向上・資本効率を意識した経営の実践」を挙げ、それぞれについて詳細な説明を行った。
あらた、25年3月期中間期決算 売上高、営業・経常利益が過去最高
あらたは11月12日、2025年3月期中間期の連結業績を発表した。それによると売上高4915億2200万円(前期比4.3%増)、売上総利益486億4100万円(5.3%増)、販売管理費404億6700万円(5.9%増)、営業利益81億7400万円(2.5%増)、経常利益85億6900万円(1.7%増)、親会社株主に帰属する中間純利益58億800万円(2.1%増)となり、増収増益。売上高、経常利益は中間期で過去最高を更新。売上高は10期連続最高となった。
同期の決算について須崎裕明社長は「当期は営業利益、経常利益は中間期目標値に対して未達であり、販管費の増加が主な原因だった。しかし、今期末、『中期経営計画2026』の目標達成の要となる売上高については目標数値を上回り順調に推移した。売上高の増加要因は、中計の重要施策として継続してきた注力カテゴリーのヘルス&ビューティー(H&B)やペットカテゴリーが順調に伸び、その中でも、外出機会の増加による基礎化粧品やメイクアップ化粧品の売上増加が大きかった。また、専売流通品の売上拡大、大容量品、高付加価値商品の戦略的な売上拡大により、商品単価が向上したことも要因となった。新規小売業様との取引が拡大したことで下期、さらに来期の売上拡大に向け、順調に推移している」と振り返った。
売上高、売上総利益に対する下期施策は、引き続きH&B、ペットカテゴリーの拡大を進める。さらに下期から新規取引先及び既存取引先との取引拡大、アジアンコスメなどの新規ブランド開拓による品揃えの充実、専売・優先流通品の拡大を進め、コスメやヘアケア以外のカテゴリーも含め、拡大強化する。「売上高・売上総利益の拡大と販管費率改善を両輪で進めることで通期目標を達成する」と須崎社長、目標達成に向け積極的に取り組む。
東海卸組合、令和6年度化粧品・トイレタリー合同部会を開催
東海化粧品日用品卸組合(今村佳央理事長)は11月13日、名古屋市内で「令和6年度化粧品・トイレタリー合同部会」を開き、加盟組合卸・賛助メーカーら約50名が出席した。(写真)
今回は、①2024年度上期の実績動向と秋の新製品②今後の商品動向と返品削減③卸への要望/メーカーへの要望――の3つの議題を設定し、司会のPALTAC・矢﨑裕明中部支社営業統括部長の進行により、合同部会が進められた。
今回指名を受けたのは、①大日本除虫菊②ライオン③ファイントゥデイ④コーセーコスメポート⑤エステー⑥ユニリーバ⑦サンスター⑧ホーユー⑨カメヤマ⑩FDK⑪伊勢半⑫クラシエHP販売⑬旭化成HP⑭デンタルプロ⑮ユニ・チャーム⑯クレハ⑰バスクリン――の17社。各社は約5分の持ち時間の中で、参入カテゴリーの市場動向や、自社での取り組みや現状について報告した。
その中で、2024年度上期の実績動向では、8月8日の「南海トラフ地震臨時情報」の発表を受け、ラップ類や乾電池などの需要が急伸したこと、また、夏季の猛暑と残暑の長期化により、殺虫剤や制汗剤などの夏物商品が好調となった一方で、秋冬商品(防虫剤、カイロ、ハンドクリーム等)の立ち上がりの遅れが見られていること、近年好調を続けているカテゴリーとして「オーラルケア」「シートマスク」などが報告された。
メーカーの発表終了後、卸売業を代表して中日物産・山口哲矢社長が、メーカーに対する要望として、「地域卸が受け持つ小売業が減少する中で、我々が新しい販路での売上げを作る時、直送・小ロットに対応いただけると助かる。地域卸が取り組む新たな販路の開拓はメーカーにおいても売上げの純増になると思う」と述べた。
コーセー、中長期ビジョン発表 2026年節目に純粋持株会社体制へ
コ―セーは11月11日、同社本社でマスコミを対象にした「中長期ビジョン説明会」を開き、持続的な成長を目指す「ビューティコンソーシアム構想」の実現に向けて創業80周年(2026年)を節目に、純粋持株会社体制への移行について検討を開始したことを明らかにするとともに、中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner-Milestone2030」をロードマップとして策定したこと、さらに日本での盤石な事業基盤の構築と圧倒的な存在感の確立により、確実なリソースを生み出し、「脱・自前」による地域に最適化されたグローバルでの事業成長を進めていくこと、そして「強い企業」に変革するために積極的な成長投資と経営効率の向上を目指す考え表明した。
中長期ビジョンについて説明した小林一俊社長は、純粋持株会社体制へ移行や「脱・自前」の方針、2030年のマイルストーンとして財務目標と非財務目標の両方を設定したことを詳述するとともに、地域戦略の考え方として、4つの事業体(コ―セー、コ―セーコスメポート、アルビオン、タルト)が有機的に連携し、グローバルな市場攻略を推進、グローバルサウス市場(ASEAN・インド)の攻略を最優先に位置づけ、中華圏(免税含む)市場への依存度を下げる方針などを示した。
最後に小林社長は「今回の中長期ビジョンでは国内で稼いだ利益を成長投資に回すことが大きなポイントである。これを強力に進めていきたい。既存事業の収益性の改善によるキャッシュの創出と手元資金を有効に活用し、M&Aや事業提携などのインオーガニックな成長のための投資に回して、新たな事業領域拡大に繋げていきたい。さらに研究開発、業務改革、IT投資、デジタルを活用した稼ぐ力の再構築に繋がる投資も積極的にしていきたい。また、南アルプス工場を含めた生産設備への投資も引き続き行い、効率的かつ付加価値の高いモノづくりができるように、環境負荷を低減するための生産体制の構築も必要不可欠と考えている」と締めくくった。
2024年11月20日号 記事一覧
会合・発表会
- 生防協、通常総会開催 「登録マーク」の啓発、宣伝等の活動を継続
- サラヤ、25年方針説明会・新製品発表会開く 地球の未来への貢献目指す
- ペットとの共生推進協議会、「第13回共生推進シンポジウム」を開催
- イオンレーヴコスメ「イヴ・ロシェ」、国内展開5周年、売上げは10倍に
経営・施策
- 伊勢半本店、来年1月1日付で「㈱伊勢半ホールディングス」に社名変更
- 花王、「ロジスティクス大賞」大賞〈技術革新特別賞〉受賞で表彰
- スギ薬局、クラシエグループと協働でAED寄贈事業を実施
製品・サービス
- コーセーコスメポート、「ソフティモ ナチュサボン セレクト」限定品発売
- マツキヨココ、花王と協働で「ソフィーナiP」からうるおい秒ミスト発売
- 桃谷順天館ジュネフォース事業部、美容医療発想の「メディダーマ」発売
- UYEKI、「インフクリン」「ノロクリン」冬のウイルス対策に注目
- ユニリーバ、「Cif クリーンブーストスプレー」イオンなどで先行発売
宣伝販促
- ピップ、「ピップエレキバン」と「CHARGE」ヤエチカ店限定でコラボ実施
- P&G「Oral-B by Braun」ブランド史上初の小売店・歯科医院との展開
決算
- ユニ・チャーム、24年12月期3Q決算 売上高は7年連続で過去最高を更新
- 小林製薬、24年12月期3Q決算は減収減益 通期純利益予想を下方修正
- アース製薬、24年12月期3Q決算発表 2026年にバスクリンと経営統合へ
- アルフレッサHD、25年3月期2Q決算は増収もセルメ事業は0.7%減に
- サミット、25年3月期中間期は増収減益 過去の延長線上にない挑戦を継続
研究・開発
- クラシエ、白濁ナノエマルジョン技術を開発 肌への油分の浸透性に優れる
調査・統計
- KSP-POS 2024年10月 カテゴリー別ランキング
イベント・展示会
- 貝印、「いい刃の日〈11月8日〉」PRイベント開催 活動の実績と成果報告
- アース製薬、モンダミンセミナー開催 プロケアとセルフケアを啓発
- サラヤ社長・更家氏が理事長を務める財団が万博機運醸成イベントを開催
- 牛乳石鹸共進社、「いいふろまつり」11月23~26日、あべのハルカスで開催
- 貝印、帽子コンテスト最優秀作品発表 応募者数昨年度比で190%に増加
時評・コラム
- 時評 価格改定の成果を今こそ生かして
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