2024年5月15日号掲載記事より
コーセー、iPS細胞を活用したパーソナライズ美容商品の展開へ
コーセーは5月8日、同社本社でiPS細胞を活用したパーソナライズ美容商品の新規事業に関する説明会を開催。顧客自身のiPS細胞から抽出した成分「iPSF」を配合したパーソナライズされた美容商品の開発・提供をアイ・ピース、レジュとの技術提携により目指すと発表した。
コーセーは製剤開発の強みを、アイ・ピースはiPS細胞作製・培養・管理・生産技術を、レジュはiPSF抽出技術と効果検証の実績を持ち寄る。3社の強みを組み合わせることで、これまでにない新しい美容ソリューションの実現を目指す。医療機関を通じて2024年度中に実証実験を開始し、26年度までに事業を本格的に開始、早期に顧客数数百人を目指す。
この取り組みの狙いは、顧客にとって“わたしだけ”の美容商品を提供すること。顧客自身の血液などから採取した体細胞からiPS細胞を作製し、そこから抽出された成分を美容商品として享受することができる。iPS細胞は作製過程で細胞の若返りが起きるため、自身の若い時と同様に活性化した細胞を活用できるメリットに加え、自分自身のiPS細胞から得られる「iPSF」は生体適合性が高く、安全性が高いという利点がある。
価格は高級化粧品の価格帯を想定しており、コーセーで最も高い12万円(1本)のクリームを超えない範囲を考えているという。販売方法は、2カ月で使い切れる量の化粧品年間6本の定期購入契約とする予定。医療機関での院内調剤の形式となる見込み。
説明会では、コ―セーの原谷美典執行役員経営企画部長、田中健一経営戦略室長、アイ・ピースの田邊剛士CEO、レジュの神谷友里江CEOが出席し、前述の内容等について詳述した。
ライオン、24年度第1四半期決算は増収増益 オーラルケア、薬品が伸長
ライオンは5月9日、都内で懇談会を開き、久米裕康取締役兼上席執行役員、福田健吾取締役兼上席執行役員が出席し、2024年度第1四半期の連結業績を発表した。
それによると、同期の業績は売上高929億6500万円(前期比2.3%増、実質0.2%減)、事業利益39億9400万円(59.6%増)、営業利益48億9300万円(107.2%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益35億4800万円(124.9%増)の増収増益となった。
売上高は2.3%増だが昨年11月の機能性食品の譲渡を勘案すると3.1%増(実質0.7%増)となる。
事業利益は前期より約15億円増加したが、これは粗利増に加え、国内では収益性の改善に取組み、様々なコストダウン等によって増益となった。
通期業績予想は、売上高4100億円(1.8%増)、事業利益230億円(14.2%増)、営業利益270億円(31.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益190億円(29.9%増)。
なお、24年度は中計3カ年の最終年度だが、その目標値を下回る公表値を据え置いていることについて、福田取締役は「この数値は死守したい。1Qは順調だが、円安、中東情勢からの原油の値上がり等、年初よりネガティブな要因がある。このため追加の効率化施策、高付加価値商品の更なる拡販策を講じ、打ち返していきたい。なんとしても増益にさせる気持ちで取り組んでいく」と語った。
花王、24年度1Q決算は構造改革効果で大幅増益に サニタリーは黒字化
花王は5月9日、2024年12月期第1四半期決算(IFRS)を発表。売上高3657億9700万円(5.2%増、実質0.4%増)、営業利益219億8400万円(201.7%増)、税引前四半期利益247億6400万円(193.4%増)、四半期利益173億2600万円(222.6%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益164億7000万円(241.9%増)の増収かつ大幅増益となったことを明らかにした。
特に利益面については、①構造改革効果(高付加価値化による価格改定を含む)が大きく寄与し、売上総利益率が4.4ポイント上昇、営業利益は対前年同期で147億円増となったこと、②ファブリック&ホームケアの営業利益率が16.1%(+8.1ポイント)まで回復したこと、③「メリーズ」の構造改革による固定費削減によりサニタリーが黒字化したこと、④化粧品が計画通りに進捗したこと――などが貢献したという。
コンシューマープロダクツ事業の売上高は2812億円(6.0%増、実質2.2%増〉)・営業利益148億円(対前年同期114億円増)で、地域別売上高は日本1731億円(6.2%増)、アジア541億円(2.8%減、実質10.1%減)、米州330億円(11.3%増、実質0.4%減)、欧州210億円(24.2%増、実質8.5%増)となった。
なお、同社は第2四半期以降、①ポートフォリオマネジメントの強化を継続②ハイプレミアム市場を開拓し、ヘアケア事業の変革を加速③スキンプロテクション事業のグローバル展開拡大――の3テーマに注力していく方針。
あらた、24年3月期業績は売上高・経常利益が過去最高に
あらたは5月9日、2024年3月期の連結業績並びに「長期経営ビジョン2030」の第2フェーズとなる「中期経営計画2026」(2024年3月期~2026年3月期、以下中計2026)の進捗状況を発表した。
須崎裕明社長の説明(動画)によると、同期の連結業績は売上高9441億4900万円(前期比5.9%増)、売上総利益924億1800万円(6.5%増)、販売管理費779億900万円(5.3%増)、営業利益145億800万円(13.2%増)、経常利益153億4100万円(12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益103億2200万円(25.5%増)となり、売上高・経常利益は過去最高を記録。9期連続で増収増益を達成した。
要因は、原材料費高騰に伴う値上げにより商品単価が向上、大容量品や高付加価値商品の売上げが増えたことに加え、専売・優先流通品の売上げが拡大したこと、従来からの注力カテゴリー(H&B・ペット)が伸長したこと、新型コロナ5類移行に伴う人流・外出機会の増加で化粧品等の売上げが好調に推移したことによる。
須崎社長は同期の振り返りとして、「上期及び3Qまで売上総利益額は7%増を超え、販管費は売上総利益額の伸びよりも2ポイント以上抑えられていたが、4Qは値上げが一巡したことや得意先センターフィーの増加、人件費・物流費の増加により売上総利益額の伸びが減少し販管費が増加した。この傾向は今後も続くことが予想できることから、『中計2026』の達成に向け4Qに先行投資を実施している。またIT中計施策の実践及びサプライチェーン全体での物流効率化により、販管費を抑制し1人当たりの利益拡大を図っていく」と述べた。
2025年3月期連結業績は売上高9690億円(前期比2.6%増)、営業利益163億円(12.3%増)、経常利益166億円(8.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益110億円(6.6%増)を見込む。
富士薬品、「第19回富士共進会」429社・815人が参集し盛況に
富士薬品グループの取引先関係企業で構成する富士共進会の「第19回総会」が4月24日、都内で開催され、429社・815人が参集する中、高柳昌幸社長によるグループ全体の基本方針、羽田洋行取締役常務執行役員ドラッグストア(DgS)事業本部長によるDgS事業の方針・24年度の取り組み等の発表が行われた。
高柳社長は23年度のグループ連結業績〈決算確定前〉について、売上高3862億円(前年比3.6%増)、経常利益87億円(22.1%増)との着地見通しを明らかにした。
続けて配置薬や医薬品製造等各事業の現況報告を行う中、特に市場環境が厳しさを増すDgS事業の現況に触れ、「配置薬とDgS、すなわち訪問と店舗の両チャネルを持つ当社の強みを活かすべく、様々なトライアルを実践している」と実情を報告。さらに2030年に迎える創業100周年に当たっての心構えについて「あらためて自社のブランド価値、存在意義は何かと問うた時、『お客様の元気な暮らしを支えるために存在すること』だとあらためて感じた。新スローガンを『とどけ、元気。つづけ、元気。』とし、この実現に向けて全社員一丸で取り組む」と語り、来場した取引先関係者に協力を求めて報告を締めた。
続いて主力のDgS事業について現況と24年度の事業方針等について羽田取締役が報告。23年度〈決算確定前・単体+グループ7社〉の売上高は3543億1100万円(6.0%増)、経常利益78億4200万円(35.7%増)と増収増益の見通しであり、「既存店の活性化を掲げ、改装や調剤併設化、24時間営業の推進に加え、販促強化も取り組んできたが、一定の成果が表れてきた」と総括した。
なお富士共進会総会は、岡本正敏会長(森川産業特別顧問)の下、決算報告・予算案等が決議され、議案すべてが承認された。
2024年5月15日号 記事一覧
特別企画
- 特別企画 【対談】第一石鹸・神谷社長×ミツエイ・安部社長
倒産・廃業
- 澁谷油脂、自己破産申請手続きへ
経営・施策
- サプリコに内金(三重県)が加入「サプリコ伊賀」 メンバーは65社に
- ユニ・チャーム、人事制度を改定、年収最大約37%引き上げなど
- 小林製薬、紅麹関連製品をめぐる対応に関する調査・検証の方針など決議
- 花王、日本の購入電力100%再生エネルギー化を実現
- インテージ、子会社のインテージクオリスを吸収合併へ
- ユニ・チャーム、「SX銘柄」に選定
- エステー、「消臭力PA」「米唐番」の出荷価格を9月から改定へ
- エステー、モリラボシリーズ4製品が景品表示法に基づく措置命令受ける
- DHC、パーパスを制定 コーポレートロゴも一新
製品・サービス
- True Data、購買データ閲覧サイト「ウレコン」登録者数が3万人突破
- 花王、衣料用液体洗剤「アタック抗菌EX ラク干しプラス」新発売
- 花王、「メリット ドライシャンプーシート」数量発売品発売
- ユニ・チャーム、ライフリーのび~るフィットうす型軽快テープ止め発売
- 牛乳石鹸共進社、「バウンシアボディソープ」10%増量企画品限定発売
- ユニ・チャーム、イオン九州の店舗などで「RefF(リーフ)」商品販売
- ユニ・チャーム、コーナン商事の店舗などで「RefF(リーフ)」商品販売
- 日本製紙クレシア、「スコッティ」から春の新製品発売
- 花王、「エッセンシャルプレミアム」からモネデザインボトル限定発売
- 花王、「メルト スパークリングケアスプレー」発売
宣伝販促
- デンタルプロ、「磨くを変える。キャンペーン」6月1日から実施
- 貝印「AUGER」、「TOKYO BURNSIDE」とコラボ 新ジャンル食体験提供
- ライオン、「スマイル40 プレミアム ザ・ワン」新CM放映中
- エステー、「ムシューダシリーズ」新CM放映開始「だいじな服には春」編
- 日本ペットフード、「コンボ ピュア」「ビューティープロ」キャンペ実施
人事・組織
- 東流社、熊谷泰専務が新社長に就任 芳賀社長は会長に
- エステー、取締役候補者を内定
決算
- ユニ・チャーム、24年度1Q連結決算発表 売上高3年連続で過去最高更新
- サミット、24年3月期業績は増収増益、既存店売上高前期比伸び率7.1%
- エステー、24年3月期業績は減収減益に 衣類ケア、サーモケア等が低調
調査・統計
- KSP-POS 2024年4月 カテゴリー別ランキング
- 経済産業省 24年2月度洗浄剤統計 数量減・金額横ばいの傾向続く
- 粧工会 24年1月化粧品統計 合計112.2%と好調な出足
- 界面工、23年界面活性剤動向を発表 数量減、金額増に
- Dr.SYUWANが調査 スキンケア商品選びは「ブランド」より「成分」
- コーセーコスメポートが調査 「汗・水・こすれで日やけ止め落ちる」悩み
- マンダム、男性のVIOケア調査 ケアすることで快適さを実感
イベント・展示会
- フマキラー、「ももフマ小学校」を開講 ももクロと一緒に小学生を応援
- ライオン×日本歯科医師会、キッザニア東京で6月4日にイベント開催
- 貝印、帽子デザインコンテストのエントリー受付中
- アース製薬、「大阪・関西万博」に日本MA-T工業会とともに出展
- UYEKI、「美フェス2024」に出展 実演販売で美香柑シリーズを訴求
- 日本香堂、「母の日参り 俳壇」入選作決定 昨年上回る1511句寄せられる
施設・店舗
- シャボン玉石けん、本社機能の一部移転 6月3日から新事務所で業務開始
- マツキヨココカラ、グアム1号店がオープン 海外展開は5エリア目
時評・コラム
- 時評 中堅・中小の提携が進むか
その他
- ライオン、濱逸夫相談役が「旭日中綬章」を受章
- 児玉兄弟商会、児玉悟会長が春の叙勲で「旭日単光章」を受章
特集 【ヘアケア】
- ヘアケア市場 近年は縮小トレンドもプレミアムヘアケアは順調
- ヘアカラーリング市場 白髪用はカラートリートメントが2ケタ増
- 花王 瑞々しくやわらかい、とろけるようなツヤ髪へ導く「melt」発売
- ファイントゥデイ 「+t m r」ブランド累計出荷数195万個突破
- コーセーコスメポート 「ジュレームリラックス」から限定セット品発売
- クラシエ 「いち髪 THE PREMIUM」シャンプー&トリートメント改良
- ライオン 「ソフトインワン」手早く洗える+軽やかに仕上がるで人気
- ユニリーバ 「クリア」ストリートファイターとコラボ 限定セット発売
- 日本石鹸 「WINS Premium」から椿油ヘアケア3品リニューアル発売
- マンダム 多様な個性引き出す男性美容家電ブランド「ium」誕生
- ダリヤ 「クレオディーテ シークレットハイライト」新発売
- 三宝 「テンスターヘア カラートリートメント」新色を発売
- P&Gジャパン 「パンテーン」ベーシックライン全面リニューアル
- I-ne 「ツヤ膜ラッピング」シャンプー「Qurap(キュラップ)」新発売
経営・施策
製品・サービス
上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。