2024年1月10日号掲載記事より
能登半島地震が発生、甚大な被害 業界企業も支援物資、義援金を拠出
1月1日に発生した能登半島地震は、被災地に、甚大な被害をもたらした。石川県によると死者180人、安否不明者が120人、住宅被害は1425棟に上っている(9日9時現在)。避難生活を余儀なくされている人も多く、政府、自治体、民間団体、企業は支援物資の供給などを全力で進めており、日用品・化粧品業界でも支援に動き出している。
今回の地震による被害により流通ではコンビニ、スーパー、ドラッグストアなど店舗の損傷や商品の落下等により、休業や営業時間の短縮など影響が出ており、復旧活動を進めている。
卸売業では建屋の一部損傷、商品落下などの被害が発生。PALTACは、大型物流センター2拠点(RDC北陸、RDC新潟)で建屋・機器の一部損傷、商品の荷崩れ等の被害が発生し、早期復旧に向けて取り組んでいる。2センターが被災したことに伴い、当該エリアの出荷は当面他の物流センターからの代替出荷を行っている(4日現在)。
メディパルホールディングスは、メディセオの七尾支店の建屋の一部破損や商品の落下、金沢ビルで漏水による断水や商品の落下、富山ビルで建屋の一部破損や商品の落下が発生したが事業継続には影響はないという。
あらたは、北陸エリアの各センター・オフィスで商品の落下等が発生したが2日午前中には全て復旧し、商品供給を開始した。各社とも人的被害はなかった。
被災地へ義援金や支援物資を届ける活動は業界企業でも始まっている。経済産業省が発表した支援物資協力企業(8日12時現在)によると、コアレックス信栄=トイレットペーパー、花王=消毒液・ボディシート・洗口液・次亜塩素酸ナトリウム、ライオン=消毒液、電池工業会=乾電池・スマホ用充電器・ランタン、小林製薬=消臭剤〈仮設トイレ用〉・使い捨てカイロ、ピジョン=使い捨て哺乳瓶、イオン=食料・水、セブン&アイ・ホールディングス=同、セブンーイレブン=同、ファミリーマート=携帯トイレ・食料・水、大王製紙=ウェットタオル等が支援物資として提供された。
今回の被害は寒冷地で底冷えのする避難所での生活を余儀なくされている人が多いだけに、感染症の拡大など健康面への影響が懸念される。衛生的な生活を送る上で重要になる当業界の支援物資を迅速に必要に応じて供給することが重要であり、関係機関との連携、適切な対応が求められる。
「2024年日用品化粧品業界年詞交歓会」開催 268名が参加
2024年の日用品化粧品業界の幕開けとなる「2024年日用品化粧品業界年詞交歓会」(近畿石鹸洗剤工業協同組合、大阪府化粧品日用品卸組合、新報メディア共催)が1月5日、大阪市内の新阪急ホテル2階宴会場「紫の間」で開かれ、メーカー・卸売業をはじめ業界関係者268名が参加した。あいさつや懇親の場では、国内経済をけん引するために業界・企業同士が互いに力を合わせることを誓い合うものとなった。
交歓会は新報メディア・藤岡章浩社長の司会で進行。開会を前に元日に起きた令和6年能登半島地震の犠牲者への黙祷を捧げた。
初めに、参加団体から、年詞交歓会会長・宮崎悌二氏(牛乳石鹸共進社社長)、近畿石鹸洗剤工業協同組合理事長・奥中泰征氏(マスター社長)、大阪府化粧品日用品卸組合理事長・石原真一氏(イシハラ社長)、日本家庭用殺虫剤工業会会長・上山直英氏(大日本除虫菊社長)、日本繊維製品防虫剤工業会会長代理・西田誠一氏(エステー執行役副社長)、日本衛生材料工業連合会副会長・森信次氏(ユニ・チャーム顧問)の6名が登壇した。
参加各団体を代表してあいさつした石原氏は、「笑顔に勝る化粧なし」と述べ、「皆を幸福にする業界になろう」と呼びかけた。
続いて参加メーカーを代表し、ライオン・竹森征之社長が、「2024年は当業界が日本経済を引っ張り、成長に貢献したと語り継がれる年にしたい」と述べ、製配販一体の「共創」を掲げた。
乾杯に移り、PALTAC・吉田拓也社長が、「当業界はこれまでもさまざまな困難を力を合わせて乗り越えてきた」とし、「物流の2024年問題や返品削減、環境対応、人手不足解消などあらゆる課題をそれぞれの企業が知恵を出し合い解決しよう」と述べ、力強く乾杯を発声。
このあと懇親宴に入り、今年1年に臨む決意を語り合う多くの輪で溢れた。
最後に参加者を代表して、サラヤの更家悠介社長が、すべての企業が元気であれば売上アップにつながるとし「元気の気を出していこう」と述べて中締めを行い、盛況の中で交歓会を終了した。
イオン、「物流2024年問題」の対応を発表 物流効率改善を前提に
イオンは昨年12月22日、社会課題である物流分野における「2024年問題」解決に率先して取り組むため、グループ共通施策として24年春から順次、全国約3300店舗を対象に物流効率改善を前提とした店舗配送方式へと移行すると発表した。
同社では仕入、物流、販売の各ステップを一連の連続したプロセスと捉え、サプライチェーン全体のオペレーションを物流効率の視点で再設計することで、配送に必要な車両数の削減やドライバーの負荷軽減を図り、ひっ迫感が強まる様々な物流リソース不足の解消を目指す。
一般的に小売業は、開店前や特売日前に物量が集中し、日別の物量差が最大2倍になるなどの物量波動が生じやすく、これが物流面の負荷要因となっている。こうした中イオンは、物流と仕入、販売のオペレーションを一体設計することで物流効率を改善するプロジェクトを各地域で進めてきた。各プロジェクトにおける成果の検証や分析を通じて、物流課題解決に必要な効率改善の手応えを得たことから、今回、グループ共通の配送方式として展開する方針とした。
具体的には、「車両効率を前提とした納品時間枠の設定と、日別物量の平準化による積載率の改善」「AIを活用した配送計画の最適化による必要車両数の効率化」「店舗荷下ろし時のドライバー付帯作業の削減」「モーダルシフトやエリア単位での共同配送のさらなる推進」の4つの施策を順次展開。これら取り組みにより最大約10%の配送効率改善が期待でき、物流の2024年問題に起因するドライバーの労働力不足解消に貢献していくとしている。
ツルハHD、24年5月期2Q決算は既存店売上高回復で増収増益に
ツルハホールディングスは昨年12月20日、都内で「2024年5月期第2四半期決算説明会」を開催。鶴羽順社長、村上誠執行役員管理本部長が登壇し、上期概況と新中期経営計画の進捗などについて説明した。
同社上期連結業績は、売上高5157億1300万円(前年同期比6.5%増)、営業利益271億4700万円(9.9%増)、経常利益275億1100万円(10.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益160億7100万円(9.8%増)と増収増益であった。
村上管理本部長は今概況について、「売上高・営業利益とも堅調な結果となった。第1四半期に続き、第2四半期も人流の回復、季節品の好調などで、コロナ関連商材のマイナスを吸収し、販売の回復が継続している。特に既存店売上げ前年比は回復傾向にある」と総括した。
一方、折り返しを迎えた新中期経営計画(~25年)の進捗について鶴羽社長(写真)は、店舗戦略では今上期69店舗の新規出店と1店舗の事業譲受、44店舗の閉店、126店舗の改装を実施した結果、上期末での国内店舗数は2615店舗となったことを解説した上で、「目標として2750店舗を目指しているが、国内外出店数は当期末で2651店舗の見込み。これだと来期は純増で99店舗が必要となる」と述べ、結果的に10~20店舗ほどショートする可能性があることを示唆した。
さらに売上高1400億円を目標とする調剤戦略にも言及。「計画通りの進捗だ。調剤併設店を増やしつつ、処方箋送信や予約システムの活用で患者の利便性向上を図ったことで処方箋応需枚数が増加した。この伸びを維持できれば売上目標は達成できる」と強調した。
mude.(ミュード)、韓国の人気コスメブランド 日本市場で本格展開
東京堂が国内総販売代理店として1月12日に全国発売する韓国の人気コスメブランド「mude.(ミュード)」の新商品発表会が、昨年12月14日、都内で開かれ、ブランドをプロデュースした韓国人気インフルエンサー・Raemi(レミ)が登場、会を盛り上げた。
「ミュード」は、Instagramフォロワー27万人を超える韓国の人気インフルエンサーのレミが2020年に立ち上げたコスメブランド。ロングラッシュマスカラは発売わずか3日で売り切れとなり、その後、マスカラを中心に多くのアイテムが韓国で人気となった。現在は韓国のみならず、中国、シンガポール、台湾、香港、タイなどアジア圏を中心に展開しており、このほど日本市場に上陸した。総輸入代理店は伊藤忠商事。
日本で展開するアイテムは、ナチュラルでボリューム感のあるロングラッシュで、長時間キープする「インスパイアロングラッシュカーリングマスカラ」(2種各10g)など計11SKUとなる。
発表会では、レミが登場してトークショーが行われ、「以前勤めていた会社で商品開発を手掛けていましたが、満足できる商品をつくることができなかったことから、『自分が満足できる商品をつくろう』と思い、2年の歳月をかけて『ミュード』を開発、発売しました。今後、日本人女性向けの商品も展開する予定なので、ぜひ店頭で手にとってほしいです」と述べた。
発表会終了後、東京堂・小野瀬光隆社長は囲み取材に応じ、「韓国をはじめアジア圏で大人気の化粧品ブランドなので、日本で発売できることを嬉しく思う。女性のニーズを第一に考えた品質なので、多くの女性に喜んで頂けることを期待している」と日本での展開に自信を示した。
2024年1月10日号 記事一覧
M&A・設立
- スギHD、漢方薬局チェーン「薬日本堂」を子会社化
会合・発表会
- 24年新年会 粧工会、歯磨工 世界でも存在感ある化粧品産業の実現へ
- 24年新年会 粧工会西日本支部 新たな成功を目指し、チャレンジする年に
- エステー、春の新製品説明会開催 「消臭力コンパクト トイレ用」発表
- 石洗工が定例会見 容器包装プラ使用量削減自主行動計画進捗状況を報告
- JAHI、定期会見で感染症流行予測「アマビエAi(あい)ちゃん」を紹介
- JCSCが記者懇談会開く、23年開業SCは34施設、24年は27施設予定
- ペットフード協会がプレス発表会開催、「シニア向け飼育支援の浸透」提唱
- スーパーマーケット3団体が記者発表 人手不足・物流改善対策は前進
経営・施策
- 花王、小田原工場に新生産システム導入 効率的な少量多品種生産に向けて
- ライオン、山口県歯科医師会と共同実施「おうちでフロスチャレンジ」
製品・サービス
- コーセー、「コスメデコルテ」が@cosmeベストコスメアワード多数受賞
- 宇部フィルム、家庭用品で4つの新ブランドを開発・発売
- バスクリン、ナイトタイム入浴剤「バスクリン もう夜ですよ」新発売
- 花王「アルブラン」、美容液「リペア セラムマスク」発売
- コーセーマルホファーマ、「カルテHD」全身用高保湿スプレーを発売
- シック・ジャパン、男性向けソープ付きボディ用シェーバー発売
- クラシエ、「ナイーブ」からさくらの香り数量限定発売
宣伝販促
- エステー、「ムシューダ」TVCMが「消費者を動かしたCM展開」に選出
- 日本香堂、「毎日香」新TVCM放映 「お線香のもう一つの意味」篇
人事・組織
- ユニ・チャーム、1月1日付機構改革、人事異動
- エボニックジャパン、内藤吾朗氏が新社長に就任
- 花王、1月1日付で人事異動、機構改革を実施
- リブドゥコーポレーション、宇田知仁氏が4月1日付で社長執行役員に就任
決算
- サツドラHD、24年5月期2Q決算は季節品好調・化粧品需要回復で増収
研究・開発
- 花王、サステイナブル界面活性剤の技術開発で化学技術賞受賞
調査・統計
- 経済産業省 23年1~10月洗浄剤統計 金額ベースで前年割れに転じる
- クラシエ、「寒暖差疲労に関する調査」発表 「倦怠感、だるさ」が最多に
施設・店舗
- ウエルシア薬局、「新座野火止店」(埼玉県新座市)を拡大リニューアル
時評・コラム
- 時評 元日の能登半島地震に驚愕
上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。