2023年2月22日号掲載記事より
ライオン 竹森征之氏が社長就任へ 新経営戦略を強力に推し進める
ライオンは2月13日、東京都台東区の新本社で会見を開き、3月30日付で掬川正純社長(写真右)が代表取締役会長に就任し、竹森征之上席執行役員ヘルス&ホームケア事業本部長(写真左)が代表取締役社長執行役員に就任する経営体制を発表した。就任後、竹森氏は最高執行責任者として業務執行全般を統括、掬川氏は最高経営責任者としてグループ全体の経営戦略を統括する。濱逸夫会長は相談役に就く。
会見で掬川社長は竹森氏を次期社長に指名した理由として、物事の強い推進力とチームメンバーを1つにまとめ、人をひきつける力に優れている点を挙げ、その具体例として、新経営戦略「Positive Habits(ポジティブハビッツ)」の取りまとめ、それを提案という形に落とし込んだ点、『ルック』ブランドを立て直したイノベーティブ発想と実行力を挙げた。
竹森氏は「132年の歴史を持つ当社の経営のバトンを受け取ることは重い責任を感じている。一方でこれから未来を創るという高ぶる気持ちで溢れている」と述べ、これまで小さい者が大きい者にどうすれば勝てるのかを考え続けてきたこと、勝つための新しいアイデア、発想に向けて惜しげもなく外部、仲間、部下に知識を求め、自分の仕事への関連付けを追い求めてきたこと、組織論、目に見える成功体験こそが人や組織がアグレッシブなものに変わっていく一番の近道であると信じていることの3つを挙げ、自身の人となりを紹介した。
そして、目指していく会社については、「一言で表すと『Be LION』(ライオンになる)である」と強調。ステークホルダーにとってみれば動物園のライオンのように親近感と人気があるライオンであり、一方で、競争相手から見て猛獣で強い野生のライオンであり、この2つの顔を持つライオンを目指していくと力を込めた。
小林製薬、22年12月期業績は増収増益 熱さまシート、国際事業等が貢献
小林製薬は2月14日、2022年12月期決算説明会を開き、通期の連結業績は、売上高1662億5800万円(7.1%増)、営業利益266億6900万円(2.3%増)、経常利益282億8100万円(1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益200億2200万円(1.6%増)の増収増益、当期純利益25期連続増益を達成したことを明らかにした。
会見には、小林章浩社長と山根聡専務の両氏が出席。はじめに、山根専務が通期の事業別概況について、国内事業は、ブルーレットや香るスティックなどの既存品の苦戦があったものの、①新製品の貢献②新型コロナの影響が前期に比べプラス貢献③インバウンド需要の増加――などにより売上高は1175億4000万円(1.4%増)となったことを報告。
また、国際事業は、米国ではカイロ・熱さまシートが好調、中国(大陸)ではロックダウンの影響を受けるも熱さまシートが好調、東南アジアは、各国で熱さまシートやアンメルツが好調となり、売上高は396億7600万円(33.4%増〈為替影響を除くと15.5%増〉)の大幅な増収を記録。通販事業は健康食品が苦戦し、売上高は84億3900万円(6.2%減)となったことを明らかにした。
続いて、小林社長が新中期経営計画(23~25年)の概要について説明。「チャレンジ精神とデジタル技術を組み合わせ、これから既存の枠を超えたチャレンジを推進していくためには、社員1人ひとりの積極性や主体性、推進力、意欲、コミュニケーションが重要と考え、『私が“あったらいいな”をカタチにする』(枠を超えたチャレンジ風土の醸成)をテーマに決定した」と述べた。
新中期経営計画の戦略骨子は、①開発・育成の新しい挑戦②新しい海外サポート体制による製品提供力の強化③既存品の競争力強化④新規事業の積極的な創出⑤未来の小林製薬の基盤を作る(ESG・DX)――の5つ。
ハリマ共和物産、春の見本市開催 きめ細かな売り場提案を実施
ハリマ共和物産は、恒例の春の見本市を2月9、10の両日に開催した。またリアル開催とともに、「WEB見市」も実施し、こちらは2月9日から5月末まで実施している。
見本市には、新規出展メーカー3社を含め110社が出展し、来客数は147社600名、見本市2日間の売上目標は昨年を上回る20億2932万円を想定している。
会場には、メーカー各社のブースに加えて同社ならではの店頭活性化に向けた様々な企画提案コーナーが設けられ、「新製品コーナー」では、春の新製品を一堂に展示。また、昨今の原材料価格やエネルギー価格の高騰を背景とした物価上昇を踏まえ、値上がりの実態と消費者マインドの変化をとらえた独自のアンケート調査などもパネルで展示した。
また、物流提案コーナーも設置し、全国各地の物流拠点を紹介するとともに、トラック運転者の減少や高齢化、燃料費の高騰をはじめ現在の物流における課題や物流の2024年問題などを紹介するとともに、CO2削減やDX化に向けた取り組みなどを紹介した。
津田信也社長は今期の業績や取り組みについて、「今期の業績は概ね通期予想の通りで、引き続き衛生用品や自宅で使用する日用消耗品の需要が堅調で、特にEC展開企業への販売が好調を維持し、売上増で推移している。
一方、利益面では、配送エリアの拡大による運賃の増加や、エネルギー価格高騰による光熱費や燃料費の増加等のコスト上昇など予想以上に厳しい面も出てきており、売上高の増加や前期のセンター移転に伴うコスト増の反動もあり今期は今のところ増益となっているが、電気代も昨年の12月を調べると前年の倍近くにまで上がっており、引き続きコスト削減に向けた取り組みを強化していく」と語った。
サンスター、山梨県、山梨歯科医師会、県民の口腔の健康づくりで連携協定
サンスター、山梨県、山梨県歯科医師会はこのほど、県民の歯科口腔保健を通して健康づくりを推進する連携協定を締結し、2月9日に山梨県庁防災新館にて締結式を行った。
山梨県では、県民が、歯と口腔の健康を通じて健康寿命を延伸し健康格差を縮小することを目指しており、山梨県歯科医師会は、歯科保健医療に携わる立場から県民の口腔の健康づくりを進め、口腔機能を生涯にわたり維持できるよう取り組んでいる。また、サンスターは、「100年mouth 100年health」を掲げ、人生100年時代におけるお口の健康を起点とした全身の健康と豊かな人生の実現をサポートすることを目指している。
こうした三者の思いが合致し、今回、山梨県民の健康づくりの推進にかかる連携協定を締結することになった。
サンスター柴田公生代表取締役は、「当社は山梨県南アルプス市に、サンスター山梨工場を建設した。山梨県で、当社の主力商品である洗口液を、日本全国、また世界中へ届けるべく製造に励むとともに、山梨県の皆様にも、オーラルケアの重要性や、最新のモノづくりについてご理解いただけるような工場見学コースも有する施設となっている。
これらを通じオーラルケアを身近に感じていただき、お口を通じた健康増進のお手伝いができればと考えている。特に力を入れていきたい事は、オーラルフレイル予防啓発と、災害時及び平時における災害に備えた歯科口腔保健の認知拡大と啓発支援である。山梨県民の皆さまの100年健康で豊かな人生を支援していきたい」と述べている。
花王と京都大学、「使用済み紙おむつ炭素化リサイクルシステム」進捗発表
花王は京都大学と共に、2021年1月から愛媛県西条市の協力のもと「使用済み紙おむつの炭素化リサイクルシステム」の確立に向けた実証実験を進めており、2023年までに炭素素材への変換技術の確立、2025年以降の社会実装を目指している。以下、現在の進捗報告を2月16日、発表した。
1.使用済み紙おむつの「炭素化装置」の開発
2021年11月に西条市の保育施設に花王が開発した「炭素化装置」を設置し、12月から稼働。使用済み紙おむつの処理データを採取し、性能向上に向け検討している。
花王・京都大学において、使用済み紙おむつを想定したパルプの熱分解による炭素化技術の開発を推進。炭素収率を高め、細孔(微細な穴)を発達させる手法を確認。廃棄されたパルプから効率的に活性炭に転換できる可能性を見出した。これによって活用用途が広がり、例えば吸着剤としての利用が想定される。
「炭素化装置」により、使用済み紙おむつの体積を20分の1程度に減らすことができた。今後は、より省エネルギーでの稼働、処理時間の短縮をめざし、2号機の開発を進めていく。
2.炭素化した使用済み紙おむつの炭素素材への変換
花王・京都大学において、「炭素化装置」から得られるようになった質の高い半炭化物をサンプルに、タイヤの充填剤や電子材料等の高度リサイクル素材、保水・土壌改質剤、植物育成や下水処理に活用できる活性炭といった炭素素材への変換を目指し、研究を進めている。
花王は、2020年4月より、化学メーカーである三洋化成工業、鳥取大学と共に、紙おむつに使用されるSAP(高分子吸収体)のリサイクルに向けた研究開発を行なっており、昨年9月の日本土壌肥料学会2022年度大会にて、「使用済み紙おむつの土壌改良資材としての適用可能性」について鳥取大学が発表した。
3.リサイクルシステムの社会実装
引き続き、「炭素化装置」の設置拠点、回収方法などインフラの検討を進めている。
2023年2月22日号 記事一覧
会合・発表会
- DIY・HC協会、「DIYショウ」開催説明会実施 5万人来場目指す
経営・施策
- 小林製薬、製品の出荷価格改定・容量変更を発表
- 小林製薬、グループ全従業員に特別賞与を支給
- 小林製薬、毛髪と歯の再生事業を推進するバイオベンチャーに出資
- ユニ・チャーム、マレーシア工場とスリシティ工場で太陽光発電設備を導入
製品・サービス
- エステー、「消臭力」から新香調「フレアブーケ」発売
- 日本製紙クレシア、「スコッティ」スヌーピーデザイン2品数量限定発売
- コーセーコスメポート、「クリアターン毛穴小町テカリ源治」シリーズ発売
- I-ne、ナイトケアビューティ「YOLU」から髪の導入美容液発売
- ホーユー、「ビゲン カラースプレー」から明るい新色が登場
- ファンケル、「ビューティブーケ発酵和漢ヘアエッセンス」リニューアル
- 澁谷油脂、オリーブオイル70%の無添加石けんが好調な動き
宣伝販促
- ファイントゥデイ、2月8日「TSUBAKIの日」制定
- クラシエHP、「マー&ミー ラッテデビュー」Twitterキャンペ展開
- クラシエHP、「マー&ミー ラッテ」新CM「ママかわいいね」篇放映中
- コーセー「雪肌精」、日やけ止め新ビジュアルに大谷翔平選手が登場
決算
- ライオン、22年12月期業績発表 増収減益も年初予想を達成
- アース製薬、22年12月期決算は増収減益に 今期は収益改善目指す
- ポーラ・オルビスHD、22年12月期決算は減収減益
- コーセー、22年12月期決算説明会 通期業績は修正計画上回る実績に
研究・開発
- バスクリン×東京都市大学、週6回以上の入浴で風邪・インフル罹患少なく
- ライオンと日立、職域の歯科健診導入が口腔・全身の健康に寄与する可能性
- コーセー、量子コンピュータで化粧品の処方自動生成システムを開発
- コーセー、アドレナリンが肌のバリア能を低下させることを発見
調査・統計
- KSP-POS 2023年1月 カテゴリー別ランキング
施設・店舗
- 曽田香料、本社・開発拠点を東京・日本橋馬喰町に移転 3月22日付で
時評・コラム
- 泡沫 戦争を終わらせる困難さに思う
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