2022年10月26日号掲載記事より
流通経済研、大手コンビニ3社の共同配送実証実験結果を発表
内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における「スマート物流サービス」研究で、研究代表機関・公益財団法人流通経済研究所はこのほど、今年2月21日から一週間にわたって北海道・函館エリアで実施した大手コンビニ3社(セブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン)によるチェーン横断的な共同物流の実証実験結果を次の通り公表した。
【配送センター間物流の共同化】
コンビニの物流では、多くの在庫を持つ基幹センターと遠隔地にあるサテライトセンター間で商品の横持ち配送が行われている。今回は自社のセンター間でしか行わなかったセンター間の横持ち配送を、チェーン横断的(セブン―イレブンとファミリーマート、セブン―イレブンとローソンの2パターン)に実施。札幌近郊の基幹センターから函館のサテライトセンターまでの横持ち配送を共同化した結果、1便あたり「台数(1台減)」「距離(275km減、48%削減)」「CO2排出量(176kg減、45%削減)」「時間(2.5時間減、23%削減)」の効果があることが分かった。
新商品発売のタイミングでは、物量の増加から既存のトラック数では運送力が不足するので、チェーンごとにトラックを追加手配する場合など、今実験のようにセンター間の横持ち物流の共同化を行うことで削減効果が期待できる。
【遠隔地店舗への商品配送の共同化】
物流効率があまり良くない遠隔地(過疎地域等)での店舗への商品配送の共同化の効果測定を実施した。
函館南西エリアにおいて、コンビニ店舗配送の共同配送化を行うことで、チェーンごとに別々に配送する場合と比べ“配送距離の短縮化”“CO2排出量の削減”“配送時間の短縮”などで改善効果を確認できた。(図参照)
* * *
流通経済研究所では、これら結果を踏まえ、SDGsの視点も持ち、コンビニ業界での新たな物流の形を、コンビニ各社とサプライチェーンを構成するステークホルダー全体で検討していく構え。
花王、美容部員の総称を「ブランド エバンジェリスト」に変更
花王は、化粧品事業において、カウンセリングブランドの最大資産である美容部員の役割を最適化することに伴い、来年1月から、総称を「ブランド エバンジェリスト(ブランドの伝道師)」に変更する。
「ブランド エバンジェリスト」とは、店頭とオンラインの垣根を越えて、ブランドを体現し、ブランドの魅力をあらゆる場所、場面、手法で伝えることのできる高いスキルとマインドを有したブランド専属の美容部員のことで、2025年までに、すべての美容部員が店頭とオンラインの両輪で活躍できるよう、スキル習得をめざした研修をスタートするなど、来年1月から体制を整え、「ブランド エバンジェリスト」として育成していく。
同社は、グループの6つのカウンセリングブランド「SENSAI」「est」「KANEBO」「LUNASOL」「TWANY」「ALBLANC」それぞれに「ブランド エバンジェリスト」を配置。ブランドごとに最適なOMO(オンラインとオフラインの融合)を推進するため、ブランド エバンジェリストは、オフライン領域では、店頭接客・カウンセリング、ブランド体験イベント出演、会場でのセミナー実施、オンライン領域では、オンラインカウンセリング、LIVE配信・動画配信、WEBセミナー実施、WEBサイトやSNSへの商品レビュー投稿などの役割を担う。
桃谷順天館、関学大の学生団体と共同でビジネスコンテストを開催
桃谷順天館は、関西学院大学の学生団体「KG NEXT STAGE」と共同でSNS施策・商品企画を募集するビジネスコンテストを開催した。
同コンテストは8月29日のキックオフミーティングを皮切りに、「美顔水の桃谷順天館と理想の自分をMAKEしよう」をテーマに企画が練られ、同社社員からのアドバイスやフォローアップとともにアイデアの具体化が進められた。
9月16日の最終発表会では、複数の商品企画提案チームとSNS施策チームに分かれてチームごとに発表。10分間のプレゼンに加え、質疑応答も活発に行われ、各々の企画に対する想いを語り競い合った。
最優秀賞の「桃谷順天館賞」は、現在の流行を取り入れた大学生ならではの着眼点、見る人を飽きさせない工夫で制作された動画が評価されたSNS施策チームが受賞。この動画は同社SNS担当とブラッシュアップを行い、同社公式TikTokで配信される。
一方の商品企画提案チームからは、顧客1人ひとりに寄り添ったアイデアを提案した2チームが「特別賞」を受賞。斬新なアイデアに加え、コンセプト・背景・企画内容・価格設定など、実現可能で高レベルな提案で、今後の同社の製品開発において、一部アイデアの実現の検討も進めていくという。
ローソン、ウォークスルー決済導入の無人店舗「ローソン・ゴー」開店
ローソンは10月11日、東京都文京区の三菱食品本社内に、ウォークスルー決済導入店舗「Lawson Go(ローソン・ゴー)MS GARDEN店」をオープン。当日にマスコミを対象とした事前説明会を開催し、執行役員インキュベーションカンパニープレジデント兼オープン・イノベーションセンター長の酒井勝昭氏による事業概要紹介とともに店舗内を公開した。
それによると、人手不足や少子化、人件費高騰などからくる働き方や飲食店の減少、時間の使い方といった社会課題への対応が求められている中、同社では、「Withコロナ下での新たな課題、オフィス街環境の変化」に着目。具体的には、リモートワークの増加等で飲食店・売店の減少から、出社人流が回復しても近隣で手軽に買い物ができないという問題に悩む三菱商事本社に「ローソン・ゴー」を導入することで、利便性の向上を図った。
なお、「ローソン・ゴー」は、事前に専用アプリをダウンロードし、入り口でアプリのQRコードをかざして入店。商品を持って退店すると、事前に設定したクレジットカードより自動的に決済が完了する仕組み。その後電子レシートが送付されてくる。店内天井に設置されたカメラで来店客の行動を確認、商品棚の重量センサーと連動させてAIが商品を確認する。
同社の説明では、この「MS GARDEN店」は、実証実験ではなく実装段階の店舗という位置づけ。酒井氏は、「この店舗ではマイクロマーケットでの店舗運営の検証の他、今後の高層マンションへの導入に向けた検証も行う計画」と話す。
同社では「最終的にはローソンIDと紐づけて、オフィス立地展開では最重要ポイントとなる『いかにリピートしてもらえるか』の実現につなげたい」意向を示している。
ライフコーポ、23年2月期第2四半期決算 減益も営業利益は高水準維持
ライフコーポレーションは10月11日、都内で「2023年2月期第2四半期決算説明会」を開き、同期の業績、業績予想など説明した。
同期の業績は営業収益3775億6300万円、営業利益89億1400万円(前年同期比41.6%減)、経常利益93億3100万円(40.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益64億1200万円(40.5%減)となった。
同社は同第1四半期から「収益認識に関する会計基準」を適用しているため、営業収益の前年同期比を記載していないが、前年と同じ基準では0.2%増加した。利益は各段階とも前年同期比で大きく減少した。売上総利益は新基準適用前ベースで0.9%増加。同じく販管費は高騰する電力代等が影響し、6.6%増加した。
岩崎高治社長は、「既存店売上高は98.7%(従前の算出方法での比較)だがコロナ禍前の2019年度比では105.3%と高いレベルは保っている。上期に出店した新店も好調に推移しており、全店の売上高は100.2%と増収を達成。営業総利益は約10億円増加しており、トップラインから営業総利益まで稼ぐ力は落ちていない。だが販売費及び一般管理費が73億7700万円増加した。内訳は人件費28億7000万円増、水道・光熱費16億8000万円増である。
人件費については人への投資として処遇改善に積極的に取り組んでいることで増加した。水道・光熱費については電力使用量を抑える様々な努力をしているが、それでは追いつかない状況である。その他、販促費、賃借料、運賃等も上昇したため、経常利益は約93億円で前期から約4割減少した。だがコロナ禍前の水準50~60億円から見れば悲観する数値ではないと捉えている」と述べた。
2022年10月26日号 記事一覧
会合・発表会
- KCMK、「花王有力卸店懇談会」を30年ぶりに開催
- フマキラー、23年度園芸用品政策共有会開催 高度な技術の新製品導入
- ライオン、手指の衛生プロジェクト展開 衛生セミナーを開催
- アース製薬、スリークロス園芸パートナー会を開催 新商品をアピール
- 油脂工業会館、第81回定期講演会開催 「ケアと利他」をテーマに講演
経営・施策
- 富士薬品、店舗に「おくすり受け取りロッカー」設置 年内8店舗に導入
- ライオン、兵庫県明石市と「ジェンダー平等の推進に関する連携協定」締結
- P&G「パンパース」、ファミリア、神戸市と子育て共創プロジェクト開始
- ユニリーバ、「ヴァセリン・ヒーリング・プロジェクト」展開中
- ライオン、サステナESGアワード総合部門でゴールドクラス2年連続受賞
- 花王とMILIZE、「AI健康可視化ツール」開発に向けた協業に合意
- 小林製薬、一般用新型コロナ抗原検査キットの製造販売承認を取得
製品・サービス
- PRページ 小林製薬 新たなニーズに向けた芳香消臭剤を新発売
- PRページ 花王「ピュオーラ」改良 口腔ケアに潜む手間ストレスに着目
- PRページ 晴香堂 「GRITZY(グリッツィ)リキッド」を発売
- クラシエHP、「ナイーブ」ボディ&泡ハンドソープ数量限定商品発売
- 白十字、「FC粘着ホータイ」改良 「キズ処置シリーズ」として展開
- 大王製紙、「グーンプラスパンツ」紙パッケージをECサイト限定で発売
- P&Gジャパン、「パンパースさらさらケア」全サイズを5年ぶり大幅改良
- エステー、介護専用ゴミ箱用消臭剤「消臭力エールズおむつゴミ箱用」発売
- 大王製紙、「ハイパーブロックマスク贅沢保湿」発売 上質な肌ごこち
- 大王製紙、「エリス コンパクトガード/素肌のきもち」限定品発売
- 小林製薬、「命の母アクティブ」新発売 更年期後の不調を改善
- ユニ・チャーム、「ウェーブ」からムーミンデザイン期間限定品発売
- ユニ・チャーム、「ソフィおりものシートオーガニックコットン」大容量品
- 日本製紙クレシア、「スコッティ フラワーパック」グッドデザイン賞受賞
- ファンケル、「ビューティブーケ発酵バイタル&ブライト」新発売
- ユニリーバ、「ダヴ クレンジングバーム」からジューシーピーチ限定発売
- サンギ、「ハップアールフェイススクラブ」公式通販で新発売
- UYEKI、「加湿器の除菌タイムアロマ」に注目
宣伝販促
- 日本製紙クレシア、「クリネックスプレミアム限定キャンペーン」実施中
- デンタルプロ、「磨くを変える。秋のTwitter大感謝祭!」実施
人事・組織
- バイソン、前川智氏が代表取締役社長に就任
決算
- アークス、23年2月期上期連結決算は売上高が過去最高値
- 薬王堂HD、23年2月期第2四半期決算は売上高2ケタ増
- ローソン、23年2月期上期業績発表 国内コンビニ事業が好調
- 良品計画、22年8月期連結決算は増収減益 生産の内製化と最小限化目指す
調査・統計
- 小林製薬、女性特有の悩みの調査実施 約8割が下着の中に不快感
イベント・展示会
- 伊勢半本店、ミニチュアの歴史がテーマの企画展を紅ミュージアムで開催
- 花王、美容部員のカウンセリングコンテスト決勝大会を開催
- ライオン、「キレイキレイお絵描きマイボトルコンテスト」作品公開
時評・コラム
- 時評 すみ分けが日本流通を強くする
その他
- 牛乳石鹸共進社、「ユニクロ大阪祭り」に大阪の一企業として参加
特集 【卸流通】
- 東海化粧品日用品卸組合 来年の賀詞交歓会開催を決定
- 卸売業の安定した調達・供給能力 堅牢な社会システムとして機能を発揮
- 全卸連・森友会長インタビュー 人材育成はコストでなく投資と考える
- PALTAC ベトナムに現地法人を設立 新たな成長を視野に挑戦
- あらた・須崎社長インタビュー 「長期経営ビジョン2030」の達成へ
- 中央物産・提坂社長インタビュー 新しい目標、新しいゴールを設定
- サプリコ 設立20周年に向け、活動充実 メンバー社が共に成長するため
- 東流社 21世紀型卸売業の実現へ 提案型営業を強化
- 花王 和歌山工場から首都圏へRORO船を利用して製品輸送を実施
- ときわ商会・相澤専務インタビュー 製配一体で地域への貢献活動を推進
- こもりコーポ・小森社長インタビュー 今期累計売上高は微増で推移
会合・発表会
経営・施策
上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。