2022年1月12日号掲載記事より
日本経済の再生へ貢献を 22年の日用品化粧品業界の進むべき道とは
2022年になり、コロナ禍も3年目になる。だが当初と違い、メーカーも流通も新常態で衛生用品や生活必需品の需要動向はある程度見えるようになり、安定供給に支障がなくなっている。こうなると2022年は、その安定供給を第一に新常態への対応ということが最優先課題になる。だが、今年はそれだけではなく、日用品化粧品業界が率先して日本経済の活性化につながる活動を進めていくべきだろう。
それというのもコロナ禍の2年間、当業界は、他の産業に比べてコロナの影響を大きく受けずに済んでいる。これは生活必需品を扱っている業界の特性によるところが大きく、その恩恵を受けてきたわけである。大きな痛手を受けなかった業界として今年は、疲弊した経済の活性化につながるような活動が社会から求められると認識すべきだ。
花王グループカスタマーマーケティングの竹内俊昭社長は今年の取り組みの1つとして、「『日本を元気にするような消費喚起策』を提案の1つとして、他業種メーカー等と一緒になり、生活者の関心の高いエシカル、SDGsを自分ゴト化する『SDGs参加型消費喚起キャンペーン』の展開を計画している」と話している。今年は日本経済の活性化が業界発展の鍵になりそうだ。
そして、傷んだ経済の中で雇用を確保することも当業界の役割としてあるだろう。人手を減らして経費を削減しようという動きが主流となる中、どう雇用を維持・創出するのか。その知恵を出し、考えることが事業の成長にもつながる。雇用を創出するには生活者のニーズに応えられる高付加価値商品の適正な価格での販売が必要だ。生活を豊かにする高付加価値商品によって売上・利益を創出することは是が非でも継続する必要がある。
JACDS、年末記者会見で22年事業計画を公表 「環境問題を最優先に」
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は昨年末、都内で記者会見を開き、2022年における事業計画や取り組むイベント等について発表した。
池野隆光会長(ウエルシアホールディングス会長)は、22年におけるDgS業界の展望について、「医療・介護から食品、ペット用品まで幅広く取り揃えていることが強みとなっている。それが地域物販のインフラとなり、その地位が他業種より高まっている」との現状分析を語った上で、業界がさらなる信頼を得るには、「JACDSを先頭にSDGs、特に環境問題への積極的な関与を見せることが不可欠で、これが実現すれば、地域住民に信頼されるDgSに成長できるだろう」との考えを示した。
理由として池野会長は、「シャンプーや洗剤などを一番販売しているのがDgS業界であり、JACDS会員企業だ。それだけに、再生するのか、それとも別な形にリサイクルするのかなど、早急に取り組む必要がある」とし、注目される環境問題への取り組みを加速させていく方針を語った。
今後の事業計画と活動の基本テーマについては、「尊敬される企業集団を目指す」と「2025年にドラッグストア業界を10兆円産業にする」の2つが全体目標として大きく掲げられ、また基本テーマとして①「尊敬される企業集団」としての協会活動の推進②予防・治療・介護の拠点たるドラッグストアづくりを目指す③業界全体でのSDGsの取り組みを推進する④業種を超えた業界団体連携による情報共有を図る⑤「街の健康ハブステーション」機能確立へ具体的な取り組みを進める⑥調剤、介護、食と健康の普及拡大、健康寿命延伸の研究を進める⑦医薬品登録販売者の社会的地位の確立と向上を目指す⑧地方自治体各部署との連携強化のための活動を行う⑨「JAPANドラッグストアショー」を通じて業界の重要性啓発を進める⑩日本ヘルスケア協会と共にドラッグストアの存在価値向上へ連携を図る――の10項目が挙げられた。
ツルハHD、22年5月期第2四半期業績は増収減益 下期はデジタル戦略強化
ツルハホールディングスは昨年12月21日、報道関係者を対象にオンラインで2022年5月期第2四半期決算説明会を開催。同期概況並び通期の取り組み、方針などを説明した。
それによると同期連結業績は売上高4625億1200万円(前年同期比2.0%増)、営業利益227億0900万円(18.9%減)、経常利益226億2200万円(20.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益127億3900万円(23.2%減)の増収減益となった(前年同期はドラッグイレブン3カ月分業績を含む)。
また計画対比については売上面・利益面ともに未達となり、既存店売上高計画0.4%増に対し実績は1.0%減となった。この要因について鶴羽社長は「コロナ禍の影響でOTC、化粧品の需要回復のペースが当初の予想よりも悪かったことや、前期の巣ごもり需要の反動減、季節品の売れ行きが不振だったことによる。ただ調剤・食品の売上構成比の高い事業会社は、両カテゴリーの伸びで前述のマイナス要因をカバーできた」と語った。
下期については、①デジタル戦略②利便性向上への取り組み③PB戦略④調剤事業戦略――などに取り組む。特に「デジタル戦略」については、昨年11月からデジタル化粧品台帳を約1300店舗に導入し、管理業務効率化による接客時間創出で新会員獲得・売上増を図る。また、アプリ会員の拡大による顧客接点拡充にも取り組み、通期末700万件のダウンロード件数を目指す。
丸富製紙、3月1日出荷分より15%以上の価格修正実施
丸富製紙は1月7日、3月1日の出荷分より15%以上の価格修正を実施すると発表した。家庭用及び業務用トイレットロール全般が対象で、4年ぶりの値上げとなる。
修正後の店頭売価を、パルプ12ロール25mW・50mSで税別358円以上に引き上げる。
シャワー用やプリントロール、芯なし長巻き商品、3枚重ねロール、再生紙12ロール白物やカラーロール、2倍巻きロールなど、パルプと古紙原料を使用している汎用品から高付加価値品まですべての商品で値上げを行う。
今回の価格修正は、コロナ禍で再生紙トイレットペーパーの業務用需要が減っている半面、エネルギーコストの上昇や春先の原料パルプの高騰、人手不足による物流費や人件費の上昇が続き、古紙価格や薬品価格も上昇する中で、経営環境は非常に厳しい状況にあることが背景にある。
同社グループは、新規工場を建設しての加工場の集約、最新の抄紙機導入で効率化を図り、生産体制の見直しや経費削減などに全力を挙げてきた。
同社では「グループとしてサスティナブルな社会の実現に貢献できるようにCO2の削減にも取り組んでおり、自助努力だけではコストアップは吸収しきれない状況となっている。今後の安定供給体制確保と品質維持のためにも、今回の価格修正は避けられないものと判断した」としている。
花王、蚊から未来の命を守るプロジェクト開始 タイ保健省と協働で推進
花王は、2月から、蚊から未来の命を守るプロジェクトを発足し、蚊による感染症・デング熱被害削減の取り組みを本格的に進めていく。その一環として、2020年12月に発表した、蚊の嫌う肌表面をつくり吸血から身を守る同社独自の技術を応用した製品を開発。まずはタイ保健省に同製品を含め650万タイバーツを寄付し、同省と協働して、2月から8万個をタイ国内で配布する。さらに、プロジェクトではデング熱に関する啓発活動や実証実験、研究活動などを包括的に推進していく予定。
デング熱は、東南アジア諸国などで長年の社会問題であり、また温暖化の影響で世界に広がりつつある。花王は、今回配布する製品を「Biore GUARD Mos Block Serum(ビオレガード モスブロックセラム)」として将来タイで発売することを予定しており、肌を守ることで「未来の命を守る」という使命実現をめざすとしている。
タイでは、花王インダストリアル(タイランド)が昨年6月にタイ保健省疾病対策局媒介感染症課(DVBD)、タイ工業団地公社(IEAT)、タイ国立電子コンピュータ技術研究センター(NECTEC)、アマタ・コーポレーションと、デング熱の蔓延を抑えることを目的として立ち上げた、タイ政府と官民一体の共同事業において、協業者および地域コミュニティと共に、デング熱の啓発活動や、ボウフラの発生を減らすための適切な廃棄物処理システムの整備など、さまざまな取り組みを展開する予定。また花王は、NECTECが開発した、デング熱に関する最新情報を発信するモバイルアプリ「Roo Tan」への協賛を通じて、人々に正しい知識を提供し、蔓延防止に取り組む。
これらの活動の成果については、DVBD、NECTECとともに適宜検証を進めるほか、すでにタイでの実態調査やフィールドワークを共同で行っているマヒドール大学との実証実験も実施予定で、タイのデング熱減少に貢献していく。
2022年1月12日号 記事一覧
会合・発表会
- 石洗工、容器包装プラ使用量削減第三次計画を達成 第四次目標値を公表
- エステー、春の新製品説明会を開催 「消臭力DEOX」に新アイテム導入
- アース製薬、兵庫県と包括連携協定を締結 「創業の地で緊密な連携を」
- JCSC、冬期定例記者会見開く 21年売上高は厳しい結果に
- ペットフード協会が会見、20年フード出荷総額は5年連続増加
- アサヒグループジャパンが始動、濱田賢司新社長が記者会見で役割等説明
- 日本家庭紙工業会、忘年懇談会開催 「業界成長のため、一致団結を」
経営・施策
- あらた、「あらた統合報告書2021」を発刊 WEBサイトに掲載
- 花王、ウェブアクセシビリティを強化 誰でもアクセスしやすい情報発信へ
- コーセー、「コスメバンクプロジェクト」に賛同 化粧品を寄贈
- イオン、「トップバリュ」日用品1800品目の価格据え置きを3月末まで延長
- ミニストップ、電子レシートシステム「スマートレシート」全店使用可能に
- ライオン、CDP「水セキュリティ」分野で最高評価「Aリスト」に初認定
- 資生堂、今年創業150周年 「人々が幸福を実感できる」社会実現へ
- エステー、小学校で正しい除菌知識と清掃方法伝える特別授業を実施
- コアレックス信栄、「路線バスで寄り道の旅新春SP」で本社工場が紹介
- エステー、関東圏の認定こども園に手袋1万双を贈呈
- 桃谷順天館、生活困窮者支援施設に化粧品を寄贈
- 「みんなでボトルリサイクルプロジェクト」4社共同で実証事業へ
製品・サービス
- 花王、「アリィー」全面リニューアル 「ビーチフレンドリー処方」を採用
- 花王「SENSAI」、世界に向けて新エイジングケアクリームを発売
- サンギ、「HAP+Rリッチクレンジングクリーム」お試しセットを発売
- 日本生協連、「コープ化粧品」45周年企画品発売 人気商品投票など実施
- クラシエHP「マー&ミー」、北欧ブランド「kippis」とコラボ
- クラシエHP、「いち髪」から数量限定「春めきの香り」発売
- マンダム、22年春の新製品発表 「ギャツビー インバスシリーズ」など
- ライオン、「ソフラン アロマリッチさくらの香り」今年も数量限定発売
- ファンケル、保湿成分配合生地の「マウスカバー」発売 ミズノとコラボ
- 日本製紙クレシア、「スコッティ カシミヤ さくら」数量限定発売
- ライオン、「ブライトSTRONG衣類の爽快シャワー」で洗濯新習慣提案
- 大王製紙、ディズニーデザイン採用のウエットティシューを限定発売
- 小林製薬、「ナイトミン耳ほぐタイム」が大ヒット 発売2カ月で50万個
- 宇部フィルム、「ポリラップ」「耐熱ラップeco」に注目集まる
- ライオン、「泡ピタ トイレ洗浄スプレー」累計販売個数500万個突破
- 東亜産業、新型コロナウイルスポータブルPCR検査装置など新製品発売
- ダイヤケミカル、「ピカラボフレグランスゲル」など発売
- 紀陽除虫菊、「残った麺スープ固めてポン」新発売
- 小林製薬、持続性抗菌剤「コバガード」から硬質表面加工に特化した新製品
- フマキラー、「シューズの気持ちプレミアム」がLDKいいもの大賞受賞
- ユニ・チャーム、「大人用おむつカウンセリング」開始 適切なサイズ選び
宣伝販促
- エステー、消臭力・ムシューダのTVCMが消費者を動かしたCM展開に選出
人事・組織
- 花王、人事異動・機構改革を発表
- クラシエHP、人事異動・組織改編を発表
- 小林製薬、人事異動・組織変更を発表
研究・開発
- コーセー、第87回SCCJ研究討論会にて最優秀発表賞を受賞
- バスクリン、共同論文が日本皮膚免疫アレルギー学会で最優秀論文賞受賞
- 花王、手指が生来持つ感染症に対するバリア機能のメカニズムを解明
調査・統計
- SM3団体、21年11月度販売統計調査 総売上高は堅調
- 西化工 21年1~10月化粧品統計 頭髪用化粧品が再びマイナスに
イベント・展示会
- バスクリン、「“名もなき疲れ”オブザイヤー2021」を決定
施設・店舗
- ユニ・チャーム、ペットケア用品の子会社工場集約し新工場を建設
- 楽天西友ネットスーパー、BTS型専用物流センターを松戸に新設
- ファイントゥデイ資生堂、1月31日付で本社を移転
訃報・葬儀
- 訃報 森田千津子氏(シャボン玉石けん会長) 73歳
時評・コラム
- 時評 共存なき競合に向かわぬように
- らいたあ 4つのトラの干支石鹸で阪神タイガース優勝祈願
年頭所感
- 一人ひとりの人間を、生き方を、讃える カネボウ化粧品社長 村上由泰
- 地域の重要なライフラインとして 日本チェーンストア協会会長 小川信行
- 社会のV字回復を実現していく年に 森友通商社長 森友由
- サスティナブルな総合化粧品メーカーへ マックス社長 大野範子
- 新規のお客様づくりと人材育成に取り組む ナリス化粧品社長 村岡弘義
上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。