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2021年12月15日号掲載記事より

2021年業界動向を振り返る コロナ禍も生活・健康・美容商品の供給に全力

 2021年も残り半月となった。今年も社会全体がコロナの影響を受け、企業活動にも様々な制約が続いたが、日用品・化粧品業界の各企業は生活必需品、健康・美容のための商品を滞りなく供給する役割を果たしつつ、新常態に対応した新製品開発や新たなマーケティングにチャレンジし、インバウンド需要が戻らず、コロナ特需の反動があった中でも堅調な業績を示したところが多かった。

 今年は年初(1月8日から)から1都3県を対象にした「緊急事態宣言」の発令から始まった。その後は解除と宣言を繰り返し、宣言と措置の全てが解除されたのは東京オリンピック・パラリンピックが閉幕した後の10月1日のことだった。
 この間、日用品・化粧品の需要は、人流に大きな影響を受け、「緊急事態宣言」の影響を受けていた1~9月のトイレタリー市場は同期比96%(本紙推定)と前年割れだった。だがコロナ特需の反動があった中では堅調な推移と言え、19年比では2%の増加である。
 化粧品市場も96%(本紙推定)と4ポイント減。ただ、化粧品は国内需要の回復が見られ、洗顔料はほぼ前年並み、スキンケアは「前年から伸長している」というメーカーが多く、大手化粧品メーカーの決算も回復基調だ。

 今年、社会の関心を集めたのがSDGs、サステナブル社会の実現に対する国や企業の動きであろう。倫理的な消費や取引が主流になりつつあり、商品は、環境や人権に悪影響を与えていないか、原材料の調達・生産・流通・消費に至るまで問われている。子供から大人まで、このテーマの関心は高く、商品やサービスは持続可能な社会の実現と無関係では通用しない時代になってきた。
 もう1つ、来年にさらに加速しそうなのがDXによるビジネスモデルの変革であろう。DXによる改革は働き方やパートナーとの連携においても不可欠になってくる。どのように進め、なにを成すべきかを明確にし、取り組んでいくことが必要な年になってきそうだ。

 新常態において在宅勤務など新しい生活スタイルが定着する一方、感染対策をとった上での旅行や外食などアクティブな動きも活発化しそうな2022年、急速に変化する社会に対応した経営が必要なことは間違いない。
 こうした社会的な変化に加えて、このところ原材料価格の高騰がメーカーの収益を圧迫してきており、利益の確保、質の高い商品開発、サービスのために適正価格の販売ということも大きなテーマとなりそうだ。

日用品・化粧品メーカー4社、販促物をプラ製から紙製へ順次変更

日用品・化粧品メーカー4社、販促物をプラ製から紙製へ順次変更

 ユニ・チャーム、資生堂ジャパン、ファイントゥデイ資生堂、ライオンの4社は12月8日、小売店の店頭や売り場で設置する販促物で使用するパーツをプラスチック製から紙製へ順次変更し、プラスチック使用量の削減に取り組むと発表した。
 4社は2016年に小売店での店頭メンテナンスを行う合弁会社・ジャパンリテールイノベーションを設立し、商品の陳列や店頭メンテナンス機能の強化などで協業を開始。19年には4社が販促物を共同で配送することで輸送効率を改善し、「物流環境負荷の低減」「小売店の業務負荷低減」に取り組んできた。
 そして今回、新たに4社で知見を共有し、各社で進めるプラスチック削減を商品だけでなく販促物においても実行することで、日用品/化粧品カテゴリーをリードする各社の規模感を活かし、環境に配慮した社会及び業界全体の発展に貢献することを目指す。
 具体的には、対象となる販促物の中で、代替が可能でスピーディーに実行できるものから優先的に取り組みを開始。21年11月(※各社により取り組む時期は若干異なる)から、店頭で多く使用されている吊り下げディスプレイに付随するフックをプラスチック製から紙製へ順次切り替え、その後、商品を陳列するプラスチック製のクリアラックや、香り見本、PP(ポリプロピレン)製セットケース、吊り下げ骨什器等を紙製へ変更していく。

フマキラー、2022年3月期第2四半期決算 売上高はほぼ期初通りの進捗に

フマキラー、2022年3月期第2四半期決算 売上高はほぼ期初通りの進捗に

 フマキラーは12月2日、「2022年3月期第2四半期決算説明会」をオンラインで開催。大下一明社長、下中正博専務国際本部長、加藤孝彦常務国内営業本部長、郷原和哉取締役管理本部長が出席し、連結業績、22年3月期の業績予想と今後の展開について説明した。
 それによると同期の連結業績は売上高281億5300万円、営業利益16億4300万円、経常利益17億9900万円、親会社株主に帰属する当期純利益12億1700万円となった。「収益認識に関する会計基準」適用前の前年同期比は、売上高108.1%、営業利益79.8%、経常利益79.8%、親会社株主に帰属する四半期純利益82.7%。
 基準適用で、上期売上に対して将来発生する返品に対する費用計上が期初計画より増加したこと等で、利益は期初計画を下回った。
 売上高は、ほぼ期初通りの進捗となったものの、海外の原材料高、アルコール除菌関連の想定以上のマイナスによる原価率のアップ、日本・インドネシア・マレーシアでの販管費が増加したとしている。
 通期業績について大下社長は、返品や為替変動等の不確定要素や原材料高騰などを挙げ、期初計画を据え置くと表明。
 今後の取り組み課題として、国内では①画期的で魅力的な新商品の開発②高品質で効率的な生産③研究開発体制及び生産体制の強化④販売力の強化と流通チャネルの拡大⑤ウイルス・細菌・アレルゲンなどのリスクへの対策商品の提案強化――に言及。海外では国内と海外子会社間の連携強化とグループシナジー効果の向上やインドネシアの研究開発体制の強化、海外事業の拡大と収益力の強化などに取り組み、安定的な経営を継続させる考えを示した。

P&G「パンパース」、紙おむつの定額使い放題サービスを提供開始

P&G「パンパース」、紙おむつの定額使い放題サービスを提供開始

 P&Gの乳幼児用紙おむつブランド「パンパース」は、保育関連施設向けに、紙おむつの定額使い放題サービス「すくすくサブスクプログラム」の提供を12月7日から開始。近畿地方を中心に受付を開始し、順次関東地方へのサービス拡大を予定している。
 「すくすくサブスクプログラム」とは、パンパースが開始する保育関連施設向けの紙おむつの定額使い放題サービス。同プログラムを導入した保育園には、パンパースのおむつが直接届くので、保護者から受け取ったおむつを園児ごとに管理する保育士の業務負担が軽減されると考えられる。
 子どもを保育園へ預ける保護者にとっては、保育園へ持参するおむつ1枚1枚への記名や、保育園にあるおむつの数を気にする必要がなくなる。また、保護者と保育士の間に生じるおむつなどの受け渡しをなくすことで、衛生面での不安も軽減される。
 さらに、保育関連施設向けのICTツールを提供しているコドモンと連携。オンライン研修サービス「CoDMONカレッジ」で、導入施設の保育士向け研修コンテンツも配信する。

ラオックス、“空港”がテーマのアジアコスメ専門業態を開設

ラオックス、“空港”がテーマのアジアコスメ専門業態を開設

 総合免税事業等を展開するラオックスは12月3日、東京・自由が丘にアジアコスメ専門業態店舗「LAOX BEAUTY AIRPORT」を初出店した。
 1号店の立地は、東急東横線自由が丘駅前商店街。売り場面積約112㎡、店内には韓国・中国・台湾・タイ4カ国100ブランド・1200アイテム超のコスメを取り揃え、若年層だけでなく、幅広い年代を対象とした品揃えを実践している。
 空港をイメージさせるデザインの店内は、ブランド別・国別に沿って「Gate」表示となっており、それぞれスキンケア、メイクアップ、ベースメイク、メンズコスメなどに分けられて陳列されている。店舗入口にはタッチパネルによる案内サービスも設置され、陳列場所だけでなく、QRコードからオンラインストアにもつながる仕組みとなっている。
 前日の2日にはメディア対象の内覧会が開かれ、飯田健作社長兼CEOが、業態コンセプトや店舗構成、今後の事業展開などについて説明。現在、店頭で取り扱うコスメは4カ国だが、国もブランドもさらに拡大させていく方針を明らかにした上で、「新規開拓として30代以上の年代層を狙いたい。特に人気の韓国コスメは我が国では若者向けとのイメージがあるが、京都の実験店で検証を試みた結果、実際には30代以上の売上構成比は30%を超え、50代以上でも5%超であった」と、幅広い層に興味が広がっているとの見解を示した。
 また、飯田社長はこの新業態を「ニューマーケットを切り開ける店舗となる」との考えを示し、「すでに2号店も目途がたち、来年2月にはオープンできるだろう。今後は複数店舗での展開を計画しており、そこで様々な検証を行いつつ、新たな展開につなげたい」と、今後の事業展開に強い意欲を示した。


2021年12月15日号 記事一覧

会合・発表会

  • プラネット、「THE PRODUCT TIMES」説明会を開催
  • ファンケル、“朝バテ対策”「睡眠&疲労感ケア」発売記念イベント開催
  • 日石工組、新春懇親会の中止を発表
  • コーセーコスメトロジー研究財団、第32回表彰・贈呈式を開催
  • 小林製薬青い鳥財団、21年度助成事業・顕彰事業贈呈式を開催

経営・施策

  • アインHD、「グループ 人権方針」制定 人権尊重を企業活動の根幹に
  • 厚労省など3省庁、次亜塩素酸水のウイルス対策に関するポスターを修正
  • 花王、CDPから3分野で最高評価「Aリスト企業」に選定
  • コーセー、CDPから「気候変動」の分野で最高評価を2年連続選定
  • PRページ 花王 「#さがそう私の休み休み」プロジェクト始動
  • 花王、「健康経営と職場の栄養改善」に関するコミットメントを発表
  • 花王、「がんアライアワード2021」ゴールドを昨年に引き続き受賞

製品・サービス

  • ユニ・チャーム、「ムーニーおしりふき」がマザーズセレクション大賞に
  • 花王、「リサージ」スキンメインテナイザーを刷新
  • スギ薬局、「プリエクラ」からクリーム発売 ナノファイバージェル配合
  • BCLカンパニー、新スキンケアシリーズ「チュージット」など発売
  • 五洲薬品、余剰もみ殻を有効活用した「穂がらかスキンケアソープ」発売
  • 王子ネピア、「ネピア長時間フィットマスク」発売 JIS T9001適合
  • バスクリン「ソフレ」、「すみっコぐらし」デザインつめかえ用限定品発売
  • イースマイル、ダニ捕りシート「さよならダニー」ローソンで販売開始

宣伝販促

  • デンタルプロ、「全額返金キャンペーン」を来年1月1日から実施
  • 大王製紙、「エリエールオンラインショップ」リニューアル1周年キャンペ
  • ユニリーバ「クリア」、人気漫画「魁!!男塾」とコラボ
  • リブドゥコーポ、「リフレ超うす安心パッド」新CM2篇を全国放映
  • ダリヤ、「サロン ド プロ」新CM完成 女優の濱田マリを起用

人事・組織

  • 資生堂/資生堂ジャパン、来年1月1日付組織一部改正・人事異動を発表
  • ユニ・チャーム、来年1月1日付機構改革・人事異動を発表
  • トキワ、金井博之副社長が代表取締役社長CEOに就任内定

研究・開発

  • 小林製薬、口閉じテープで口内の乾燥予防と睡眠の質改善に一助の可能性
  • デンタルプロ、日本歯科大学が発表「歯間ブラシ」は先に使う方が効果的
  • 花王メイクアップ研究所、ヒトの感性も学習した独自肌評価AIを開発

調査・統計

  • 首都圏卸組合 第17回首都圏卸アンケート発表 ライオン総合評価1位に
  • プラネット、「中国の日常生活と日本製品購買に関する調査レポート」発行
  • 東家同 21年11月度市況概況価格調査 店頭価格は安定した販売が継続

イベント・展示会

  • フマキラー、「囲碁女流ブレーンズマッチ」ブレーンズパーク広島で初開催
  • 牛乳石鹸共進社、お風呂にまつわる「お風呂川柳」大賞発表
  • 明色化粧品、第10代目「明色美顔ボーイ」に西原大湖さんが決定

施設・店舗

  • サンスター、山梨工場が稼働開始 洗口液など液体製品の生産能力3倍に

時評・コラム

  • 泡沫 コロナ禍越える実感を持てる年を願う

その他

  • 在大阪セルビア名誉総領事館、セルビア国内の修道院壁画修復に協力


上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。