2021年5月19日号掲載記事より
21年3月期小売各業態動向 SC・百貨店が18カ月ぶりプラスに
2021年3月度の小売業各業態の販売統計調査報告が4月20日~23日にかけて各小売業団体からあり、営業時間短縮や外出自粛が響いた前年同月の反動からショッピングセンター(SC)・百貨店ともに前年同月比が18カ月ぶりにプラスに転じた。またコンビニエンスストアも13カ月ぶりに前年を上回った。ただ、前々年度との比較ではまだまだ厳しい状況は継続している。一方、GMS・スーパーマーケットは、チェーンストアがプラスになったものの、スーパー3団体は前年を割った。
まずSCでは、SC総合で12.5%増となり、消費増税の駆け込み需要がみられた2019年9月以来18カ月ぶりにプラスとなった。
内訳はテナントが14.3%増、キーテナントは5.7%増となり、テナントの前年3月の落ち込みがいかに大きかったかがみてとれる。ただ、前々年の2019年3月と比較すると、総合で約20%減となっており、まだまだ本格的な回復であるとは言い難い状況だ。
百貨店も21.8%増(店舗数調整後)と18カ月ぶりにプラスとなった。この要因として協会では、前年の新型コロナウイルス感染拡大による臨時休業や時短営業の反動に加え、4都県の緊急事態宣言の解除(3月21日)や、各社が企画した会員向け施策が奏功したとしている。
しかし、前々年比では19.1%減となり、2月の前々年比(21.9%減)と同じく、厳しい数値であることに変わりはない。
これら2団体の数字をみる限り、2019年の水準に戻すには、SC・百貨店ともにまだまだ時間を要することは必至であり、コロナ禍の長期化に伴う厳しい現状が浮かび上がったと言える。
マンダム、VIを38年ぶり刷新 コーポレートスローガンを導入
マンダムは、9月1日よりVI(ビジュアル・アイデンティティ)を38年ぶりに刷新し、同時に、コーポレートスローガンを導入する。5月11日にはオンラインで、記者発表会を開き、その背景と内容について明らかにした。
西村社長は、身体的な健康だけでなく、精神的、社会的に良好な状態を「ウェルビーイング」、それに向かうプロセスを「ウェルネス」と定義づけ、人それぞれが持つ「本来の自分らしさ」だけでなく、人々が願う「ありたい自分らしさ」、両方を応援し挑戦できる、持続可能な豊かな社会を創りあげることがマンダムの新しいお役立ち=ウェルネスと考え、新VI・コーポレートスローガンを策定したことを明らかにした。
新しいシンボルマークは、マンダムの理念の根幹である「人間系」、マンダムのお役立ちの先にある全てのステークホルダーの「笑顔」、マンダムの頭文字の「M」を表現。人種や国・地域を超えて、老若男女、誰もが共感できる笑顔の形でもあり、マンダムの理念を体現した存在となり、社名「mandom」もオリジナルのフォントで一新する。
また、コーポレートスローガンは「BE ANYTHING, BE EVERYTHING.」で、同社がこれから実現していきたい「お役立ち」を表現。「何かを犠牲にしなければならないというあきらめ」、「当たり前と思っている思い込み」を打ち破り、全ての生活者が「自分らしく生きること」をサポートし、それが実現できる社会を持続的に創りあげていくことが、同社にとってのこれからの新しい「お役立ち」であると定義した。
この時期に新VIとコーポレートスローガンを打ち出した背景について西村社長は、「これまでは製品ブランドを強く打ち出してきたが、今後は企業としての姿勢を打ち出していく必要があると考えた」とし、同社の事業領域である「健・清・美・楽」を通して、日常生活の豊かさと社会課題の解決を両立する独自のサステナブル経営を推進する決意をみせた。
日本歯磨工業会、設立50周年記念式典開催 新コンセプトメッセージ策定
日本歯磨工業会は5月11日、「設立50周年記念式典」をオンラインで開催し、生活者の口腔衛生の啓発・普及活動に取り組んできた50年の活動を振り返るとともに50周年の記念事業を発表した。また、式典終了後には報道関係者に向けて「歯と口の健康週間」キャンペーン説明会が開かれ、今年の活動内容を明らかにした。
式典は清原隆生専務理事の司会で進行。はじめに濱逸夫会長(ライオン)があいさつに立ち、同工業会の歴史、活動を振り返った上で、工業会活動に尽力した先達に敬意と感謝を示すとともに、人々の快適な生活の実現と健康寿命の延伸に貢献し、業界・会員会社の発展に寄与していく決意を表明した。
次に来賓を代表して経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ生物化学産業課・諏訪部和幸生物多様性・生物兵器対策室長、日本歯科医師会・山本秀樹常務理事が祝辞を述べた後、50周年記念事業(記念誌、新コンセプトメッセージ「歯みがきで心と体を健やかに」、新啓発冊子)について説明した。
「歯と口の健康週間」キャンペーン説明会では、鈴木久美子広報委員長(サンスター)が活動内容について、6月4~10日の「歯の口の健康週間」では例年通り口腔衛生を呼びかける啓発ポスターを26万枚作成し、全国の小・中学校はじめに保健所、歯科医院、各関係官庁、協力団体などへ配布すること、「みがこうネット」では新たなコンテンツ(「お口のセルフケアのコツ・シニア編」)の追加、情報の更新など、生活者へ歯や歯磨に関する情報を発信していくこと、新コンセプトメッセージ浸透キャンペーンを実施することなどを報告した。
あらた、2021年3月期は増収増益 売上高除く中計目標数値を初年度で達成
あらたは5月12日、動画配信により2021年3月期連結決算、次期業績予想、「中期経営計画2023」などについて、須崎裕明社長が説明した。
同期の業績は売上高8340億3300万円(前期比4.7%増)、営業利益115億2100万円(23.5%増)、経常利益120億9900万円(19.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益82億円(14.0%増)の増収増益、営業利益・経常利益については2023年3月期を最終年度とする中期経営計画を初年度で達成した。
業績好調の要因について須崎社長は、「当社は幅広い取り扱いカテゴリーと様々な業態との取引があり、コロナ禍での需要や購買行動の大きな変化に柔軟に対応することができた。また、生活必需品を扱う社会的使命があるため、従来からBCPの観点からシステム、物流の環境整備を進めてきており、コロナ禍の初期からWebを活用した商談等をスムーズに進めることができた。円滑な営業活動や物流センターの安定的・継続的稼働など当社が構築してきた基盤・機能が奏功する結果となった」と説明している。
「中期経営計画2023」については、最終2023年3月期の目標数値を売上高8450億円、営業利益115億円、経常利益120億円、ROE9%台に設定しているが、売上高以外は初年度で達成。このため最終年度の目標数値は再検討しており、2022年3月期上期中に修正開示する予定。
長期・中期戦略については、今後も卸事業を主軸としながら、変化する環境と社会課題の解決に向けて様々な流通機能を備え、10年間の間に事業領域を広げていく。経営健全性の強化をコアとしながら、生産性の改善を続けることで効率化に磨きをかけ、成長性の拡大、様々な事業戦略につなげていく。
このほかガバナンス強化にも取り組み、6月に監査等委員会設置会社へ移行し、経営の透明性及監督機能強化等を図る。
コーセー、2021年3月期は減収減益に 構造改革と新成長戦略を推進
コーセーは4月30日、2021年3月期決算記者会見を開き、同期の業績、「VISION2026」進捗状況と今後の取り組みについて説明した。
同期の業績は売上高2793億8900万円(前期比14.7%減)、営業利益132億9400万円(67.0%減)、経常利益187億4500万円(54.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益119億8600万円(55.1%減)、コロナの影響(インバウンド需要の大幅減少等)を受け、減収減益となった。
日本では第3四半期、専門店チャネルで「デコルテ」「アルビオン」の回復が早く、第4四半期は百貨店も好調に推移、その他主要チャネルも回復の動きが見られメゾンコーセーが展開するECも好調に推移したが、外出自粛に伴う来店客数の減少やインバウンド需要の激減等が影響し減収に。
アジアでは中国が引き続き伸長し、百貨店チャネルも順調に回復、トラベルリテールも好調に推移したが、中国以外ではコロナの影響を受けた。
小林一俊社長は「VISION2026」進捗状況と今後の取り組みについて、アフターコロナを見据えた構造改革と新成長戦略として、①中国・トラベルリテール市場の攻略②ブランド価値向上(パーソナルな顧客体験/独自の価値追求)③事業基盤のさらなる強化――を進めると説明。
また、「VISION2026」のフェーズ1「グローバルブランド拡充と顧客接点の強化」(2018~2020年度)を1年延長して2021年度までとし、フェーズ2「世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」は2022年度からスタートすることや、最終2026年度の業績目標は売上高5000億円、営業利益率16%以上、ROA18%以上、ROE15%以上、海外売上比率50%以上、EC/TR売上比率25%以上を目指すことなどを報告した。
2021年5月19日号 記事一覧
M&A・設立
- 資生堂とアクセンチュアが合弁会社設立 変化する顧客・市場環境に対応
会合・発表会
- セブン-イレブン、21年度商品政策説明会開催 立地別対応を本格化
経営・施策
- ユニ・チャーム、ファーストアセントに出資 赤ちゃんの健やかな育成へ
- 資生堂、ドルガバ社とのグローバルライセンス契約を一部解消
- ライオン、「ハブラシリサイクル」活動実績を東京都墨田区に報告
- ライオンハイジーン、「はやラクHACCP Light」の無料提供を開始
- 桃谷順天館、ハンドクリーム収益金の一部を医療従事者の支援団体へ寄付
- マツキヨHD、社内管理栄養士による特定保健指導を開始
- ユニリーバ・ジャパン・グループ、「100%電子契約化」に向けて前進
製品・サービス
- 花王「RMK」、新クリエイティブディレクターにYUKIが就任
宣伝販促
- エステー、「ドライペット」発売40周年キャンペーン実施中
- 日本製紙クレシア、「え!地球にもわたしにもうれしいキャンペーン」展開
- フマキラー「PLAY ACTIVE!」、「バリバリのバリア選手権」開催中
- 日本製紙クレシア、「ポイズEnjoyグルメキャンペーン」実施中
- マンダム、「ルシード薬用スカルプデオシャンプー」新TVCM放映中
- コーセー「ファシオ」、リブランディングで新TVCMを放映中
人事・組織
- サンドラッグ、才津達郎氏が代表取締役会長を辞任
- セッツ、役員異動を内定
- 資生堂ジャパン、人事異動を発表
- セブン&アイHD、人事異動を発表
決算
- ライオン、2021年1~3月期は減益に ハンドソープの反動等が影響
- PALTAC、2021年3月期決算短信発表 新中期経営計画も公表
- 花王、2021年1~3月期は計画通りの推移 ライフケア事業は3.0%増
- マンダム、2021年3月期決算説明会開く 第13次中期経営計画を発表
- ポーラ・オルビスHD、2021年1~3月決算発表 営業利益大幅増に
- エステー、2021年3月期連結決算発表 売上高・利益とも過去最高値を更新
- フマキラー、2021年3月期は増収増益 殺虫剤売上高は10%増に
- ファンケル、決算&新中計説明会開催 化粧品事業から効果実感高い新製品
- 資生堂、2021年度第1四半期業績は日本除く全ての地域で売上高が増加
研究・開発
- マンダム、「第14回動物実験代替法国際研究助成金公募」の助成テーマ決定
調査・統計
- KSP-POS 2021年4月 カテゴリー別ランキング
イベント・展示会
- 大木HCHD、「秋冬用カテゴリー提案商談会」リアル開催中止
- 伊勢半本店、「紅ミュージアム」常設展示図録を発刊
施設・店舗
- クスリのマルエ、群馬・高崎駅西口店に韓国コスメ売り場「Re:MAKE」新設
時評・コラム
- 泡沫 18カ月ぶり前年比プラスも残る不安
特集 【H&BC/ヘアケア】
- ヘアケア市場 マスヘアケアの縮小が市場に影響 プレミアム品は支持上昇
- ヘアカラーリング市場 2020年度は微減 白髪用が前年割れ、黒髪用は好調
- 花王 「セグレタ」シャンプー改良 「リーゼ 泡カラー」新色2色発売
- ミヨシ石鹸 「無添加泡のせっけんシャンプー」使用感の良さと簡便性向上
- ヘンケルジャパン 新ヘアカラー「got2b」発売 ヘアコスメ文化創造へ
- マンダム 「ルシード」ヘアワックスシリーズから新アイテム発売
- P&Gジャパン 「パンテーンPRO-Vミセラーシリーズ」発売
- グリーンベル 「ツーウェイ・ダイヤルヘアカッター」が好評
- I-ne 「ボタニスト」スタンダードラインを一新
- コーセーコスメポート 「ビオリス ヴィーガニー」積極展開
- 三宝 「テンスターカラートリートメントNⅢ」が売れ筋に
- 資生堂 「TSUBAKI」から「クールポンプペアセット」数量限定発売
- クラシエHP 「いち髪 THE PREMIUM」売れ行き好調
- ダリヤ 「パルティ カラーリングミルク」から春らしい透明感ある新色
- ライオン 「ソフトインワン」忙しい現代女性から好評
- シャボン玉石けん 「無添加せっけんシャンプー泡タイプ」が好評
- 日本石鹸 「WINSリンスインシャンプー」大容量1000㍉㍑新発売
- ホーユー 「シエロ ヘアカラーミルキー」をリニューアル
- サンスター 「サンスタートニック」オリジナルフォトボトルキャンペ実施
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