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2021年2月10日号掲載記事より

資生堂、パーソナルケア事業を譲渡 事業承継会社新設し運営協力へ

資生堂、パーソナルケア事業を譲渡 事業承継会社新設し運営協力へ

 資生堂は2月3日、オンラインで緊急会見を開き、「TSUBAKI」「SENKA」等を展開するパーソナルケア事業を英国の投資ファンドCVC Capital Partners(以下CVC)に譲渡すると発表した。譲渡額は1600億円。譲渡予定日は7月1日。事業承継会社(新会社・名称未定)を新設し、その株式をCVC傘下のOriental Beauty Holding(東京都千代田区、以下OBH社)に譲渡する。その後、資生堂はOBH社の親会社株式35%取得して同事業を合弁事業化し、CVCと協力して事業を運営していく。
 会見で魚谷雅彦社長兼CEO(資生堂ジャパン会長兼CEO)は今回の事業譲渡の理由について、「売却そのものが目的ではなく、またコロナ禍の影響といった短期的な考えは一切ない」と強調した上で、「当社の基本的ビジネスモデルは、ビューティーカウンセラー(美容部員)によるカウンセリングを伴う化粧品事業である。これに対しパーソナルケア事業はマスマーケティングによるセルフ販売であり、製品開発から広告宣伝、競争環境に至るまで化粧品事業とは全く異なる。2015年以来、全売上高の7割以上を占める中高価格帯の化粧品事業に優先順位を置く戦略で成長してきたが、パーソナルケア事業はどうしても優先順位を高めることができない強烈なジレンマが常にあった」と言及。
 譲渡先にCVCを選んだ理由については、「資生堂の枠から出ることでよりこの事業が独立して、CVCの資金力、人材、ノウハウを活用しながら1つの企業体になることで、自由に業界にふさわしい事業を運営できるようにしていきたい。そして資生堂は、スキンケアを中心とする化粧品事業に専念し、化粧品の真のグローバルメーカーとして世界の大手化粧品メーカーとの競争に本格的に突き進んでいく」と述べた。

花王、2020年通期業績は売上高・利益が前期下回る 21年は増収増益予想

 花王は2月3日、「2020年12月期」の連結業績(IFRS)を発表した。
 売上高1兆3819億9700万円(前期比8.0%減、実質5.2%減)、営業利益1755億6300万円(17.1%減)、当期利益1280億6700万円(14.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益1261億4200万円(14.9%減)。衛生意識の高まりにより、ハンドソープ、手指消毒液やホームケア製品全般で需要が高まり、日本を中心に前期に比べ売上・利益は伸長したが、化粧品事業では日本でインバウンド需要が消滅、外出自粛の影響もあり市場が大幅に縮小し、売上・利益が大きく減少した。海外では、中国を除く世界中で店舗閉鎖や外出規制の影響を受け、さらには感染症拡大に対応するための特別支出もあり、連結業績全体では前期を下回る結果となった。
 コンシューマープロダクツ事業は売上高1兆1513億円(8.4%減)、営業利益1472億円(対前期327億円減)で、同事業のうち【化粧品事業】の売上高は2341億円(22.4%減)、【スキンケア・ヘアケア事業】の売上高は3089億円(9.3%減)、【ヒューマンヘルスケア事業】の売上高は2340億円(8.3%減)、【ファブリック&ホームケア事業】の売上高は3744億円(4.1%増)となった。
 次期業績予想は、1兆4300億円(前期比3.5%増)、営業利益1770億円(0.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1270億円(0.7%増)を見込む。

小林製薬、2020年度業績は減収も当期純利益は23期連続で増益に

小林製薬、2020年度業績は減収も当期純利益は23期連続で増益に

 小林製薬は2月1日、2020年12月期決算説明会をオンラインで開催。連結業績は、売上高1505億1400万円(前期比4.9%減)、営業利益259億4300万円(1.1%増)、経常利益277億2600万円(0.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益192億500万円(0.3%増)の減収増益となり、当期純利益は23期連続増益を達成したこと、また「中期経営計画」の業績目標の修正も併せて発表した。
 会見には、小林章浩社長、山根聡専務の両氏が出席。はじめに、山根専務が連結業績の概況について、「新型コロナの影響により、『除菌・衛生関連品』の需要が増加したものの、『外出自粛による需要減』、『インバウンド需要の減少』、『中国の熱さまシートが苦戦(中国本土における発熱対策品の販売規制が影響)』――などのマイナス要因を補うに至らず減収となった」と述べ、営業利益・純利益については、「広告宣伝費を中心とする経費抑制で増益となった」と説明した。
 続いて、小林社長が中期経営計画の業績目標(22年度)を、売上高1620億円以上(国内=1223億円以上、国際=295億円以上、通販=96億円以上)、営業利益270億円以上へ修正したことを報告。さらに「国際ファースト」をテーマとする「中期経営計画(20~22年)」の主な戦略骨子「全社を挙げて国際事業の成長に取り組む」「既存事業のレベルアップ」「ESG視点で経営を磨く」などについても言及した。
 なお、21年12月期連結業績は、売上高1560億円(前期比3.6%増)、営業利益260億円(0.2%増)、経常利益278億円(0.3%増)、当期純利益195億円(1.5%増)を見込んでいる。

イオンモール新利府南館が3月5日にオープン 東北最大級のエンタメモール

イオンモール新利府南館が3月5日にオープン 東北最大級のエンタメモール

 イオンは3月5日、宮城県宮城郡利府町に新たな商業施設「イオンモール新利府 南館」(以下、「南館」)をグランドオープンする。
 南館は、2000年にオープンし、今夏「イオンモール新利府 北館」としてリニューアルオープンする北館と県道8号を挟み、隣接している。今回、「LIVE FULL DAYS」をコンセプトに東北初となる最新の体験型アミューズメント施設の導入をはじめ、話題の大型ファッションやトレンドファッション、日々の食卓を彩るフードゾーンなど、東北最大級のエンターテインメントモールとして、北館とともに、新たなにぎわいの拠点を創出していくとしている。
 専門店の中には、毎日の美と健康づくりをサポートする「グラムビューティーク」を展開。ここでは、化粧品や健康食品、医薬品など豊富に取り揃え、イオンの社内認定資格を取得した「イオンビューティケアアドバイザー」や薬剤師をはじめ、専門の知識を持つスタッフが対応。ビューティコーナーでは、肌の悩みに合わせて選べるスキンケアシリーズ「トップバリュセレクト GLAMATICAL(グラマティカル)」のほか、国際オーガニック認証取得のスキンケアシリーズ「トップバリュ グリーンアイオーガニック」「ジーオオーガニクス」など、イオンのこだわりの商品を用意する。
 また、ヘルスケアコーナーでは、健康維持や体力増進をサポートする医薬品や健康食品、サプリメントなどを取り揃え、気軽に薬や健康のことを相談できる場所として生活者の毎日の健康づくりをサポートする。

20年1~12月小売業態販売統計 年間通じ明暗分かつ流れに終始

20年1~12月小売業態販売統計 年間通じ明暗分かつ流れに終始

 各小売業団体販売統計による12月の売上高前年対比の調査結果が1月20日~22日までに出揃い、2020年の1~12月の各月別の状況が明らかになった。コロナ禍の外出自粛・在宅勤務の影響をもろに受けたショッピングセンター(SC)と百貨店が全ての月で前年を割るという厳しい結果の一方で、GMS・スーパーマーケット(スーパー)は殆どの月で前年をクリア。コンビニエンスストア(コンビニ)は3月以降は前年を割る苦戦が続き、業態によって明暗を分ける結果となった。
 SCの12月は、総合で前年同月比14.4%減となり、前月を3.1ポイント下回った。年間でみても、SCで前年を上回ったのは、キーテナントの10月のみであり、総合はもちろん、キーテナント、テナントともに散々な1年となったといえる。
 SCと同じくインバウンド需要激減が大きく響いた百貨店も1~12月の全月で前年を割るという苦しい1年になった。年間売上高も発表されたが、4兆2204億円(店舗調整後=25.7%減)となり、その内のインバウンドは686億円(80.2%減)で終えた。
 一方で好調を維持したのが、チェーンストア協会、スーパーマーケット3団体に所属するGMS・スーパー業態の企業・店舗だ。
 チェーンストアの12月は2.7%増(店舗調整後)と前月より1.5ポイント上回り次年度に弾みをつけた。
 スーパー3団体は12月は3.6%増(既存店)となり、前月の伸び率を0.1ポイント上回った。年間でみると、2月以降11カ月が前年を上回り、内食需要が好調を牽引。年間総売上高は11兆3835億7172万円で、前年比で全店ベースが106.3%、既存店ベースで105.0%であった。既存店業績が100%を上回ったのは16年以来という。
 コンビニは1~2月を除き全ての月で前年を割る厳しい結果となり、4~5月は2ケタを超える前年割れとなった。消費者にとっては身近な店舗であり、食品構成率も高い中にあっての苦戦は、スーパーとは対照的と言え、その要因については、協会や各企業の分析を待つほかないが、スーパーに比較してインバウンドや観光客の需要比率が高かった可能性は否めない。
 いずれにしても、2020年は小売業にとって、新型コロナウイルス感染拡大に翻弄された1年であり、業態によっての明暗の激しさが際立った。21年は果たしてどのような動きになるのか。それもコロナ禍の収束がいつになるかにかかっている。


2021年2月10日号 記事一覧

M&A・設立

  • フマキラー、シンジェンタジャパンのフラワー事業を譲受へ

経営・施策

  • アインHD、社内カンファレンスをオンライン開催 薬剤師研鑽の場
  • ローソン、ウーバーイーツで初のOTC薬の取り扱いを開始
  • 花王、美容カウンセリング会社を統合して活動を強化
  • 花王、ブルームバーグ社「男女平等指数」に3年連続で選定
  • 花王、神奈川県と未病対策推進に関する連携協定を締結
  • ユニ・チャーム、生産子会社の国内5工場で「CoC認証」を取得
  • 大木製薬、空間除菌用品「ウイルオフ」をJACDS加盟社に特別提供
  • 牛乳石鹸共進社、新事業で「入浴ヘルスケア」に着目 「ツナグケア」販売
  • 大王製紙、「ハートサポートプロジェクト」実施 世界の女の子たちを支援
  • 貝印、インド国内向けの衛生習慣向上「良い習慣」キャンペーンに参画
  • PRページ 東亜産業 コロナ禍の要望に対応 PCR検査事業などに注力

製品・サービス

  • ライオン、「Ban汗ブロック プラチナロールオン」改良新発売
  • コーセーコスメポート、新シリーズ「サンカットプロディフェンス」誕生
  • ナリス化粧品、「ネイチャーコンク」に「薬用ジェルクリーム」2品を投入
  • 花王、「キュキュット つけおき粉末」新発売 強力発泡で食器洗いを応援
  • 日本製紙クレシア、「クリネックス」からトイストーリーデザイン限定発売
  • シャボン玉石けん、「手洗いせっけん バブルガード携帯タイプ」新発売
  • P&Gジャパン、「レノアハピネス アロマジュエル」リニューアル発売
  • ユニ・チャーム、医療従事者向けに「N95マスク」数量限定発売
  • クラシエHP、「肌美精うるーぷ おフロあがりマスク」新発売
  • ライオン、「CHARMY Magica 速乾+カラッと除菌」新発売
  • 日本製紙クレシア、「スコッティ」から5箱パックのハンドタオル新発売
  • ユニ・チャーム、「ソフィKiyora」「同センターイン」からさくらの香り
  • 白元アース、「Naturalミセスロイド衣類ケアミスト」新発売
  • ショーワグローブ、手首のベルトで動きにぴったりフィットする手袋発売

宣伝販促

  • P&G、「~あなたはどのJOY?~『JOY総選挙!』」キャンペーン実施
  • ライオン、「子どもの手洗い」のポイントなど情報発信 習慣化促す

人事・組織

  • マンダム、常務執行役員・西村健氏が4月1日付で代表取締役社長に就任へ
  • あらた、4月1日付役員人事・組織変更を発表
  • エステー、組織改定・執行役管掌変更を発表
  • 小林製薬、3月26日付で役員異動を発表
  • シャボン玉石けん、3月1日付で新たに3名が取締役に就任へ

決算

  • PALTAC、2021年3月期第3四半期決算発表 微減収増益で推移
  • サツドラHD、2021年5月期上期決算はインバウンドゼロで5.5%の減収に
  • エステー、2021年3月期第3四半期決算は全カテゴリーで増収に
  • 資生堂、2020年度通期業績を上方修正 中国市場の好調を受けて
  • マンダム、2021年3月期第3四半期決算は減収減益に
  • コーセー、2021年3月期業績予想を下方修正
  • あらた、2021年3月期第3四半期は増収増益に 全業態で売上伸長

調査・統計

  • 経済産業省 20年1~10月度洗浄剤統計 手洗用・液体石けんが成長持続

時評・コラム

  • 泡沫 安易な景況予測・株価頼みは禁物


上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。