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2021年1月13日号掲載記事より

2021年、求められる変化への対応力 当業界商品の重要性更に深化

 新型コロナに揺れた令和2年が終わり、新しい年を迎えた。コロナの感染状況は収束どころか1月2日には東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県の知事が政府に緊急事態宣言の発令を要請し、7日に再び発令の運びとなった。欧米ではワクチンの接種も始まったが国内では長期での戦いになると見た方が賢明であろう。新しい年を迎え、日用品・化粧品業界の企業にはどのような経営が求められるのか、その対応力が問われる年となりそうだ。
 当業界が開発・販売する商品は「生活者に欠くことのできない重要なもの」とコロナ以前から誰もが認識していたが、新型コロナによってその重要性が更に鮮明になった。メーカーが供給する商品の物流を止めることなく供給し続けた卸売業の存在価値も不可欠なものとして存在感を示した。
 コロナ禍に関わらず業界企業は継続して生活必需品の安定供給を続けなければならないが、コロナによって消費者の心理、市場は急速に変化しており、その変化に対応していくことが問われてきそうだ。
 今後、さらに所得や雇用の悪化によって消費が低迷し、デフレの再燃が懸念される。こうした変化の中で、業界企業は、これまでの手法では、対応できなくなる可能性があり、新常態に対応できる事業構造に変えていく必要があるだろう。新常態では、業界企業が生活者が望む商品を欠かすことなく提供することはもちろん、商品を使用する場面、あるいは日常生活において、感染予防、衛生で健康的な生活が送れるための情報を、知見を最大限に活用して発信に努めることが必要だ。
 ここ数年、業界企業は、高付加価値商品による市場の活性化に努め、それは潮流となってきた。だが、収入が減少している生活者が増えている中、割安な従来型の商品も品揃えする必要性もある。高付加価値品と基本機能型商品による総合展開により、粗利を確保できる提案が必要になっている。
 新常態への対応が重要な一方、コロナ以前からの課題も山積だ。人口減少による市場の縮小、超高齢社会の進展による消費の変化、環境問題への対応、働き方改革等だ。業界企業は新常態への対応と並行して、以前からの課題解決に取り組まなければならない。2021年は変化への対応力が一層求められる年になりそうだ。

ユニリーバ・ジャパン・CM、副社長兼営業本部長に篠原亜季氏が就任

ユニリーバ・ジャパン・CM、副社長兼営業本部長に篠原亜季氏が就任

 ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングはこのほど、1月1日付で前チャネル&カテゴリー開発ダイレクターの篠原亜季氏が取締役副社長兼営業本部長に昇格したと発表した。同社史上最年少で初の女性営業本部長となる。
 篠原氏は1986年10月20日生まれ。静岡県富士宮市出身。東京女子大学文理学部卒業後、09年4月同社入社。ダヴヘアブランドマーケティングアシスタントマネージャー(12年1月)、ユニリーバ・トルコのショッパーカスタマーマーケティングダヴブランド担当(13年1月)、トレードカテゴリーマネジメントヘアケアリード(同年7月)、トレードカテゴリーマネジメント兼九州エリア開発(15年1月)、カスタマーマーケティングマネジャー(同年10月)、ユニリーバ・オランダのグローバルディスカウントチャネル戦略・ポートフォリオ開発シニアマネジャー(18年9月)、チャネル&カテゴリー開発ダイレクター(20年3月)に就任し、現在に至る。

エステー、春の新製品発表 おうち時間、衛生対策、環境配慮に焦点

エステー、春の新製品発表 おうち時間、衛生対策、環境配慮に焦点

 エステーは昨年12月17日、「2021年春の新製品説明会」をオンラインで開催。各事業の直近の市場推移を交えて今春の新製品とマーケティング戦略について説明した。
 今回同社では、昨年来からの大きな環境変化として、「コロナ禍で変わる生活様式」「生活意識の変化と衛生意識の高まり」「社会課題として高まる環境配慮への取り組み」を挙げ、こうした変化に対応すべく今春の商品戦略を、①快適なおうち時間の創造②衛生対策③環境配慮――の3つのキーワードで説明。コロナ禍で生活スタイルが変化する中でも、「新規顧客の獲得」「既存顧客の深耕」によって市場の活性化に取り組んでいくことを明らかにした。
 まず、防虫剤カテゴリーでは、香りによる防虫剤の高付加価値化を更に促進する製品として、「かおりムシューダプレミアムアロマ」の新香調「グレイスボーテ」を導入するとともに、伸長著しいダニよけ市場を更に活性化する製品として「ムシューダダニよけ大判シート」を発売することを発表。
 一方、除湿剤カテゴリーでは、トップメーカーとして、廃棄プラスチック問題に向き合っていくことを表明し、今春は「ドライペットクリア」「同コンパクト」のパッケージを廃プラ削減タイプであることを強調したデザインに変更するとともに、同タイプの製品売上構成を今後3カ年で50%(20年度見込は30%)にまで、引き上げる計画であることを明らかにした。
 また、エアケアカテゴリーでは、商品戦略のテーマを「快適なおうち時間の創造」に設定。①嗜好性の高い香り・デザインの需要拡大②ニオイを不快に感じる場面の増加への対応③衛生意識の高まり~ウイルス除去、除菌・抗菌等の付加機能を持つ製品の拡充~――などの新製品・リニューアル品を発売することで、売上アップ、市場活性化を狙っていくことなどを説明した。

SM3団体、20年11月度統計調査発表 販売実績は10カ月連続で昨対クリア

SM3団体、20年11月度統計調査発表 販売実績は10カ月連続で昨対クリア

 全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の業界3団体は昨年末、都内で月例の「スーパーマーケット(SM)統計調査(販売・景気動向)記者発表会」を開催。当日は、日本スーパーマーケット協会・江口法生専務理事が20年11月度販売実績を解説した後、川野幸夫会長(ヤオコー会長)が2020年の振り返りと題してSM業を取り巻く環境変化について語った。
 20年11月度の販売実績調査結果は、総売上高(270社)が9058億5782万円。前年同月比は、全店ベースで104.4%、既存店ベースで103.3%であった。
 江口専務理事は、この業績概況について「既存店売上高は10カ月連続で前年同月比をクリアした。その原動力が生鮮三品で、惣菜に代わって伸長したことが大きい。SM全体で高い内食需要を享受している」と総括した。
 一方、オンラインで会見に臨んだ川野会長は、アフターコロナ下での消費減退、不況の到来が予測されるなど「人口減少・少子高齢社会下でのSM経営は相当に厳しい環境が待っている」とした上で、その対応策として「AIやロボットの活用等を含めて生産性の向上を目的とするIT強化提案を会員に提供している。そのためにIT投資への免税を政府にお願いしているところ。この他、キャッシュレスによる手数料の引き下げ、人手不足解消のための外国人技能実習制度の要件緩和なども同様に政府に提言し、業界全体で新しい時代に対応した対応を取っていく必要がある」と語った。

クスリのアオキHD、2021年5月期第2四半期決算は増収増益

クスリのアオキHD、2021年5月期第2四半期決算は増収増益

 クスリのアオキホールディングスは昨年12月23日、都内で「2021年5月期第2四半期決算説明会」を開催。青木宏憲社長、八幡亮一取締役管理部門担当の2名が出席し、当期決算概況並びに新中期経営計画に向けた事業展開等を説明した。
 同社当期連結決算業績は、売上高1507億1600万円(前年同期比2.9%増)、営業利益84億8100万円(27.9%増)、経常利益87億4800万円(28.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益64億3500万円(31.6%増)と増収増益であった。
 青木社長は当期を振り返り、「前期はひたすら売上げ伸長のための価格戦略を推進した。今期はその反動を考えて売上げと利益のバランスを重視したが、早急に戻し過ぎたきらいがあり、売上高は計画値には未達だった。一方、売上総利益率は計画値より上振れしている。販管費は自身のコントロールミスで増大してしまった」と述べ、同質化競争からの脱却、生鮮強化等MD改善を徹底させるなど下期で立て直していく考えを示した。
 また、より一層のカテゴリー強化を図っている生鮮展開についても、「よりブラッシュアップさせ、導入を強化していく。地場のSM2社を子会社化したのはこの施策への起爆剤とするため」と言及。SM店舗は順次DgS業態に変えていく方針を明らかにした。
 最後に青木社長は本来から当期から始まる予定であった新中期経営計画について、「100年に一度のパンデミック発生を受け、経営環境が不透明のために計画発表を1年延期する。この1年を新中計に向けた基盤づくりの年としたい」と宣言。再度、目標数値だけでなく戦術・戦略面での見直しも図る考えを示した。


2021年1月13日号 記事一覧

M&A・設立

  • ロレアル本社、スキンケアブランド展開のタカミを買収
  • サツドラHD、コープさっぽろなどと合弁会社「北海道MD機構」設立

会合・発表会

  • 石洗工、容器包装プラ使用量削減に関する自主行動計画進捗状況を報告
  • ペットフード協会が会見 19年フード産業出荷総額は3193億円と増加傾向に
  • グリーンベル、WEB新製品発表会開催 ルーペ付き深爪防止ツメキリ等
  • シャボン玉石けん、北九州市に「手洗いせっけんバブルガード」を贈呈
  • 小林製薬青い鳥財団、20年度助成事業・顕彰事業贈呈式をオンライン開催
  • 花王、ビオレUV新製品発表会 “アウタースキン思想”の新製品を披露

経営・施策

  • 小林製薬グループ、「就業時間内禁煙」を実施
  • ライオン他3社、グリーン物流PS会議で共同受賞
  • ユニ・チャームプロダクツ他2社、グリーン物流PS会議で共同受賞
  • 花王とライオン、スマート物流への協働取り組みを開始
  • コーセー、医療従事者へ化粧品15万点を寄贈 応援プロジェクト実施
  • エステー、医療物資の増産に貢献した企業として経産省から感謝状を受領
  • キリン堂HD、株式上場を廃止 1月6日付で
  • 業界主要メーカートップ訓示 ユニ・チャーム・高原豪久社長
  • 業界主要メーカートップ訓示 エステー・鈴木貴子社長
  • 業界主要メーカートップ訓示 クラシエHD・岩倉昌弘社長
  • 山田薬品、ゆうちょPayを採用 QRコード決済は全8種類に対応
  • 小林製薬、「ドナー休暇制度」導入 従業員の社会貢献活動を支援
  • 桃谷順天館グループ、テレワークを強化 「テレワーク・デイズ」参加継続
  • ライオン、消費者志向経営優良事例「内閣府特命担当大臣表彰」を受賞
  • 東急ステイが花王「アタックZERO」を新規導入、トライアル運用開始
  • 牛乳石鹸共進社、全国のお風呂屋に「浮世絵」タッチののれんを提供

製品・サービス

  • 薬王堂、「PCR検査サンプリングキット」販売開始 3月31日まで提供
  • 宇部フィルム、「ポリラップ」安定供給で好調な売れ行き
  • ライオン、「ソフラン アロマリッチ」さくらの香り数量限定発売
  • 王子ネピア、ウイルス飛沫を99%カットするフィルター採用マスクを新発売
  • ユニ・チャーム、芍薬・ヨモギを温感部分に配合したナプキンを中国で発売
  • 日本製紙クレシア、「スコッティ カシミヤさくら」数量限定発売
  • 林田鉄工、土練機の練技術を活用した混錬押出成形機を新発売
  • クラシエHP、「マー&ミー ラッテ」からリンスインシャンプー新発売
  • カネボウ化粧品、「SENSAI」から口もと用エイジングケア美容液発売
  • コーセー、日やけ止め「雪肌精 クリアウェルネスUVディフェンス」発売
  • ニベア花王、「ニベアUV ディーププロテクト&ケア」新発売
  • マンダム、2021年春の新製品・リニューアル品を発表
  • コーセー、「ヴィセ リシェ」からアイカラーなど新発売
  • クラシエHP、「肌美精 超浸透3Dマスク(桜)」数量限定発売
  • 白十字、滅菌済不織布ガーゼ「FCステラーゼ 不織布タイプ」新発売
  • I-ne、「ボタニスト」からサクラをテーマにした春限定品発売
  • クラシエHP、「いち髪」から数量限定品「春めきの香り」発売
  • PRページ NSファーファ 新シリーズ「ファーファ ストーリー」新発売

宣伝販促

  • サンスター、感染症リスク軽減にお口のケアを推奨
  • 牛乳石鹸共進社、駅媒体企業広告を刷新 「さ、洗い流そ。」を訴求
  • マンダム、除菌剤「MA-T Pure」初のTVCMを放映中
  • ライオン、「ルックプラス おふろの防カビくん煙剤」新TVCM放映
  • 白元アース、人形用ケア商品「わらべ」でキャンペーン実施中

人事・組織

  • 資生堂ジャパン、経営執行体制の一部変更を発表
  • 西友、大久保恒夫氏が3月にCEO就任へ
  • オークワ、大桑弘嗣副社長兼営業本部長が新社長に就任へ
  • 花王、1月1日付で人事異動・機構改革を発表
  • アース製薬、子会社の役員人事を内定、川端社長がグループ各社の会長兼務
  • クラシエHP、関連会社含めた人事異動・組織改編を発表
  • ユニ・チャーム、機構改革・人事異動を発表
  • 大王製紙、若林頼房氏が代表取締役社長に昇格 役員体制変更なども発表

決算

  • スギHD、2021年2月期第3四半期は売上・利益とも2ケタ増
  • サツドラHD、2021年5月期第2四半期決算は売上高5.5%減に

研究・開発

  • 資生堂、オンライン技術セミナー開催 複合的物理刺激で肌の若返り促す
  • 花王、手指が本来備える感染症に対するバリア機能を発見 「乳酸」が寄与
  • エステーの抗菌剤処方液、新型コロナへの1カ月後の不活化効果確認
  • マンダム、ISS搭載に向け、宇宙・地上で使えるボディペーパー開発開始

調査・統計

  • 東家同 20年11月度市況概況価格調査 TP再生紙店頭価格は安値に変化
  • TWO、「ビジネスパーソンのニューノーマルな生活」実態調査結果を発表
  • ライオン、「ストッパ」受験生実態調査 約7割がコロナ禍での受験に不安
  • KSP-POS 2020年11月 カテゴリー別ランキング

イベント・展示会

  • 日衛連、賀詞交換会の開催を見送り コロナ禍で判断
  • P&Gジャパン、ダイバーシティ&インクルージョン研修会オンライン開催
  • 「西日本医療品総合展示会」1月20~21日に大阪・OMMで開催
  • サンギ、将棋大会「アパガード杯」に特別協賛 初のオンライン開催に

施設・店舗

  • 中山福、常総支店に倉庫を増築 関東~東北エリアの安定した物流体制構築

時評・コラム

  • 泡沫 今年もコロナ禍中で右往左往か

年頭所感

  • 未来の命を守る会社に 花王社長執行役員 長谷部佳宏
  • “危機”を“機会”と捉えて、強くなる カネボウ化粧品社長 村上由泰


上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。