2020年11月4日号掲載記事より
9月の各小売業態動向 一部除き各業態で前年割れに
各小売業団体の統計調査によれば、9月の各小売業態における消費動向は、コロナ禍に加え、前年の消費増税前の駆け込み需要による反動、また台風をはじめとする天候不順などが影響し、ショッピングセンター(SC)、百貨店、チェーンストア、コンビニエンスストア(コンビニ)の4団体調査では前年を割った。ただ9月16日には、GoToトラベルの対象に東京が追加の発表があり、19日からの4連休などによる人出の増加により、地区によっては回復傾向もみられている。
10月20日~22日までに発表された各小売業団体販売統計による9月の売上高前年対比(図参照)をみると、スーパー3団体(全国スーパーマーケット協会・日本スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会)は僅かながら前年増を維持したが、SC・百貨店は前月よりも前年割れの減少幅が大きくなり、チェーンストア、コンビニも前年割れとなった。
業態全体として売上高が振るわなかった主要因は、コロナ禍による外出自粛や在宅勤務等の影響はやや緩和されてきた中にあって、昨年10月からの消費増税前の駆け込み需要に対する反動が大きく影響した格好だ。これに台風などによる降水量の増大が響いたものとみられる。
花王、2020年1~9月連結業績は減収減益 ほぼ修正予想通りの推移に
花王は10月28日、2020年12月期第3四半期の連結業績を発表した。
売上高1兆52億6000万円(前期比9.4%減、実質6.5%減)、営業利益1200億6200万円(20.5%減)、税引前四半期利益1191億4800万円(20.3%減)、四半期利益873億5200万円(16.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益859億4100万円(17.0%減)の減収減益と、修正公表予算に対しては同期末時点でほぼ予定通りの推移となった。
化粧品事業の売上高は前年同期に対し25.0%減の1606億円、スキンケア・ヘアケア事業の売上高は一部の取引において認識方法を総額から純額に変更したこと等で9.6%減の2330億円、ヒューマンヘルスケア事業の売上高は8.9%減の1706億円、ファブリック&ホームケア事業の売上高は2.4%増の2705億円となった。
10~12月の取り組みについては、今後も化粧品事業の回復状況が花王グループ全体の業績を大きく左右する見通しで、構造改革を推進しながら積極的に新製品を投入するとともに、感染防止策を施した上での店頭でのマーケティング活動を再開、さらに花王中国は商機である11月のW11で過去最大の売上増、利益増を目指す。トイレタリー製品では、感染症が流行しやすい季節に向けた取り組みに加え、新製品、改良品の投入、さらに年度末に向けた様々なキャンペーン企画を実施。不透明で厳しい経営環境が見込まれる中、グローバルで最大限の努力を行い、公表予想達成に向けて取り組んでいく。
通期連結業績予想は売上高1兆4300億円(前期比4.8%減)、営業利益1900億円(10.3%減)、税引前利益1890億円(10.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益1340億円(9.6%減)。
セブンーイレブン、20年下期商品政策説明会開催 酒・冷食軸にSM化推進
セブン―イレブン・ジャパンは10月22日、電話会議による「2020年下期商品政策説明会」を開催。当日は、高橋広隆取締役執行役員商品本部長が今年上期(コロナ禍)における売上げ・販売動向を解説した上で、下期に取り組む商品施策の概要等について説明した。
高橋氏は「コロナ禍では内食需要が伸び、健康意識も高まり、利便性や保存性、美味しさ、高品質が求められてきた。コロナ終息後もこの傾向は続くと思われる」と上期現況を分析。その上で「コンビニでは1食分を購入する傾向から家族分・1人分でもまとめて購入する傾向が強くなり、買い上げ点数が増加するので、いかにそのニーズに適した品揃えをするかが重要だ」と説明した。
また高橋氏はこうした顧客動向を踏まえ、「もはや外食・中食・内食というカテゴリーの垣根はなくなり、『おうち』での消費がメインとなった。従って下期は『おうち時間の充実』をキーワードとしたビュッフェ提案、ニューノーマルに対応した政策を展開していく」と語った。
具体的には、酒類と酒類周り商品(多品種小容量)、冷凍・チルド食品、食事パン・複数入りパンの充実等、新たな品揃えに取り組む。
高橋氏はまとめとして、コンビニの在り方が09年を境に「開いててよかった」から「近くて便利」に移行する中、「MDの変更など少しずつ『近くて便利』施策に近づけてきたことが当社の文化であり、売上げ回復の原動力ともなった。世帯数が減少する中、PB開発等を含めてSM化を進めていく。SMで買えるものがコンビニでも買える。品揃え強化で、幅の提案を深化させていく」と語り、顧客層で例えれば、オフィス街でもワーカーだけではなく、マンション住民など新たな地域ニーズの開拓に取り組む考えを示した。
いい歯の日企画 ライオン 積極的に「予防歯科」を啓発
ライオンは、11月8日の「いい歯の日」に向け、積極的に「予防歯科」を啓発する。
同社によるとオーラルケア市場は順調に成長してきたが、新型コロナの影響を受け、20年4~6月は販売金額ベースで前年割れとなった。その後、7~8月は、回復基調にある。
コロナ禍では、家庭でのオーラルケア意識が向上しており、1回あたりの歯みがき時間が長くなったことや、デンタル用品(歯間ブラシ、フロス)を使うようになったことなどの歯みがき行動の変化が出ているという。
こうした中、同社は、「いい歯の日」に向け、日本歯科医師会との協働広報活動を行う。生活者の歯と口の健康づくりに貢献すべく、生活者の「オーラルケア意識の醸成」と、プロケアとセルフケアの両立を前提とした「最適なケア実践方法の情報提供」を継続的に実施していく。
また、実践につなげるために意識すべき「歯ぐきのケア」、歯周病やう蝕の予防を意識した正しいブラッシング口腔ケアの実践について情報を発信する。
下期の重点施策については、若年層、中高年層、シニア層の3つに区分した生活者のライフステージ別に、各主力ブランドの育成強化を継続する。若年層には「クリニカ」「NONIO」、中高年層には「システマ」「システマハグキプラス」、シニア層には「デントヘルス」を中心として、インパクトのある体験価値を提供し、市場拡大に貢献していく。
いい歯の日企画 サンスター 「オーラルヘルス」の重要性を訴求
サンスターグループは11月8日「いい歯の日」に合わせて、「口からはじめる健康習慣。オーラルケアからオーラルヘルスへ。」をコアメッセージとした歯周病菌と全身の関係性を伝えるコミュニケーションを積極展開して、歯周病予防ブランドの「G・U・M(ガム)」を中心に販促施策を推進していく。
近年、口腔環境と全身の関係性が次々と明らかになっている中、同社は今回のコミュニケーションで、「オーラルヘルス」「CPC」「奥歯ケア」の啓発を通じて、“口から始める健康習慣”を訴求していく。
「オーラルヘルスの啓発」については、身体を守る、健康を維持するには、口内環境をコントロールすることが大事であるとして、お口と身体の健康を考えて“口内環境をプラスにコントロールする”「ガム・ウェルプラス」シリーズを注力商品として訴求する。
「CPC啓発」については、口は菌やウイルスの体への入り口であり、オーラルケア製品に含まれるCPCなどの殺菌剤が、菌やウイルスの除去をサポートするという点を強調して訴求。新型コロナウイルスの影響による国内での殺菌・消毒ニーズの高まりに対応して、New Normalの時代にオーラルヘルスが提供する価値として、「オーラルケアはウイルス対策に重要」「CPCなどの殺菌剤は菌やウイルスの除去サポートに有効」であることをアピールする。
「奥歯ケアの啓発」については、奥歯が他の歯よりも失われるのが早いことや、寿命が短い奥歯のケアが生涯の健康に重要な役割を果たすというメッセージを伝達して、積極的な奥歯ケアの啓発に注力していく。
2020年11月4日号 記事一覧
特別企画
- いい歯の日企画 デンタルプロ 「おまかせキャンペーン」実施中
- いい歯の日企画 花王 「ピュオーラGRAN いたわりハグキケア」発売
M&A・設立
- ニトリHD、島忠の完全子会社に向けTOB実施へ DCMHDと争奪戦に
会合・発表会
- バスクリン、「バスクリン」90周年でスペシャルコラボ企画を発表
- 資生堂「SHISEIDO」、グローバルプロジェクト「SBAS」を始動
経営・施策
- 花王と和歌山市、「SDGs推進」連携協定を締結
- コーセー「雪肌精」、「SAVE the BLUE」冬のキャンペーン実施
- イオン系ディスカウントストアのビッグ・エーとアコレが経営統合へ
- 牛乳石鹸とBEAMSのコラボ「銭湯のススメ。」がグッドデザイン賞受賞
- 牛乳石鹸共進社、温泉地支援プロジェクト「#STAY_OFURO」支援
製品・サービス
- 花王、「メリーズパンツ型紙おむつ」グッドデザイン賞受賞
- ユニ・チャーム「ウェーブ フロアワイパー」グッドデザイン賞受賞
- ライオン、「HELLO NEW DREAM PROJECT」オリジナルデザインボトルを発売
- 日本製紙クレシア、「クリネックス」「スコッティ」クリスマス特別品発売
- サンギ「アパガード」、初のクリスマスコフレ発売 アロマキャンドル付き
- クラシエHP、香りのスキンケア「アロマリゾート」から限定品発売
- クラシエHP、「旅の宿 湯ったり周遊パック」限定発売
- ユニ・チャーム、「銀のスプーン 三ツ星グルメ おやつ」特大パック発売
- コーセー「雪肌精みやび」、羽生結弦選手とのSPコラボコフレ限定発売
- 桃谷順天館、RF28ブランド初のスカルプケア商品を新発売
- カネボウ化粧品、ミラノコレクションボディフレッシュパウダーの予約開始
- UYEKI、薬用入浴剤「百薬湯」が好調 湯治効果で免疫力アップが期待
宣伝販促
- 小林製薬、笑顔の写真投稿で賞品当たる「生葉」20周年キャンペーン実施中
- 白十字、「サルバ 笑顔倍増キャンペーン」開始 ブランド認知の向上狙う
- 日本製紙クレシア、「肌ケアアクティ」プレゼントキャンペーン実施中
- ユニ・チャーム、「ウェーブ超保水ウェットシート」新TVCM放映中
- カネボウ化粧品、「ミラノコレクション」デジタルミュージアム開設
- ニベア花王、対話型キャンペーンで「肌ととのえ洗顔」を提案
- ユニ・チャーム、「ソフィシンクロフィット」新プロジェクトを開始
人事・組織
- PALTAC、12月1日付の組織変更・人事異動を発表
- プラネット、取締役・監査役・執行役員を選任
決算
- エステー、2021年3月期第2四半期決算は増収増益 巣ごもり需要等で伸長
- 小林製薬、2020年度第3四半期決算は減収増益 海外OTC医薬品事業拡大へ
研究・開発
- マンダム、第14回マンダム動物実験代替法の国際研究助成金公募を実施
調査・統計
- JCA、20年9月度チェーンストア販売概況 総販売額は5カ月ぶりに減少
- 経済産業省 20年1~8月度洗浄剤統計 合成洗剤「住宅・家具用」が堅調
- 西化工 20年1~7月化粧品統計 ヘアトリートメント以外すべて前年割れに
イベント・展示会
- 西化工、来年1月5日開催予定の新年互例会の中止を決定
- ユースキン製薬、「おうちでハンドエキスポ」11月9日からオンライン開催
- フマキラー、園芸用品来春の新製品を「第14回ガーデンEXPO」で紹介
- 牛乳石鹸共進社、妄想ショップ「銭湯案内所」イベントに協賛・支援
- アース製薬、第14回ガーデンEXPO出展 「アースガーデン」など提案
施設・店舗
- ローソン、中国で3000店突破 武漢市に10月に新店オープン
- オカモト、福島工場を完全復旧 昨秋の台風19号による河川氾濫で浸水被害
時評・コラム
- 泡沫 多様性と議論を損なう二者択一の危うさ
上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。