バックナンバー

2020年5月6日号掲載記事より

新型コロナウイルス禍 未だ出口が見えず SCの売上高、3月は28%減

新型コロナウイルス禍 未だ出口が見えず SCの売上高、3月は28%減

 新型コロナウイルス感染拡大を受けての4月7日の7都府県への緊急事態宣言発令(4月16日には全都道府県に拡大)から4週目を迎えた。感染拡大はまだ続いており、未だ出口が見えそうにない。このような中で、宣言による休業要請が日本経済に与える影響への懸念が広がっているが、日本ショッピングセンター(SC)協会3月度販売統計における売上高前年同月比は、宣言前にも関わらず、28%減という記録的な落ち込みとなっており、その深刻さが浮き彫りになった。
 報告ではその要因を、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛による来店者減に加え、3月上旬からの休校に伴う従業員確保や感染防止での営業時間短縮、また臨時休館や一部テナントの休業が全国でみられたことが響いたとしている。
 特にテナントの減少は30.7%減と大きく、食料品等の生活必需品を扱うキーテナントの16.3%に対し、倍に近い減少率となっており、その深刻さが際立つ結果となった。
 立地別・構成別では、中心地域は34.0%減(テナント33.8%減、キーテナント35.0%減)となり、中でも大都市のキーテナントは41.3%減とその落ち込みが大きい。これは、大都市のキーテナントとして大きな割合を持つ百貨店の売上減少が響いた模様だ。
 これに対して周辺地域は、25.0%減(テナント29.0%減、キーテナント10.7%減)で、テナントの減少率に対してキーテナントの落ち込みは半分以下に止まっている。要因としては「食品スーパーやGMSの構成比が中心地域・大都市と比較して高いこと」(同協会)にあるようだ。
 4月は、緊急事態宣言を受けて、SCでは休業あるいは食料品等一部のみの営業という決断を迫られた店舗が3月よりも増えたはずだ。3月度の数字をみる限り、4月度の数字がそれ以上に厳しいものになるのは間違いなく、今後SCが、より厳しい運営を覚悟しなくてはならない状況が生まれそうだ。

流通9団体、緊急経済対策に関する要望書を梶山経産大臣に提出

 日本小売業協会など流通9団体は4月27日、梶山弘志経済産業大臣に新型コロナウイルスに係る緊急経済対策に関する要望書を提出した。
 要望書の内容は、感染症の早期終息が見通せない中、商業施設所有者及びテナント等の事業継続のため、①テナント賃料を減免した場合の固定資産税の減免措置等について②テナント事業者等に対する持続化給付金の給付金額の増額、追加支給及び企業規模要件の撤廃――の2点を要望している。
 ①については、政府において検討中の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」に盛り込まれている「新型コロナウイルスの影響による事業等に係る収入に相当の減少があった場合の固定資産税等の減免措置」について、対象事業者の中小事業者、中小企業者という枠を外し、広く商業施設所有者すべてを対象にすることにより、商業施設内のテナントに対し、商業施設所有者が賃料の減額等に応じやすくなるような環境整備などを要望。
 ②については、休業による収入減少の影響の大きさや感染症の影響の長期化等を想定し、事業継続のための給付金額の増額と第2弾以降の追加支給とともに、対象となる企業規模要件の撤廃を要望している。

新型コロナ対応 花王、未曽有の難局にグループ一丸で取り組む

 花王は4月27日 、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業への影響について発表した。それによると生産活動は概ね予定通りだが、その一方で、ほとんどの拠点で在宅勤務を実施していることで、事業運営の一部に影響が出ているという。
 同社では、すべてのグループ社員とその家族に対し定期的な健康状態の把握、また物的支援などを実施。
 消毒液、ハンドソープ、漂白剤などの衛生関連製品の増産を進めており、特に大きな需要が発生している消毒液については、4月に日本で大幅な増産体制を確立した。
 これらの活動を政府・行政、工業会、企業と密接に連携しながら取り組んでいく。
 事業への影響については、1~3月期、インバウンド需要減少の影響を受けた化粧品事業の売上げが減少したが、日本とアジアで衛生関連製品が伸長したため、連結では売上(実質)・営業利益が前年を上回った。また、事業活動の一部で停滞があったが、大きなインパクトにはなっていない。
 経営判断基準と特別施策については、こうした経営環境の中、花王グループは、①社員を守る②消費者・顧客のニーズに応える③株主の期待に応える――の3つの経営判断基準の順序をこれまで以上に重視し、対応していく。
 今、取り組むべきことは、新型コロナウイルス感染症拡大を抑制することであると捉え、そのために花王グループは企業理念である「花王ウェイ」の使命を実践することに努めていく。未曽有の難局であるが、グループ一丸となって取り組んでいくとしている。

フマキラー、除菌剤3品の新型コロナに対する効果を確認

フマキラー、除菌剤3品の新型コロナに対する効果を確認

 フマキラーは新型コロナウイルスへのウイルス不活化試験を外部研究機関(国立大学法人広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学研究室)にて実施し、同社製品3品について、その効果を4月21日に確認したと発表した。
 効果を確認した製品は、「フマキラーキッチン用アルコール除菌スプレー」(アルコール濃度49v/v%)、「アルコール除菌プレミアムウイルシャット」(アルコール濃度 63v/v%)、「ウイルシャット ノンアルコール除菌プレミアム」(アルコール不使用)の3製品。
 試験方法は、①・試験品0.9mLにウイルス液0.1mLを混合し、10秒作用させた②・作用後、混合液から 0.05mL採取し、培地で100倍程度に希釈して作用を停止③・②の液を感染価測定用試料の原液としてTCID50法で感染価を測定した。対照(ブランク)の感染価は3.6×10^6TCID50/mLであった。
 試験結果は、3品とも減少率99.9%以上で、検出限界の99.9%以上の不活化効果を発揮しており、感染価を大幅に低減させることが確認された。
 なお、これらの商品は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、品薄になっている状態もあるが、同社では、安定的な製品の供給に向けて増産体制をとっている。

シャボン玉石けんが意識調査、正しく手洗いできていると思う人は12%

シャボン玉石けんが意識調査、正しく手洗いできていると思う人は12%

 シャボン玉石けんは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、20~60代の男女を対象に「手洗いと感染症に関するアンケート調査」を実施した(WEB調査、調査期間:4月16日~23日、サンプル数:581人)。
 同調査の結果では、全体の80%の人が新型コロナウイルスの影響で手洗いやアルコール消毒の頻度が増えたと回答している。
 しかし、正しい手洗いが実践できていると思うか、という質問に対しては「とてもそう思う」と回答したのはわずか12%で、「とてもそう思う」「ややそう思う」を合わせても約半数の49%に留まり、自分の手洗いの仕方に自信を持っている人は意外に少ないことも分かった。
 また、手洗い時間の目安は、20~30秒と言われているが、84%がそのことを知っているにも関わらず、そのうち実践できているのは半数以下の45%に留まるという実態も明らかになった。
 更に、濡れた手は乾いた手に比べて移動させる菌の量が多いことが知られているが、濡れた手で髪の毛やドアノブを触っている人は62%にものぼっているという。これでは、せっかくの手洗いが台無しになってしまうので、手を洗った後は手をしっかりと乾かし、濡れた手で髪の毛などは触らないことも大切だ。
 同社では、「シャボンちゃんの手あらいうた」や「手あらいポスター」を作成し、正しい手洗いの啓発に向け、積極的な情報発信を続けており、今回の調査結果も今後の取り組みに反映させていくとしている。


2020年5月6日号 記事一覧

特別企画

  • インバウンド消費復活に向けてすべき事は? プラネットが調査報告書発表

倒産・廃業

  • 愛知県豊橋市の卸・カネシン、4月30日で営業を終了

会合・発表会

  • ユニリーバ、「ソーシャルダメージケアプロジェクト」説明会開く

経営・施策

  • 新型コロナ対応 大王製紙、不織布マスクの生産を開始
  • 新型コロナ対応 コアレックスグループ、「特別感謝金」を全従業員に支給
  • 新型コロナ対応 小林製薬、大阪府「新型コロナ助け合い基金」へ寄付
  • 新型コロナ対応 エステー、5月10日まで在宅勤務延長
  • 新型コロナ対応 ユニ・チャーム、各部署チーム単位のWeb懇親会を推奨
  • 新型コロナ対応 サンスター、子ども向け特設サイトを開設
  • 新型コロナ対応 貝印、「#貝印おうちチャレンジ」始動
  • 新型コロナ対応 資生堂、在宅勤務を5月31日まで継続
  • 新型コロナ対応 メディセオ、従業員1名が感染
  • 角膜ケア広報事務局、正しい目のケアを紹介 TV、PCなど使用時間増で
  • 資生堂「アネッサ」、「#KeepShining」プロジェクトを展開
  • 魚型の醤油さしに除菌液を充填して提供する衛生啓発プロジェクトが発足
  • サンスター、子育て支援アプリ「イクハクアプリ(大阪府版)」協同開発

製品・サービス

  • 花王、「ヘルシアウォーター」改良 運動シーンを想起できるデザインに
  • シックとマツキヨHD、5枚刃カミソリ「Schick5」共同企画品を限定発売
  • ユニ・チャーム、夜用ナプキン「ソフィ超熟睡ガード 涼肌」限定発売
  • 大王製紙、「ピュアナ ウエットティシュー」から携帯用を追加発売
  • 凸版メディア、マスクインナーカバー「カバーフィット」開発
  • 寺岡精工、レジ接客時の飛沫感染予防防止対策「チェッカーガード」発売
  • ヤマシンフィルタ、国産マスク用フィルタの供給を開始

宣伝販促

  • P&G「ジレット」、「やさしさを、力に。」キャンペーン実施中
  • 花王、「エッセンシャルflat」新TVCM第3弾オンエア中

決算

  • 花王、2020年1~3月期、増収(実質)・増益を確保 衛生関連品が伸長
  • エステー、2020年3月期連結決算は減収増益に 経常利益、純利益が大幅増
  • カワチ薬品、2020年3月期 調剤併設増で営業・経常利益とも2ケタ増
  • 小林製薬、2020年12月期第1四半期決算 除菌・衛生関連用品が好調
  • アレンザHD、2020年2月期連結決算 HCバローの子会社化で大幅増収
  • ポーラ・オルビスHD、2020年1~3月期は減収減益に

研究・開発

  • サンギ、「薬用ハイドロキシアパタイト」で研究論文を発表

調査・統計

  • 経済産業省 20年1~2月度洗浄剤統計 柔軟仕上げ剤が大きく伸長
  • JACDS、DgS実態調査発表 成長要因は調剤・インバウンド・食品

時評・コラム

  • 泡沫 貰えるものは貰って有効に
  • らいたあ 発言者の存在感増?! Web会議システムの副次効果

その他

  • JACDS、青木桂生名誉会長が旭日中綬章を受章 春の叙勲で
  • 全国SM協会、千野和利副会長が藍綬褒章を受章 春の褒章で


上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。