2019年11月13日号掲載記事より
花王、ファインファイバー技術を応用した事業展開で記者発表
花王は、「積層型極薄膜形成技術(ファインファイバーテクノロジー)」を具現化する高性能小型ディフューザーを開発し、12月4日、化粧品領域から事業化すると、11月1日に都内で開催した「ファインファイバー技術を応用した事業展開記者発表会」で発表した。
「ファインファイバーテクノロジー」は、機器を用いて極細繊維を直接肌に吐出し、肌上に積層型の極薄膜をつくる技術。直径1μ㍍以下の細い繊維が幾層にも折り重なってできるこの膜は、軽く、柔らかく、肌の動きに柔軟に追従し、肌表面をなめらかに整える性質がある。また膜と肌の段差が極めて少ないことからはがれにくく、肌に自然になじみ、肌との境目も見えない。さらに、極細繊維が持つ高い毛管力により、併用する製剤を速やかに膜全体に均一に広げ、しっかりと保持するという性能がある。一方で、繊維のすき間から適宜水蒸気を通すので、肌を完全に閉塞することなく、適度な透湿性も保てる。
花王は、この極薄膜が自宅で簡単につくれる機器の開発を進め、パナソニックアプライアンス社の協力のもと、高性能小型ディフューザーの完成に至った。
応用第1弾は、化粧品領域から事業化。花王の「est」とカネボウ化粧品の「SENSAI」からディフューザーによりつくられる極薄膜とエフェクター(専用美容液)を組み合わせた新たなナイトケアを提案する。
澤田道隆社長は、「ファインファイバーテクノロジーは、花王グループが進めているESG経営の具体的なアクションであるKirei(キレイ)イノベーションの大きな武器とし、利益ある成長に結びつけ、創出した利益を社会のために投資していく。ファインファイバー事業を1000億円規模へ成長させていきたい」と述べた。
あらた、19年4~9月期は増収増益 売上高、経常利益は過去最高
あらたは11月6日、畑中伸介会長、須崎裕明社長執行役員、鈴木洋一副社長執行役員管理本部長が出席して2020年3月期決算説明会を開き、同期の連結業績並びに中期経営計画の取り組みなどについて説明した。
同期の連結業績は、売上高4063億4100万円(前年同期比6.6%増)、売上総利益414億3500万円(5.7%増)、販管費363億9900万円(4.8%増)、営業利益50億3600万円(12.5%増)経常利益54億300万円(15.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益38億6100万円(15.9%増)の増収増益となった。
売上高、経常利益は過去最高を達成。販管費の伸び率を売上高の伸び率以下に抑制。経常利益率は1.3%。消費増税前の9月単月ではハウスホールド27.3%増、紙製品33.7%増と特に同2カテゴリーが大きく伸長した。
中期経営計画(18年3月期~20年3月期)の社内業務の効率化については、RPAを導入、15件のRPAシステム開発によって同期末までに業務時間を年間1万1000時間削減した。さらに開発を進め、20年3月期末までに年間2万6000時間の削減を図る。これと連動し、事務センターの間接業務の約6割を本社機能として集約を予定している。
また、需要喚起を目的に来年2月に展示会「あらたCOLLECTION2020」を“夢を叶える「あらた」な世界~新価値創造~”をテーマに開催する。
ライオン、2019年度第3四半期連結業績を発表 下期の重点施策も説明
ライオンは11月7日、記者懇談会を開き、2019年12月期第3四半期の連結業績、下期の重点施策の取り組みなどについて掬川正純社長が説明した。
同期の連結業績(IFRS)は、売上高2619億6200万円(前年同期比1.3%増、為替変動の影響を除く実質1.6%増)、事業利益(売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した同社の利益指標)235億8300万円(12.8%増)、営業利益238億3000万円(9.1%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益169億5000万円(15%減)となった。売上高は1.3%の増加だが、マレーシアで洗剤原料の製造子会社が事業の合併化により連結対象から外れたこと、殺虫剤事業を譲渡したことなどの影響を除くと2.7%の増加。営業利益は9.1%減少したが前期は固定資産売却益54.5億円があり、その反動があった。
下期の重点施策の取り組みについては、高付加価値化の継続(国内オーラルケア分野の更なる成長、皮膚用薬の導入・育成による薬品分野の強化、ファブリックケア分野の新価値創造)、消費増税対策(増税前の駆け込み需要の取り込みと反動の抑制)、海外事業の強化(中国事業の成長の加速)に積極的に取り組む。
このほか、新ハミガキ工場(香川県坂出市・21年稼働予定)の隣接地にハミガキ用チューブ工場を稼働し、ハミガキの一貫生産を実施。また、新事業創出を目的とした新価値創造プログラム「NOIL」では、141件の応募から2件の事業化を検討することになった。
なお、記者懇談会では、長澤二郎人事総務本部長がライオン流の「働きがい改革宣言」について説明した。
P&G・ジャパン、海洋プラリサイクル製品「JOY Ocean Plastic」発表
P&G・ジャパンは11月6日、台所用洗剤ブランド「ジョイ」から、日用品業界日本初となる海洋プラスチックリサイクル製品「ジョイ オーシャンプラスチック)を11月上旬、数量限定発売すると発表した。リサイクルのエキスパートであるテラサイクル社協力のもと国内の海岸で回収した約6㌧のプラスチックごみから、海洋プラスチック再生製品世界最大規模となる55万本を生産。P&Gとして日本並びにアジアパシフィック初となる。世界的な環境問題である海洋プラごみ削減に向けた革新的な取り組みとして注目を集めそうだ。
この取り組みで特筆すべき点は、海岸でのプラごみ回収からリサイクル、ボトルの製造までの全ての工程が日本国内で完結していることである。
会見に出席したスタニスラブ・ベセラ社長は、「『ジョイ オーシャンプラスチック』は、『日用品業界で日本初』『海洋プラ再生製品として世界最大生産規模』『海洋プラごみ回収から製造に至る全ての工程を日本国内で完結』――という点において革新的な取り組みだと自負している。時間と労力をかけて、そして多くの企業と協力して実現することができた。もちろん、これだけで海洋プラごみ問題が解決するとはいえないが、消費者そしてビジネスパートナーには、この取り組みを通して問題解決に向けた活動が可能であることを示すことができる」と、取り組みの意義を強調した。
イオングループの公益財団法人が「持続可能な社会の実現」テーマに講演会
公益財団法人イオンワンパーセントクラブは11月2日、都内で設立30周年記念事業として、持続可能な社会の実現をテーマとした記念講演会「Sustainable2050」を開催した。
イオングループ主要企業が税引前利益の1%相当額を搬出し、次代を担う青少年の健全な育成や諸外国との交友親善などを事業展開の柱に設立された同財団。その中で、日本と海外の高校生が互いの国を訪問して国際的な相互理解と親交を深めるプログラム「ティーンアンバサダー(小さな大使)事業」を1990年から実施してきた。
今イベントの主旨は、この30年間でティーンアンバサダー事業に参加した約2800人のうち、18カ国・338人が集結し、SDGsの達成を目指して、自らの行動宣言を策定。それを報告するというもの。
当日は、有識者の記念講演と歴代アンバサダーの代表者による提言を受け、その後参会者によるグループディスカッションを行い、自身の行動宣言の発表が行われた。
記念講演では、現国際環境計画・金融イニシアティブ特別顧問でWWFジャパン会長の末吉竹二郎氏が経済の入れ替わりと企業文化の変化等について提言。さらに「RE100」という国際イニシアチブへの動きや、PRI(責任投資原則)を解説し、株主第一から社会第一へと経営の存在意義の転換が進んでくると指摘した。
2019年11月13日号 記事一覧
M&A・設立
- アインファーマシーズ、コスメブランド「DAZZSHOP」を取得
会合・発表会
- 小林製薬、「漢方ヒロレス」イベント開催 疲労ケアと漢方の有効性も解説
経営・施策
- マンダム、第13回マンダム動物実験代替法国際研究助成金公募を実施
- サラヤ、更家社長がウガンダ共和国名誉領事に就任 関西とアフリカが交流
- 花王、「3R推進功労者等表彰」で最高賞の内閣総理大臣賞を受賞
- セブン-イレブン・J、スマホ専用アプリをリニューアル
製品・サービス
- 伊勢半本店、日本伝統の化粧料「小町紅」新シリーズを新発売
- 花王、「est」「SENSAI」からファインファイバー技術応用商品を発売
- ユニリーバ「ラボリカ」、クリスマスに向けて冬季限定フレグランス販売
- セブン&アイHD×ファンケル、メイク落とし共同開発品を発売
- クラシエHP「a LITTLE a LOT」、常設店を大丸梅田店に開店
- ライオン「アロマリッチ」、“アロマミックス”を気軽に楽しめる限定品
- 王子ネピア、「ネピア鼻レセブマスク」コウペンちゃんとコラボ
- 小林製薬、芳香剤2ブランドから冬季限定品を発売
- ユニ・チャーム「オヤスミマン」、夜のスペシャルデザインを採用
- ユニ・チャーム、「ナチュラルムーニー」に“Happyお知らせサイン”搭載
宣伝販促
- ライオン、嵐の二宮和也と相葉雅紀を同時起用したキャンペ展開中
- ライオン、「スクラート胃腸薬」と「ゴルゴ13」のコラボキャンペーン実施
人事・組織
- PLANT、代表取締役を2名体制に変更へ
- 旭化成HP、高橋克則営業統括本部長が専務取締役に就任
決算
- メディパルHD、2020年3月期上期連結決算は増収増益に
- 小林製薬、2019年度第3四半期決算は増収増益 新製品が売上げに貢献
- コーセー、2020年3月期第2四半期業績は売上高7期連続で過去最高を更新
- ポーラ・オルビスHD、2019年度第3四半期決算は減収減益に
研究・開発
- 小林製薬、メラニン集合体を分解する成分を発見 シミへの効果の可能性
- 大木HD、「日本薬用人參研究所」設立 各種薬用人參の分析・薬効研究
イベント・展示会
- 花王「アタック」、子どもたちのかけっこ教室をサポート
- “包む”がキーワードの総合展「JAPANPACK」に3万人超が来場
- 日本香堂、「ふるさとのお盆の想い出」絵画コンクール最終選考会開く
- 全卸連、「第3回CSSカップ」首都圏B大会開催 優勝はホーユーA
施設・店舗
- 伊勢半本店、「紅ミュージアム」をリニューアルオープン
時評・コラム
- 時評 平準化も歳末商戦捨て難し
- らいたあ 音声だけで人を引き付けるラジオCMのアイデアに脱帽
上記トピックスは要約版です。記事の詳細・全文は、日用品・化粧品業界の専門紙「H&BC マーケティングニュース」最新号(水曜日発行)でご覧になれます。お申し込みは刊行物案内をご参照ください。