2007年5月16日号掲載記事より
花王、第53回セブン花王会で業績報告 高付加価値化戦略が好成績生む
07年3月期決算で業界初の連結売上高1兆円超企業の仲間入りを果たした花王は、5月8日、「第53回セブン花王会」を開催し、06年度業績・現況などについて報告が行われた。
07年3月期決算概況について、星野専務は「連結売上高1兆2318億円のうち、カネボウ化粧品関係を除いた売上が1兆307億円と、日用雑貨など化学品を中心とする花王だけで初めて1兆円を超えたことは歴史に残ることではないか」と述べ、また、連結売上高中のカネボウ売上高(11カ月分)は2011億円が入っているが、来期は1カ月分が加わること含め、カネボウ化粧品の07年度売上高予想を2200億円強と予測。
さらに、売上高において国内事業が30.5%の増収、海外事業が17.2%の増収という好調な決算を終えたことについて「“高付加価値化による利益ある成長”戦略を前面に押し出して、一丸となって取り組みを強化したこと」を挙げ、これが参入カテゴリーの半分以上で単価が前年を上回り、営業利益の当初予測1170億円を38億円上回る1208億円に結びついたと説明。さらに新ヘアケアブランド「セグレタ」がスタートで早くも6%シェアを獲得する動きにあることも報告。併せて消費者・流通・社会の変化の状況を説明後、「変化の本質を見極めた的確な“消費者視点”での対応と取り組むために、コンシューマープロダクツでの3事業ユニットを立ち上げた」とした。
また、4月1日から2販売会社を統合した花王カスタマーマーケティングの高橋社長は、06年度の販売状況(花王販売単独)について「上期103%、下期105%、通期104%と計画通りに推移した」とし、チャネル別ではドラッグストアが2ケタ伸長し、構成比では全体の37%に、また、不振だったGMS・SMが盛り返して26%、HCが苦戦して15%だったほか、代行店チャネルは4%弱だがずっと前年キープを続けていると報告した。
GMS各社連結決算出揃う セブン&アイ、イオンが大幅増収増益に
大手GMS各社の06年連結決算が出揃った。昨年の日本経済は、企業収益の改善や設備投資の増加で回復傾向が明確になったが、天候不順の影響などで個人消費は低調。セブン&アイ・ホールディングス、イオンなどは増収増益を達成したものの、日本チェーンストア協会の販売統計が前年割れに終わるなど、流通小売業界全体では引き続き厳しい状況で推移したと思われる。(カッコ内は前期比)
セブン&アイ・ホールディングスは、そごう、西武百貨店の百貨店事業が新たに連結対象になったこと、北米のCVS事業の増収、スーパーストア事業の増益などで、連結売上高5兆3378億円(37.0%増)、営業利益2868億円(17.1%増)、経常利益2820億円(13.7%増)、当期純利益1334億円(51.7%)と大幅な増収増益を記録。
イオンも、各事業で積極なM&Aと海外展開の強化に取り組んだほか、主力の総合スーパー事業の収益が回復したことなどで、連結売上高4兆8248億円(8.9%増)、営業利益1897億円(14.2%増)、経常利益1883億円(7.0%増)、当期純利益577億円(99.3%増)となり、7期連続で過去最高業績を達成した。
ユニーは、総合小売業が他社との競争激化でほぼ前年並みだったが、CVSでは3大都市圏への出店強化と、売上不振地域での収益性向上に取り組んだことなどで、連結売上高1兆2289億円(2.2%増)、営業利益471億円(8.2%増)、経常利益449億円(8.1%増)と順調。当期純利益は93億円(42.2%減)となった。
一方、イオン、丸紅との資本・業務提携を先日発表したダイエーは、連結売上高1兆2839億円(23.4%減)、営業利益483億円(8.5%増)、経常利益373億円(53.7%増)、当期順利益413億円(90.0%減)となった。
ウォルマートの支援を受ける西友(12月期決算)も連結売上高9609億円(3.6%減)、営業利益32億円(161.3%増)、経常損失26億円(前期経常損失62億円)、当期純損失558億円(前期純損失178億円)となり、利益面では改善傾向を示した。
イズミは、主力の小売事業で店舗・商品・サービスの付加価値向上に努めた成果で、連結売上高4468億円(2.3%増)、営業利益241億円(6.3%増)、経常利益241億円(6.4%増)、当期純利益132億円(13.6%増)と好調。
平和堂は、連結売上高4128億円(4.6%増)、営業利益135億円(5.3%増)、経常利益135億円(5.6%増)、当期純利益59億円(156%増)と増収増益となった。
イズミヤも、連結売上高3789億円(3.2%増)、営業利益77億円(7.1%増)、経常利益67億円(4.3%増)、当期純利益22億円(57.1%増)を達成している。
ライオン、連結売上高は前期比4・4%増に 12月期第1四半期業績
ライオンは4月27日、平成19年12月期第1四半期決算を発表した。
連結売上高は683億9800万円(前期比4.4%増)、連結損益は16億4800万円の営業損失(前期比は50億1500万円の営業損失)、11億8900万円の経常損失(前年同期は45億6200万円の経常損失)、1億7500万円の四半期純損益(前年同期は27億5800万円の四半期純損失)となった。
セグメント別に見ると、【家庭品事業】の売上高は529億8400万円(前年比11.8%)となった。損益は、新製品育成のための積極投資や原材料価格の上昇により、5億2300万円の営業損失(前年同期は46億3500万円の営業損益)となった。
【薬品事業】の売上高は77億900万円(前期比12.5%減)、損益は、製造原価の低減等に取り組んだが売上高の減少等の影響により、8億5300万円の営業損失(前年同期は1億3700万円の営業損失)となった。
【化学品事業】の売上高は72億7000万円(前年比5.8%減)、損益は、原料価格の上昇等の影響を受け、1億6500万円の営業損失(前期同期は100万円の営業利益)となった。
【その他の事業】は、前期後半に建物等保守管理事業、食品製造・販売事業を譲渡したことなどにより、売上高は4億3500万円(前期比72.1%減)、損益は8900万円の営業損失(前年同期は1億8200万円の営業損失)となった。
ユニ・チャーム、過去最高の売上高を更新 3月期連結決算を発表
ユニ・チャームは4月27日、平成19年3月期連結決算を発表した。売上高3018億8000万円(前年比11.7%増)、営業利益299億2900万円(同4.9%増)、経常利益300億7100万円(同4.5%増)、当期純利益150億5800万円(同1.5%減)となり、所在地別の外部顧客に対する業績では、日本は売上高2068億9100万円、営業利益238億100万円、アジアは売上高566億4400万円、営業利益50億6000万円、その他地域は売上高383億4300万円、営業利益9億65000万円となった。売上高は過去最高を更新した。
国内では、パーソナルケア及びペットケアの両事業において新需要創造型製品や高付加価値製品を発売し、市場の活性化による収益向上に取り組んだ結果、成長分野であるヘルスケア事業、ペットケア事業が順調に売上高を伸ばした。中核事業であるベビーケア事業は少子化の影響を受けて減収に終わったが、フェミニンケア事業は新たに取得した「センターイン」ブランドの売上高が加わり増収を達成した。
海外では、アジアの参入各国においてフェミニンケア事業、ベビーケア事業の売上高を順調に伸ばし、その他の地域ではヨーロッパにおける大人用失禁製品が及びベビー用紙おむつ、中東地区におけるベビー用紙おむつの売上が順調に拡大。その結果、全ての海外法人で増収を達成し、海外法人の外部顧客に対する売上高は前期に比べて262億5800万円増の949億8800万円となり、連結売上中31.5%を占めるまでに拡大した。
今期については、成熟市場の再活性化と成長市場における積極的な事業拡大を推進するとともに、サプライチェーントータルのコスト削減や経費の効率化によりコスト構造の抜本的改革を図り、一層の収益力強化を図ることで、連結売上高は過去最高となる3280億円(前期実績比8.7%増)、営業利益330億円(同10.3%増)、経常利益330億円(同9.7%増)、当期純利益155億円(同2.9%増)を目指す。
ユニ・チャーム、日立製作所と共同で「自動採尿システム」を開発
ユニ・チャームと日立製作所は4月27日、記者会見を共催し、尿を感知するセンサーを内蔵した採尿パッドと、尿を吸い取るポンプを内蔵した採尿器を組み合わせた家庭や介護施設などにおける排泄介護に向け「自動採尿システム」を共同開発したことを発表した。
今回発表された「自動採尿システム」は、パッドに内蔵した“排尿センサー”が排尿を検知(排便を見分けることができる)すると、ポンプが自動的に運転して採尿を開始。尿をポンプが吸収するのでパッドの中に尿がたまらず①交換枚数②施設や家庭などでの経済的負担③ゴミ量――をそれぞれ削減させる効果をもたらすほか、おむつ交換の回数も削減できるので、介護される人・する人の双方のおむつ交換時(特に夜間)の体力的、精神的負担も軽減できる。さらに、尿がパッド内で空気と触れる時間が短いため、ニオイの悩みも解消するという。
販売ルートや時期、価格などの詳細は未決定だが、両社ともに「できるだけ早期に決定したい」と口を揃えており、また“採尿パッド”の価格については、センサーの搭載やパッド内部の素材を工夫しているために従来品との比較で原価は高いが、従来品が1日あたり6~7枚使用するところ、このシステムでは1日1~2回の取替えで済むことから、このあたりを考慮に入れて価格設定される見込み。
テスコエクスプレスが日本進出 英国の小型SMが東京・練馬にオープン
英テスコグループのシートゥーネットワークは、4月25日、東京・練馬区に、新業態店「テスコエクスプレス 大泉学園店」をオープンした。「テスコエクスプレス」は、英国を初め、アイルランド、トルコ、タイ、韓国で成功を収めている小型店舗で、歩いて気軽に立ち寄り、お値ごろ価格で毎日の買物をすますことができるよう、立地・品揃え・価格の全ての点で消費者の“便利さ”を追求した小型スーパーマーケット。
今回オープンした同店は、店舗面積394平方㍍と通常のコンビニの店舗面積からすると2~3倍程度広いが、店舗面積の3分の1を惣菜調理場が占めている。
オープン直後の店内は、生鮮食品の青果・鮮魚・精肉から加工食品、日配品、冷凍食品、飲料、雑貨、雑誌・新聞、弁当・惣菜を取り扱っており、惣菜は、店内調理された豊富な食材が取り揃えられていた。また、お米は、店内で焚きたての千葉県産多古こしひかりを使用。惣菜やお米が出来上がると、店内スタッフがアナウンスして来店客に呼びかけるなど、活発な販売促進で惣菜コーナーは活況を呈していた。
さらにシートゥーネットワークが展開しているディスカウントストア「つるかめ」の強みを活かし、生鮮食品、総菜、加工食品は、スーパー並みの価格帯で展開していることに加え、陳列棚のエンドに「スペシャルプライスコーナー」が設けられ、目玉商品が特売価格で販売されていたほか、その「スペシャルプライスコーナー」では、テスコブランドの食品・雑貨も導入されており、来店客にバラエティに富んだ楽しい売り場を提供していた。
同社では今後、砧店、明大前店を5月にオープンする予定とし、首都圏を中心に08年2月までに「つるかめ」ブランドと「テスコエクスプレス」で合計35店舗のオープンを目指すとしている。
2007年5月16日号 記事一覧
M&A・設立
- 「エイチ・ツー・オーリテイリング」に 阪急・阪神の持株会社名称決まる
会合・発表会
- 日本浴用剤工業会が定期総会開く 「市場の更なる活性化に期待」
- 全家協、協力会通常総会開く 新たに顧問職を設置
- 大阪卸組合が定時総会開き、藤原物産藤原氏の新理事長就任を発表
経営・施策
- サプリコ、新たに3社が参加 空白地域の北海道からも2社加わる
- クロバーコーポ、組織のスリム化と体制の充実に注力
- マツモトキヨシ、3月31日付けで主要株主並びに筆頭株主の異動を発表
- エステー化学、ストックオプションの承認求める議案を株主総会に提案
製品・サービス
- 資生堂、CVS専用コスメブランド「化粧惑星」から夏の新色発売
- 常盤薬品工業、和コスメ「サナ舞妓はん」から練り香水を限定発売
- ユニリーバ、ラックスカラーシャイン新発売で新カラーダメージケアを提案
- 資生堂、部分用ニキビケア「dプログラム」から新製品発売
- ヒットの裏側 ヘアケア製品に複数のシリコーンを配合
- ライオン、新製品「液体部屋干しトップ」「部屋干しソフラン」を発売
- アース製薬、芳香消臭剤「花咲きポット」から「あじさい」を限定発売
- エム・アンド・エム、リクライニング用品にピーターラビットを起用
- ライオン、部屋干しトップから「ウォーターリリーの香り」限定発売
宣伝販促
- サンスター「sunstarDo」 1年分のクリアハブラシ当たるキャンペ展開中
- 住友3M、「スコッチ」粘着テープ77周年記念キャンペーン実施中
- フマキラー、ユニクロで「どこでもベープNo.1 NEO」のコラボTシャツ展開
- シック、カミソリ・プレシェーブ剤購入で500円返金キャンペーン実施中
人事・組織
- 伊勢半、グループ会社含む役員人事を発表
- 花王、5月1日付けで会計財務部門管理部長の人事を発表
- エステー化学、人事異動並びに執行役人事を発表
- アルフレッサ、新社長に石黒傳六氏の就任を発表
- アルフレッサ、機構改革並びに人事異動を発表
- 日本油脂が新商号を発表 10月1日から「日油株式会社」に
研究・開発
- 花王芸術・科学財団、第9回花王研究奨励賞受賞者の贈呈式開催
調査・統計
- 西化工19年2月期出荷統計、 ヘアケア3品が引き続き伸長
イベント・展示会
- IT関連8展示会が東京で開催、合計1350社が東京ビッグサイトに出展
- JILS、24日から「SCMソリューションフェア」東京ビッグサイトで開催
- 花王芸術・科学財団、6月に「顔と文化」第2回公開シンポジウムを開催
- エコプロダクツ2007、12月に東京で開催 出展社の募集も開始
- プラネット、7月にマーケティングフォーラムを東京で開催
- ホーユー、展示会「カラーユアハートミュージアム」名古屋で25日から開催
- ニベア花王「8×4」、お台場パレットタウンで「親密観覧車」を展開
- コラボレイト21 14th 秋季合同商談会の日程が決定
- チバSC、中国法規制の最新動向についてのセミナーを7月に東京で開催
施設・店舗
- 資生堂鎌倉工場に皇太子殿下がご視察 「ものづくりの想い」に強いご関心
- グリーンベル、岐阜県関市に商品管理センター落成で披露式典・懇親会開く
- プロロジス、物流施設プロロジスパーク市川Ⅰの起工式は6月27日に決定
時評・コラム
- 時評 消費者変化とプレミアム化
- 泡沫 三角合併への懸念と企業防衛のあり方
- 東京ミッドタウンを見て 都会の雑踏抜け出す“癒し”のスペース
- 斜凡珠 “もったいない”の再考 生活態度に変化を
連載・講演
- 物流・ロジスティクス事情 ⑧ロジスティクスと環境その4
その他
- 小林製薬 News Letter 第6号
- マッチ時報第336号
- 工研だより第644号
- ヒューモニー、ボイスぬいぐるみ電報に「ピーターラビット」起用
- ポーラ「アネックス」、アート講座「花の絵画の表現」23日に開催
- J&J、内視鏡用粘膜注入材「ムコアップ」の国内販売代理店契約締結
- GSX 澤村社長監修の「日本版SOX法の実務の手引き」解説本が話題に
- ポーラ「アネックス」、針穴写真展開催 レセプションパーティーも
特集 【家庭紙】
- 家庭紙市場 最近の動向 「販売価格復元に一定の成果」
- 業界再編進む家庭紙専門卸の動向 紙叶・小津産業・アルボ・アスト
- 春日製紙工業、原勘一郎氏が社長就任
- 王子ネピア、販売価格が着実に上昇 ネピアスマイルの導入も順調
- 大王製紙、プリント柄のティシュー「エリエールフラワープリント」新発売
- 日本製紙クレシア、高付加価値商品群を充実 目標価格の実現に積極展開
- 丸富製紙、華やかなトイレットロール「プリント花束」を改良
特別企画
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